民医連新聞

2004年9月6日

新医師臨床研修だより(2) 民医連関西臨床研修センター

近畿地協がもつ力を共有して生かす

 近畿地協は今年4月、「民医連関西臨床研修センター」を発足させました。臨床研修必修化にあたり、民医連 の先進的な研修の実績を共有し地協全体の研修の質を高めようと、02年より16病院が参加するプロジェクトとして準備してきたものです。現在、「統一研修 プログラム」で23人の1年目医師が研修中、2年目医師10人が地協内の他病院をローテート研修しています。
(西谷輝彦、大阪民医連)

 「研修センター」プロジェクトでは、地協レベルの医師委員会、各科責任者会議、研修委員会と連携し、各科の研修 期間の統一、到達目標、評価基準づくりについて、何重にも議論してきました。また「指導医セミナー」「合同OSCE」「研修医症例発表会」を地協で毎年開 催し、指導医の養成と研修交流をすすめました。

 県連間のローテートは、奈良、兵庫、和歌山から大阪、京都へ、また京都、大阪から兵庫、奈良へのような形で、02年卒研修医からスタートし、04年卒まで40人が参加することになります。

役立つ他県連での経験

 大阪の吉川円医師(03卒)は、大阪・耳原総合病院と奈良・吉田病院(地協の精神科センター)で1.5カ月間精 神科の研修をしました。その経験を、「患者がどんな経過を経てきたのか、聞き取ることを大切にする研修でした。指導医、スタッフ医師とディスカッション し、治療方針を考えましたし、勉強会もたくさんしました。もっと時間があれば閉鎖病棟で一日過ごしてみたかったのですが、ちょっと足りなかった。でも他病 院の医療にふれてよかったと思います。精神科の薬の使い方の勉強が役立っています」と話しています。この秋からは大阪・西淀病院で研修します。

 兵庫から大阪・耳原総合病院に1年間入っている和田陽介医師(03卒)も、「異動した当初はとまどいましたがす ぐ慣れました。ここは救急の症例数が多いし重症例も勉強できます。おかげで最近は心筋梗塞も一通り診られるようになりました」と、振り返ります。「仲間が 多いことも励み」で、悩んだ時に相談したら「なんだ、同じようなことで悩んでいるんだ」と気が楽になったそうです。「兵庫に帰ったら1年目の指導を担当し ますが、ここで学んだ救急医療の考え方や、学問的に詰めて考えることの大切さを生かしたい」と意欲的です。

地協の人的・物的資源生かそう

 研修医の状況把握は2カ月ごとに開く「研修センター」運営委員会で行っています。各県連の研修委員長が運営委員です。研修チェックリストの統一、「症例レポート」様式の標準化、オンライン卒後研修評価システムの導入もここで検討し、活用をすすめています。

 研修センター長の大島民旗医師(大阪民医連・西淀病院)は、「地域での研修にかけては、民医連は老舗みたいなも の。いま、これをアピールする絶好の機会です。患者・国民のニーズ、研修医・医学生のニーズをつかみ、技術も人間性もそなえ、患者に共感できる医師を育て て行きたい。そのために地協全体のもつ様ざまな人的・物的資源を最大限生かさなければ」と地協の連携を強調しています。10月には、東海・北陸地協の卒後 教育開発センターとの共催で、厚生労働省承認の「指導医講習会」を開催します。

マッチング時代の医学対に

 また、研修センターと医学対活動の連携についても議論が開始されています。研修センター副責任者の佐藤洋一医師 (地協医学対責任者・和歌山生協病院)は、「卒年になって民医連に急接近してくる医学生が増加しています。その対応の比重が大きくなり、医学対活動の本道 である中低学年対策が後手になる傾向があります。そこで、卒年対策は研修センターで、中低学年対策を医学対運営委員会で対応し、同時進行できる方向を検討 しています」と〝マッチング時代〟の医学対活動のあり方についても、地協的に論議しようと提起しています。


「民医連関西臨床研修センター」の役割

(1)指導医養成
(2)初期研修2年間のプログラム(評価・実践)管理
(3)各県連の研修委員会への乗り入れ、指針づくり
(4)医学対卒年対策との連携
(5)シニア研修の交流・研究
(6)臨床研修カリキュラムの開発
(7)研修医、指導側評価の開発
(8)広報・宣伝(HP、セミナー開催、ニュースの発行など)
(9)厚生労働省との窓口
(10)研修環境整備(教育機材、文献等)の情報提供、など

(民医連新聞 第1339号 2004年9月6日)

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