いつでも元気

2014年2月1日

くすりの話 164 予防接種とワクチン

Q:予防接種ワクチンの始まりは?

genki268_04_01A:17世紀後半、イギリスの開業医だったエドワード・ジェンナーが、「牛痘(牛のかかる天然痘)にかかった人は、天然痘(伝染力が強く、感染すると死に至る ウイルス)にかからない」という仮説を立て、研究を始めました。そして牛痘ウイルスを人に接種し、天然痘を予防する方法を考え出しました。
 その約100年後、フランスの細菌学者ルイ・パスツールが病原体そのものを人工的に弱らせてワクチンを作る方法を生み出し、予防接種を世に広めました。
 日本では北里柴三郎が不可能と言われていた破傷風菌の培養に成功し、毒素を無力化する抗体を発見して、血清治療法を確立しました。その後、北里の研究をもとに、さまざまな病気に対するワクチンが開発されました。

Q:どんな種類のワクチンがあるの?

A:日本で決められた期間内に公費で受けられる定期予防接種 は、三種混合(ジフテリア・百日ぜき・破傷風)やBCG(結核)、MR(麻しん・風しん)、日本脳炎、ヒブ、小児肺炎球菌などがあります。また、自己負担 で受ける任意の予防接種にはインフルエンザや水ぼうそう、おたふくかぜなどがあります。
 ウイルスや細菌が生きている状態で使用する生ワクチンや、生物としての活発な働きをなくして作った不活化ワクチンなど、病気によってワクチンの種類や接種の回数、時期などもさまざまです。

Q:ワクチンが果たしてきた役割は?

A:予防接種ワクチンは、十分な免疫をもたない乳幼児や高齢者などを 感染症から守るとともに、社会全体の免疫を高めて感染症の流行を防いでいます。予防接種のおかげで天然痘は撲滅されましたし、毎年流行するインフルエンザ も多くの方が予防接種を受けることで、流行の拡大や発症した際の重篤化を防ぐことが期待できます。
 しかし大きな効果が期待できる反面、薬と同じで副反応のまったくないワクチンはありません。高熱が出たり後遺症を残したり、ときには命を落とすこともあ ります。ワクチンによる健康被害が認められた場合、定期予防接種では「予防接種健康被害救済制度」が、任意接種では「生物由来感染等被害救済制度」による 救済措置がありますが、定期接種と任意接種では補償金額などに大きな開きがあります。
 定期接種は必ず受けることをお勧めしますが、任意接種はどのような病気が防げるのか、受けなかったらどうなるのかなどを、医療スタッフや家族とよく相談 して選択することが重要です。そして安全で有効なワクチンを公費で接種できるように、国や自治体に要望していきましょう。

いつでも元気 2014.2 No.268

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