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全日本民医連 第36期 第3回評議員会決定

第36期 第3回評議員会決定 

2005年8月21日 全日本民医連第36期第3回評議員会

はじめに
(1) 情勢に対する認識
(2) 第37期総会までに全国的に力を集中し、前進をめざす重点方針の提起
  1. 平和と憲法を「学び、生かす」大運動を展開し、民医連職員の総結集をはかろう
  2. この秋、すべての職場、職員の参加で、具体的に受療権を守るとりくみを強めよう
  3. 介護保険「改悪」を受け、国の自治体にむけ「利用者の権利」を断固守り抜くために具体的な改善の運動と介護事業のとりくみ強化をすすめよう
  4. 月間で10万、第37回総会までに320万共同組織、5万5千部の「元気」読者を実現しよう
  5. “看護が輝く”ために、たたかいの共同とすべての職種の協力と協働を強めよう
  6. 民医連の研修を充実させ、すべての研修医と対話すること、中低学年で最低でも50人の奨学生を迎えること、06卒で150人以上の研修受け入れを実現しよう
  おわりに


はじめに

 第2回評議員会以後半年間が経過しようとしています。戦後60年・被爆60年の節目の年、私たちは平和と人権、医療・福祉を受ける権利の擁護のために、奮闘してきました。
 今回の評議員会の任務は、情勢認識の一致をはかり、第37回総会方針まであと半年間、第36回総会方針やこれまでの評議員会決定を踏まえ、全国的に力を集中してとりくむべき課題を鮮明にし、具体化にむけ意思統一をおこなうことです。今回、第2回評議員会以降の活動については、期間が短いこともありその総括は第37回総会に譲り、大まかな特徴のみを述べます。
 第2回以後のとりくみの特徴は、
 第一に、平和アクションプランにもとづいて91名の代表団を送ったNPT再検討会議や辺野古への連帯支援行動(第4次までで沖縄除き660名)、平和交流集会の成功、さらには各地・各事業所における9条の会結成などかつてなく平和と憲法を守る活動にとりくんだことです。そして、この取り組みを通じて職員や共同組織の仲間がたくましく成長しています。
 第二にアスパラKの事故を契機に注射業務について全国一斉点検活動とまとめをおこない、見直し、改善をすすめたことです。医療安全のとりくみの水準を引き上げる機会となっています。医療安全や医療整備での向上にむけて、全国各地で必至の努力が続けられています。
 第三に、介護保険改悪反対、障害者自立支援法反対の運動を強めたことです。介護保険改悪法を阻止することは出来ませんでしたが、障害者自立支援法は廃案に追い込みました。粘り強い運動と国会での論戦を通じて介護保険改悪法の問題点が明らかになり、各地で地域の他の介護事業所や利用者家族などとの共同が広がったのが特徴的です。同時に、決めた目標(300万筆・1万回)を達成することが出来ませんでした。今後のためにも分析が必要です。今後、国と自治体にむけ緩和措置を実施させ低所得者や軽度介護者を排除させないとりくみが重要です。
 第四に、6月、岡山で第八回共同組織交流集会が開催され、1500人の参加で大きな成功をおさめました。共同組織が307万となり、「元気」は5万2千部となりました。
 第五に、きびしい経営環境のもと04年度決算(速報値)では79.1%(前年77.5%)の医科法人、94%(98.7%)の薬局法人が経常利益黒字となりました。しかし病院の53%(51%)が赤字という結果でした。医科法人は全体として前年より事業収益(5,207億円→5,281億円)を伸ばし、平均の保健:医療:介護の収益比は3.5:83.1:13.5(3.5:83.8:12.7)となっています。
 第六に、この春、200人を超える新卒医師・歯科医師の入職、千人近い看護師(保健師、助産師含む)、さらには薬剤師や理学療法士など医療技術職、介護職、事務などで3千名近い仲間が加わりました。
 医師養成、民医連看護の輝きを増す課題など、第二回評議員会の提起にもとづいて議論と実践がはじまっています。歴史・綱領パンフ改訂版(2005年版)や「みんいれん半世紀」、「医療倫理のはなし」を出版しました。先輩達や私たち自身が築き上げてきた“いのちの平等”の理念と実践を更に発展させ、大いに民医連運動のロマンを語り、力をあわせ新たな前進を期していきましょう。


