民医連新聞

2004年9月6日

山形の「アスパラK」誤注射事故で緊急に呼びかけます

二〇〇四年八月二〇日 全日本民医連・医療部長 小西恭司

 高濃度カリウム製剤「アスパラK」の誤注射事故が山形・鶴岡協立病院で発生し、患者様が亡くなりました。二年前の下越病院のKCL誤注射に続く痛恨の事故です。総合的な原因解明は途上ですが、緊急に、二つの視点と三つのとりくみを提起します。

 一つは、この事故は「組織事故である」という視点です。自らの病院や診療所の注射業務の流れを追って、点検することが重要です。

 ICU、循環器病棟、救急カートなどに、まだアンプル型高濃度カリウム製剤が残っていないか、再度、実地に点検して下さい。

 残っていることを発見した場合、「なぜ排除できないのか」、現場の医師や看護師とよく話し合い、根気良く説明 し、排除を断固貫く姿勢が求められます。同時に、注射業務の全体について、指示簿のあり方、医師の指示出し、看護師の指示受け、その伝達、薬剤師の役割、 確認会話、注射の実施、実施後の観察など、あらためてルールの遵守を意志統一することが大切です。

 二つ目は、「全国の経験・教訓を他人事にせず学び、自己点検・相互点検を行う」という視点です。他で起きた事故は、自分の所でも起きうると考えることが重要です。自己点検だけでは不十分で、法人・県連・地協での相互点検も検討し、実施して下さい。

 「高濃度カリウム製剤を総点検したら、診療所にあった」「点滴途中での混注を禁止したが、医師の途中指示は止ま ず、薬剤師が一つ一つ訂正させている」などの報告もあります。日本医療機能評価機構の認定病院での調査(二〇〇四・七・一)でも、回答四二〇病院中二〇六 病院で「薬剤部以外に在庫があった」という実状です。高濃度カリウム製剤は「自分の部署にはない」という思い込みが事故につながります。

 当面のとりくみとして三点提起します。

 一つは、緊急通達「アンプル型高濃度カリウム製剤、一〇%キシロカインのすべての病棟及び外来在庫廃止についての緊急提起」を事業所のすべての職場に徹底して下さい。そして「注射に関わる緊急点検」に、全事業所で点検・回答をお願いします。

 二つ目は、注射業務に関わる「総合的点検」を予定しています。指示出し・指示受けから実施後まで、注射業務の流れ全体を点検する作業が必要です。ご準備下さい。

 三つ目に、パンフ『みんなでとりくむ注射事故予防』の学習を、あらためて提起します。これは、全日本民医連と労働科学研究所がT病院で実施した調査をもとに、注射事故防止・改善策立案をわかりやすくまとめた貴重な文献です。再度、法人・事業所をあげて学習してください。

以上

(民医連新聞 第1339号 2004年9月6日)

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