医療・福祉関係者のみなさま

2010年5月20日

【2010.05.20】初めて国の責任を認めた「泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」の判決に従い、国は控訴しないことを求める

2010年5月20日
全日本民医連会長 藤末 衛

 「泉南アスベスト国賠訴訟」に対して、5月19日大阪地裁は「石綿で健康被害を被ったの は、国が危険性を知りながら規制を怠ったため」そして、「国民に対するアスベスト被害、危険性に関する適切な情報提供についても怠ったといわざるを得な い」とし、被害者26人に対して賠償を命じる原告勝訴の判決が言い渡された。

 この判決は、アスベスト健康被害において初めて国の責任を認めた画期的判決であり、泉南アスベスト被害の早期全面解決はもとより、首都圏建設アスベスト訴訟はじめ、すべてのアスベスト被害のたたかいを力強く励ます歴史的な判決である。

 しかしながら、環境ばく露による深刻な健康被害について認めなかったこと、使用者(事業者)が石綿粉じんばく露により健康被害を被った場合の国家賠償請 求が認められなかったことについては、見過ごすことのできない判決である。

 今もアスベスト関連疾患に罹患した被害者は、息切れ等の症状に始まり、肺機能障害等の重篤化に伴い、仕事を断念せざるを得ず、家族の援助・看護がなければ日常生活を送ることができず、想像を絶する肉体的・精神的苦痛とともに生活している。
 また、周囲の被害者が次々と悲惨な最期を遂げていく状況を目のあたりにして、さらに将来に強い不安を抱き、家族にかける精神的、経済的、肉体的負担に対する深い負い目にさいなまれている。

 全日本民医連は、本判決を真摯に受け止め、国は控訴しないこと、泉南アスベスト被害者全員の早期解決に速やかに応じ、国の責任を認め原告団・被害者に対 し謝罪と補償を行うことを強く要求する。また、国の責任の明確化と被害者救済制度の抜本的な見直し、これ以上のアスベスト被害を発生させない規制や対策の 強化、健康診断の充実、補償制度の改善のために、被害者の完全救済に向けて引き続き奮闘する決意である。

(PDF版)

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