Dr.小池の世直し奮戦記

2013年11月1日

Dr.小池の世直し奮戦記 福島第一原発 汚染水危機打開に総力を

 安倍晋三首相は国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、福島第一原発の放射能汚染水について「状況はコントロールされている」「完全にブロッ クされている」(九月七日)と述べました。しかし「コントロール」どころか、汚染水の状態さえ満足に把握できていないのが現状です。

現状と危険の全面的な解明を

 東京電力は、急ごしらえのタンクに汚染水を保管して漏えいさせるなど、ずさんな対応を繰り返しています。背景には「いずれ海に流せばよい」とする考え方があります。
 原子力規制委員長も、海に流すことを肯定しています。しかしいくら薄めたところで、国際社会の理解は決して得られません。「いずれ海に」という考え方を 一掃し、「放射能で海を汚さない」ことを汚染水対策の基本原則として確立すべきです。
 そして汚染水の現状がどうなっているのか──何がわかり、何がわからないのか、どこに問題と流出の危険があるのかなど、あらゆる角度から国内外の専門的 知見を総結集して調査し、結果をありのままに公表すべきです。これ抜きに抜本的で長期的な対策を打ち出すことはできないでしょう。

東電は「破たん処理」を

 さらに政府は原発事故の「収束宣言」(二〇一一年一二月)を正式に撤回して“非常事態”を宣言し、国が直接、事故収束・賠償・除染に全責任を負う体制を 構築すべきです。ここまで問題が深刻化したおおもとには、政府が「コスト優先・安全なおざり」の東電まかせにしてきたことがあります。
 「原子力損害賠償機構法」も“事故処理・賠償・除染は「東電の経営努力の範囲」”としており、ここに根本的な誤りがあります。すでに東電は事実上の債務 超過に陥り、公的資金で「延命」されている状態です。事故収束・廃炉と除染・賠償に正面からとりくめば、東電の「見積もり」をはるかに超えるでしょう。東 電は破たん処理し、資産を徹底的に洗い出すべきです。原発推進で大もうけしてきたメガバンクに必要な債権放棄をさせるなど、利害関係者にも当然の責任を取 らせる必要があります。
 破たん処理後は、一時的に国有化して電力事業を継続することになります。将来の電力事業についても発電・送電の分離など、独占されてきた電力供給体制の民主的改革が求められるでしょう。
 発電事業は、再生可能エネルギーの活用を大規模に進めるためにも多様な業者が参入できるようにし、固定価格買い取り制度も拡充すべきです。送電事業者に 発電事業者との接続義務を果たさせるなど、送電の公的管理を強める改革が必要です。

再稼働やめ、立場をこえて

 汚染水問題では、国内外の専門家・技術者の総力をあげた対策が求められています。ところが今、原発再稼働に電力会社や原子力規制委員会が奔走しており、これが大きな障害となっています。
 原子力規制委員会は、全国の原発再稼働に向けた地層調査などではなく、福島第一原発下の地層・地下水などの調査・実態把握にこそ力を注ぐべきです。再稼働・原発輸出に向けた活動は、ただちに停止すべきです。
 将来のエネルギー政策における立場の違いをこえて、英知と総力を結集するときではないでしょうか。

いつでも元気 2013.11 No.265

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