(1) 情勢に対する認識

 4月末に起きたJR西日本の事故は、乗客の安全よりも利益優先・働く人軽視の組織の体質を端的に示しました。事故が多発するJALも同様で、20年前の墜落事故の教訓が生かされていません。あらためてなにを使命としているのか、組織のあり方が改めて問われています。
 東京都議選挙は、都民の小泉政権や石原都政がすすめる悪政への批判が強く示されました。しかし、その批判がストレートに革新政党に向かわず、野党ポーズをとった民主党に流れました。介護保険法案に賛成し、増税や改憲をねらう民主党、国民の声を反映しない2大政党化への批判も忘れてはなりません。

〔平和と憲法をめぐる動向〕
 秋には自民党、民主党の改憲案が出されます。東条英機の孫がマスコミに登場し「侵略戦争ではなかった」といい、A級戦犯の孫で、靖国参拝や改憲を強く主張する前自民党幹事長・安部晋三氏が次期総理ともてはやされるなどの時代的状況や右派ジャーナリズムの影響もあり、改憲にむけた動きは緊迫を迎えます。また教科書採択を眼前にして「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民教科書の採択を迫る動きも急です。
 一方、国際的には米国に盲目的に追随し、対アジア軽視の外交の失敗など小泉政権に対する国際・国内的な批判、孤立も深まっています。9条の会をはじめとする平和と憲法を守るとりくみも党派を超えてひろがり、60年安保以上の組織が全国各地に生まれています。とりわけ戦争体験者の中で強い危惧が示されつつあり、自衛隊合憲(専守防衛)論者にあってもなんとしても「戦争する国」への急傾斜に反対しするなどの幅広い動きが見られます。9条を守る運動は、こうしたこれまでない国民多数派を結集する運動の提起であり、9条の会の趣旨でもあります。
 9条改憲策動を打ち破ることが出来れば、米国・日本の支配層のもくろみは大きく転換せざるを得ない状況となり、新しい平和と民主主義、人権が息づく日本への第1歩につながります。そのために改憲をねらう勢力も必死の状況であり、あらためて過半数以上の国民が自らの意志で平和憲法を守り抜くたたかいを組織していくことがいっそう重要となっています。

〔医療・福祉をめぐる情勢〕
 戦争推進政策と弱肉強食を論理とする新自由主義的政策は表裏一体のものです。医療・福祉への公的責任の放棄と市場への開放、消費税の大増税を含む税制改革、郵政民営化で国民の貯金(340兆円)を日米の大銀行にふりむけさせるなどの路線は米日支配層の悲願であり、一大戦略です。特に「小泉骨太方針第5弾」では来年度、医療にターゲットをしぼり、大改悪を準備しています。また、東京都が今年4月より民間救急コールセンターを発足させ、連動する形で総務省消防庁のもとに救急車の有料化を検討する会議を今春発足させました。米国ではニューヨーク(基本料金25,000円+1マイル600円加算)、サンフランシスコ(38,500円+1マイル1,400円加算)など、有料化によって最も制限されるのは貧困層で、症状が重くなって受診するため、かえって医療費の増加を招いています。医療を市場原理にゆだねている米国では、お金持ちには移植医療や遺伝子治療など最高の医療が提供される一方、国民の7人に1人、4500万人が無保険者で、自己破産者の半分にあたる年間約130万人が、医療費の支払い不能を理由に自己破産しています(日経新聞05.5.19)。いのちの最も根源である救急救命医療の一貫である救急車すら有料化するような医療福祉を市場原理に投げ出す路線、「医療や福祉の商品化」の道を歩んではなりません。
 国際的にみても先進国の中で社会保障費へのGDP(国内総生産)比率が14.75%ともっとも低いのが日本です(ドイツ33.7%、スウェーデン32.9%、フランス28.6%など)。
 憲法が保障する人権は生活の中で実現されるもので、生活の豊かさこそが指標です。経済優先でなく人間優先の立場から、政治・経済、医療・福祉、教育、環境など、生活を支えるシステムをつくっていく、例えばスウェーデンなど福祉国家が歩み始めている道に、日本の政治、経済の転換を迫っていく運動が重要です。

