医療・福祉関係者のみなさま

2011年11月16日

【声明2011.11.16】薬害イレッサ東日本訴訟 東京高裁の不当判決に抗議する

2011年11月16日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛

 昨日、東京高裁は、薬害イレッサ東日本訴訟の控訴審について、東京地裁の判決を覆し、国とアストラゼネカ社の責任を否定する極めて不当な判決を出した。全日本民医連は、東京高裁の不当判決に対し満身の怒りを込めて抗議するものである。
 今回の判決の理由は、薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団の声明でも述べられているように、「承認前に集積された副作用報告症例について、当該医薬品と の『因果関係がある可能性ないし疑いがある』というだけでは足りず、確定的に『因果関係がある』と言える状態に至らなければ、安全対策をとる義務が発生し ないとするに等しい極めて特異な考え方を大前提」に出されたものである。
 これは薬害スモン事件以来、度重なる薬害事件の教訓の上に幾度となく薬事法が改正され、国も製薬企業も薬害根絶のために努力してきた内容そのものも否定 するものであり、極めて許さざるべき判決である。しかも、今回の控訴審においては、たった2回の審議しか行われておらず、第2回裁判が10月25日に開か れて1ヶ月も経たないうちに判決を出したことは、高裁としての機能を果たしていないと言わざるをえない。
 今回の裁判は「がん患者の命の重み」を問う重要な裁判である。抗がん剤の有用性のみが重視され、結果として患者に対する安全性が軽視されることはあって はならない。その意味においても今回の判決は断じて容認できるものではなく、これまでの医薬品を安全かつ有効に使用する医療現場の取り組みや薬事行政をも 否定するものである。
 全日本民医連は、改めて今回の東京高裁の不当判決に対して抗議するとともに、薬害被害者に寄り添い、薬害イレッサ事件が全面解決されるまで奮闘する決意 である。同時に、国とアストラゼネカ社は被害者救済の立場で、即刻、和解の場につくことを求める。

以 上

(PDF版)

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