医療・福祉関係者のみなさま

2011年7月2日

【声明2011.07.02】社会保障切り捨てと国民への負担増を新たに強いる「社会保障・税一体改革成案」に断固反対し、白紙撤回を求める

2011年7月2日
全日本民主医療機関連合会
会長  藤末 衛

 菅内閣と民主党は、6月30日、社会保障の切り捨てと社会保障財源を消費税増税に求める「社会保障・税一体改革成案」(以下、成案)を決定した。
 成案では、「中規模・高機能な社会保障」の実現を目指すとして、(1)子ども・子育て支援、若者雇用対策、(2)医療・介護等のサービス改革、(3)年 金改革、(4)制度横断的課題としての「貧困・格差対策(重層的セーフティネット)」「低所得者対策」を優先的に取り組むとしている。
 しかし、その内容は「負担と給付の関係が明確な社会保険(=共助・連帯)の枠組みの強化」であり「世代間のみならず、世代内(特に高齢世代内)での公平 の確保、所得再配分機能の強化を図る観点から給付と負担両面での見直し」を行うとし、医療・介護・保育等のサービス分野では「多様な主体の参加」「新しい 公共の創出」などを図るとしている。その上で「必要な機能の充実と徹底した給付の重点化・制度運営の効率化」を同時に実施する、としている。
 しかも、「社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税収(国・地方)を主要な財源として確保する」とし、その消費税率を2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げると明言している。
 以上のように、「成案」は、社会保障の「重点化・効率化」を強調し、医療・介護・保育・年金など各分野の給付削減と負担増を盛り込み、その一方で、国民 には、消費税増税などの負担増と個人所得把握のための番号制度等の導入を迫り、大企業には「法人課税の引き下げ」を公言している。
 「成案」は、国民にとっては、まさに「やらずぶったくり」の改革案である。これらは、この間社会問題化している「貧困と格差」の広がりや弱者の社会的排除を回避するどころか、より拡大・深刻化するものである。
 今、日本には、10万人近い東日本大震災の被災者・避難民が避難所生活を余儀なくされ、また、福島第一原発事故の収束の見通しが立たず、日増しに深刻さ が増している状況のなかで、被災者にすら負担を押し付ける、社会保障制度の大改悪と国民大収奪の「成案」を断じて認めるわけにはいかない。
 全日本民医連は、「患者になれない病人の増大」「手遅れ死亡の増大」「利用できない介護保険」など経済的理由で医療・介護から「排除」されている診療現 場・介護現場の状況を緊急に打開するためには、社会保障費の大幅な増額、社会保障制度の充実が必要で、国民負担は大幅引き下げをすべきと考える。この政策 は、かつて民主党が「総選挙政策」に掲げ、国民に公約したものである。
 全日本民医連は、社会保障切り捨てと国民への負担増を新たに強いる「成案」に断固反対し、白紙撤回を求める国民的大運動を呼びかけるものである。

(PDF版)

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