〔国民生活をめぐる状況〕
 内閣府の所得再配分調査(02年度)では、上位所得者20%の総所得と残り80%の国民の所得が同額で、所得格差は96年の33倍から99年61倍、02年168倍となっています。年金収入などを含めた再配分所得でみても8.7倍と貧富の格差が急激に拡大しています。上場企業は3年連続史上最高益を確保、繁栄を謳歌するトヨタは年事業収益18兆円、利益は1兆5千億円とこれも史上最高です。その一方で企業の正職員比率は90%から70%台に落ち、その分をフリーターや契約社員、パートなど非正規社員が増大し、パートの平均年収120万円、契約社員220万円で正社員の半分以下です。高齢者の60%は月5万円以下の年金(国民年金平均4.7万円)が現実です。また、04年度厚生労働省国民生活基礎調査では1世帯あたりの平均所得は7年連続して減少し、「生活が苦しい」と意識している世帯は55.8%と過去最多となりました。
 この国民の苦難に対し、さらに大規模な増税、消費税増税、医療・福祉の自己負担増などで襲いかかろうとしているのが小泉政権の「構造改革」です。規制改革会議の宮内オリックス会長は「東洋経済」(01.1.26)のインタビューに答えて次の発言をしています。「国民がもっと様々な医療を受けたければ『健康保険はここまでですよ』、後は『自分で払い下さい』がいい。金持優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療が受けたければ、家を売ってでも受ける選択をする人はいるでしょう。利潤動機の株式会社に人の命を預ける医療を担わせるとは何事かといわれるが、医療サービス、病院経営には民間の知恵を入れるべき」。そして大規模な宣伝で民間医療保険が売り出されています。
 自営業者はいっそう困難を極め、全商連共済会報告では初診から1年以内の死亡が48.7%、半分ががんによる病死、30〜50歳代では死因の第一位が自殺、健診の有所見率は78.3%と依然深刻な健康状態となっています。一般労働者の健診有所見率も1995年の36.4%から03年度は47.3%に増加し、自殺は7年連続3万人を超えました。遺書にみる死因では健康問題が39.1%、経済問題が32.9%と群を抜いています。まさに小泉流「弱肉強食」政策の深刻な結果です。

〔民医連攻撃について〕
 平和や人権を守るたたかいの先頭にたってきた民医連に対し、東京都議選挙では、新たな攻撃が加えられました。その内容は医療事故に関わる異例とも言える警察介入と警察リークによるでたらめなマスコミ報道をもとにしています。これまで東京で起きた住民運動を装った民医連の事業所建設妨害運動と違う新たな手口です。東京民医連、法人は事実に基づき、職員、共同組織とともに反撃し、外部の医師や弁護士ら専門家の力も結集して、これらの策動を打ち破りました。あらためて各県、法人レベルでの弁護士を含む集団的な検討と全日本民医連への集中を強調します。

