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■Ⅳ 地域包括ケア編

Ⅳ−1 政府の「地域包括ケア」構想とはどのようなものですか。どう考えたら良いのでしょうか

 厚生労働省は、「地域包括ケア」を以下のように定義しています。
図 「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制。
 その際、地域包括ケア圏域は、「おおむね30分以内に駆けつけられる圏域」を理想的な圏域として具体的には、中学校区を基本とする。」
 厚生労働省のすすめる「地域包括ケア」には、二つの側面があります。一方の側面では高齢者のおかれている現状や要求が反映されています。身近な地域でケア体制が組織され、医療や介護の一体的な提供(保健・医療・福祉の統合)や住まいの整備など、今後の高齢化のすすむ社会に向けた重要な課題が盛り込まれています。もう一方は、「自助」「互助」が強調され「自己責任」「市場化」の理念を土台としています。社会保障の充実を求める高齢者・国民の要求を逆手にとり、国にとって「スリム」で「効率的」なサービス提供体制、医療・介護の「新たな公費抑制システム」をすすめるために設計されていることは重大な問題点です。

Ⅳ−2 地域包括支援センターは「地域包括ケアの中核的マネジメント機関」とされ、様ざまな役割・機能が求められていますが、現状はどうなっていますか。

 地域包括支援センターは、2011年3月末時点で、全市町村において4,145ヶ所、ブランチ等出先機関を含めると7,083ヶ所が機能しています。そのうち民医連のセンターはサブセンター・ブランチ等を含め75ヶ所です。
 センターは、総合相談業務や包括的・継続的マネジメント業務を通じて地域包括ケアを支えるサービスのコーディネート機関として位置づけられていますが、総合相談・介護予防活動・ケアマネジャー支援などの本来の業務を十分に取り組むことが出来ない状況があり、その理由が介護予防支援(予防ケアマネジメント)業務であることは厚生労省の実態調査においても報告されています。また、委託料が低額なため、民医連の地域包括支援センターの73%が赤字であり、増額を求め自治体に対する働きかけが必要です

 今後、各自治体によって地域包括支援センターの強化が図られますが、民医連の地域包括支援センターは、予防給付切り下げの仕組みを制度化した介護予防・日常生活支援総合事事業をはじめ「自助」「互助」に重心を置いた政府の「地域包括ケア」構想のもとで、生活と人権を守る地域の砦としての役割の発揮、機能強化が求められています。

Ⅳ−3 ケアマネジャーは、「地域包括ケア」においてどう位置づけられていますか。ケアマネジャーの在り方について見直しが開始されたと聞きましたが、どのような内容ですか

 地域包括ケアを実現するためには、介護・医療・生活支援・住まいの確保などに関する様々な制度の活用や多職種との連携を図るための「包括的マネジメント」が求められています。家族の援助や近隣の援助も含めた、多様なサービスをコーディネートして支えるのがケアマネジャーであり「地域包括ケアシステムの支え手」と位置づけれています。
 しかし、ケアマネジャーによるケアマネジメントの現状に対して、アセスメントやケアカンファランスが十分に行われておらず、ケアマネジメントが十分にその効果を発揮していない。ケアマネジメントが利用者・家族の意向を尊重するだけの内容にとどまる「保護型介護」となっているが、「自立支援型介護」「予防型介護」のケアプランとなるべきであるとの指摘が、介護給付費分科会で行われてきました。
 2012年3月から開催されている「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」において、介護給付費分科会の議論を踏まえて“ケアマネジャーの養成・研修課程や資格の在り方に関する検討”が行われ2012年秋には中間的な議論の整理が行われる予定です。
 ケアマネジャーは、「介護保険制度の要」として位置づけられ、要介護者の立場に立って、高齢者自身の生活を営むためにサービスを自己決定・自己選択することを援助しています。同時にサービス調整役・責任者としての役割とともに、給付管理業務として費用抑制の役割を担わされています。また、記録や保管資料等は法的整備のために細かい実務が求められ忙しさが増しています。

 
全日本民医連
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