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ここが聞きたい!介護保険と「社会保障・税一体改革 目次ページへ→

■Y 介護保険制度の「緊急改善」を求めます

Y−1 いま、何が全体の運動の焦点になっていますか。

イラスト 最大の焦点は、「社会保障・税一体改革」です。
 改革の目的は何よりも消費税の増税にあり、介護、医療をはじめ社会保障制度全般にわたる大改悪が「一体的に」打ち出されています。
 6月22日、消費税増税と「社会保障制度改革推進法」、および今後の社会保障改革の皮切りとなる年金改革、子ども子育てシステムの各法案が、衆院で可決されました。審議の場は参議院に移っており、介護保険のさらなる改悪を許さないためにも、この法案そのものを廃案にしなければなりません。
 「社会保障・税一体改革」阻止、消費税増税に頼らない社会保障制度の拡充・改善を求める声で国会を包囲していきましょう。介護ウェーブをこの大きな運動の一環としてしっかり位置づけて取り組んでいきましょう。

 ★資料 介護ウェーブ推進ニュース

Y−2 介護保険が施行されて12年、見直しのたびに制度がどんどん悪くなっていると感じますが。

 確かにこの12年、政府・厚労省の手により介護保険制度の改悪か重ねられてきました。しかし、私たちは、政府の思惑どおり制度改悪をそのまま許してきたわけではありません。多彩な運動を通して、改悪をはね返し、改善を実現させてきました。
 最近では、介護報酬2009年改定での初めての引き上げを実現させたことがあげられるでしょう。介護現場の厳しい実態を告発してきた私たちの運動が政権与党を動かし、「政治判断」をかちとる重要な成果でした。同年秋から実施された一般財源による介護職員処遇改善交付金制度もふくめ、介護現場の声がなければ、おそらく実現には至らなかったと考えられます。
 さらに、同じ年に実施された要介護認定制度の見直しでは、理不尽な「認定調査基準」(たとえ寝たきり状態であっても、口から食べられなければ食事介助の手間が生じないので「自立」、髪の毛がなければ整髪の必要がないので「自立」と判定等)に対して、実施後わずか半年の時点で全面的な修正を実現させました。おそらくこれだけ短期間での大規模な修正は、厚労省自身も「経験」がなかったことだと思います。事例にもとづき、問題点を告発してきた成果といえるでしょう。
写真 また、自治体段階では、介護保険料や利用料の軽減策、生活援助の利用制限をはじめとするローカルルールの是正、特養などの施設整備など、地域の実情の即した様ざまな具体的な成果を生み出しています。
 民医連の「介護ウェーブ」は、こうした介護改善を求める運動の中で大きな役割を果たしてきました。利用者の具体的な実態・事例や、介護現場や地域の要求に基づく粘り強い運動は、まさに民医連ならではの取り組みといえるでしょう。

Y−3 介護保険制度について、どのような改善が求められていますか。

 第1に、現状の困難を一刻も早く打開するための緊急改善です。
 (1) 利用者や介護保険料など低所得者の費用負担の軽減をはかること、(2)生活援助や軽度介護の削減をとりやめ、内容を拡充すること、(3)支給限度額を引き上げること、(4)特養など施設の緊急整備を行うこと、介護療養病床廃止方針は撤回すること、(5) 「医療行為」法制化に伴う研修保障、および介護・福祉現場への医療職の増員配置、(6)介護報酬を再改定し基本報酬の大幅に底上げすること、報酬引き上げが利用料に反映しないしくみをつくること、(7)実効ある処遇改善策を講じること、(8)介護保険財政における公費負担割合を引き上げること−を早急に実施すべき課題として要求します。

 第2に、介護保険制度の抜本改善です。
 上記の緊急改善にとどまらない、制度に対する総合的な検証、それに基づく抜本改善を求めます。その際、2つの原則−「必要充足」原則(給付は「負担」に応じてではなく「必要」に応じて)、「応能負担」(負担は「給付」に応じてではなく「負担能力」に応じて)原則−を貫いた制度そのものの再設計が必要です。具体的には、利用料負担や現行認定システム、支給限度額の廃止、給付体系の見直しと現物給付化などがあげられます。「名ばかり社会保険」ではなく、必要な人に必要な介護が保障される制度への抜本的なつくりかえを強く求めます。
 こうした抜本改善をつみかさねながら、介護保険をふくめた介護保障制度のあり方について国民的な議論を進めていきます。

 第3に、あるべき地域包括ケアの実現です。
 私たちが地域包括ケアに求めるのは、国が言う「自助」や「自立」を基本とした、「入院から在宅へ」、「医療から介護へ」を基調とする提供体制でも、「施設から在宅へ」、「軽度から重度へ」を掲げる給付の重点化でもありません。住み慣れた地域で、「入院も、在宅も」、「医療も、介護も」、「施設も、在宅も」、「軽度も、重度も」、経済的事情に関係なく保障される体系です。そして、現場で介護や医療を担うすべての職員がその専門性を発揮し、生き生きと働き続けられる環境づくりです。「住まいの重視」も強調されています。居住権保障の課題として、低所得者を対象とする住まいに対する公的保障も必要です。そのためには、財政責任もふくめた公的責任の抜本的な強化が不可欠です。すべての自治体、地域で、憲法25条を土台にすえた地域包括ケアを実現させなくてはなりません。

 
全日本民医連
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