民医連新聞

2004年10月4日

安全・安心の医療をもとめて(29) 群馬・利根中央病院

注射手順を見直して―

 利根中央病院では、今年三月に注射伝票を変更しました。これに伴い「指示出し」「指示受け」「準備確認」「実施時・実施後の確認」を徹底して行い、この 四カ月間に提出された注射のレポート分析を各委員会に報告、職場へも改善要求を行っています。リスクマネージャーの吉野幸子さんに聞きました。

 きっかけは今年四月の機能評価受審です。各種の医療整備の中で、注射の実施ルールについても見直しました。

[指示のしくみを改善]

 それまで、注射の指示は「医師が指示簿に書く」↓「看護師や事務が実施伝票に転記」という手順だったものを、指 示簿を廃止し、四枚複写の注射伝票に変え(一枚目はカルテに、二枚目は看護師の実施伝票に、三枚目は薬剤部に、四枚目は保険請求用になります)、医師が伝 票を書くことに徹底しました。

 提起した当初は「医師の仕事が増える」「不可能な作業ではないか」という声もあがり、激論になりました。あわせて、個々の医師ごとで違いがあった注射指示の表記の統一も提案しました。これにも異論は出ましたが、意見を聞きながら、すすめてきました。

[注射実施の手順]

 注射の実施にあたっては、薬剤のミキシング、患者さんへの実施、各手順ごとに指示伝票を確認します。ミキシング は、必ず二人の看護師で行います。注射の際は患者さんに名乗っていただきます。お話できない患者さんには、ネームバンドとベッドの名札を確認。注射施行後 にもう一度伝票を確認し、実施者がサインします。

 「注射を実施する時も伝票を持ってゆく」とした決まりは、現場のスタッフにとって抵抗があったようでした。でも 伝票は大切、これは譲れない手順です。医師が伝票を書き、その指示通りに注射薬がつくられても、最後に注射を実施するスタッフが患者さんを取り違えてしま えば、それまでの準備段階での努力はすべて無になってしまうからです。

 リスクマネージャーは、全職場をまわり、注射薬をミキシングする場面、注射を実施するかたわらに立ち、手順をチェック。その場で誤りや改善点を指摘してきました。

 また、看護部の安全推進委員会では、病棟ごとにあがってくるミスの発生レポートについてその職場に「なぜ起こっ たか」、分析と改善を求めるようにしています。注射レポート内容を数カ月間観察すると、患者や薬の追加のまちがいが起こる部署が歴然としてきます。「決め た手順が守れないのはなぜ?」と相互に交流するなかで、推進委員が職場で努力をはじめるようにもなりました。

(民医連新聞 第1341号 2004年10月4日)

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