〔総選挙にあたって〕
 小泉首相は、参議院で郵政民営化法案が否決されたのを受けて、衆議院を解散し、総選挙に打って出ました。小泉首相は、総選挙の最大の争点は「郵政民営化」であると主張していますが、そもそも、340兆円に上る郵便貯金・簡易保険を日米の金融資本に渡すことを主目的にしたこの法案に道理はなく、国民の要求でもありません。総選挙で問われるのは、この4年間、小泉内閣がすすめてきた米国に追随して自衛隊の海外派兵を強行し、また、03年の医療大改悪、04年の年金大改悪、05年介護保険改悪をすすめ国民に塗炭の苦しみを与え続けてきた小泉「構造改革」路線そのものです。今後も、医療や障害者、社会保障改悪、消費税の大増税、定率減税の廃止など、国民にとってさらなる改悪が準備されています。また、国の根幹に関わる憲法9条をはじめとする憲法改悪が計画されています。米国や財界の全面支援を受けた小泉政権の極めて危険な政治路線の転換を求める選挙にしなければなりません。
 全日本民医連は、この4年間、どの政党が、平和や医療、福祉、国民生活に関連する法案にどんな態度を取ってきたのかを明らかにし、要求をかかげ運動します。今回の総選挙は、国民の生活が大切にされる政治、医療や福祉重視の政治への転換の第一歩となる重要な選挙です。
 一方、マスコミなどを通じて、自民党内部の争いに国民の目を意識的に向けさせたり、2大政党の流れを加速する動きが強まっています。民主党は介護保険改悪に賛成した政党であり、自民党と消費税増税、憲法改悪を競う政党です。全国介護政治連盟は全国老施協会員宛に「こんなひどい介護保険改悪を行った政治責任は重く」、「あまりにもひどい改革に、対抗すべくわれわれの声を政治に反映させていかねばなりません」との声明を発表する状況も生まれています。毎日新聞の世論調査でも明らかなように、国民の選挙に期待するトップ項目は「年金・医療・介護の改善」(36%)です。相次ぐ医療・福祉の改悪や平和の危機がすすむ中、辺野古や広島・長崎・沖縄などで感じてきたこと、また医療・福祉の現場で、目の当たりにしてきた困難、悔しさ、怒りを職員、共同組織の中で、大いに語り、9月5日付民医連新聞なども活用し、学び、知らせ、平和や医療・社会保障を重視する政治の流れをつくり出しましょう。


(2) 第37期総会までに全国的に力を集中し、前進をめざす重点方針の提起

1. 平和と憲法を「学び、生かす」大運動を展開し、民医連職員の総結集をはかろう

 この間、各地で創意的なとりくみが行われています。北海道のある診療所では30人の職員が昨年七月から毎週「憲法を医療・福祉の現場から考える」をテーマに事例から学習・討論を積み重ねてきました。一年が経過したのを契機にまとめ、出版を予定しています。青森では63の職場と32の地域に共同組織の「九条の会」が誕生するなど、大きなうねりが生まれています。「耳原病院医師九条の会」は湾岸戦争に参加した米兵に病気(ALSなど)が多発しているとの報告書を手分けして翻訳し、やはり出版を準備中です。沖縄では研修医会議で討議し一年目研修医10名全員が今年の平和行進に参加しました。北海道では今国会行動のたびに(6回のべ100人参加)靖国神社見学を位置づけ、「戦争と平和」について学習を強めています。東京(今年262人参加)、群馬、埼玉、静岡などでは毎年新入職員研修の一環として、実行委員会をつくり国会研修にとりくんでいます。また各地で、共同組織や患者さん・利用者から「戦争体験を聞く会」や平和学校(神奈川など)、戦跡めぐりなどが開催されるなど、生きた学習にするための努力がつみ重ねられています。大阪では医薬品・医療材料の関係者を対象にした9条学習会に140人が参加し、100人以上の賛同を得て「大阪医療関係卸・ディラー9条の会(仮称)」が準備を進められています。民医連「九条茶」は一ヶ月間で10万本が普及されるなど大きな反響を呼んでいます。
 一方、ある県連の5月末時点でのアンケートでは、まだ3割以上の職員が九条を読んだことがなく、「憲法に関心がない」9.1%、「どちらともいえない」33.6%、憲法9条改訂についてわからない20.8%という状況が報告されています。この課題は「他の課題と同列におくことのできない最重要課題です」(第2回評議員会)。自民党、民主党など各党や新聞社などがこの秋、こぞって改憲案を出してきます。あらためて「関心がない」とする職員も身近な問題、自らの問題として考え、行動に参加できるような創意工夫もし、徹底して日本国憲法を「学び直し・生かす」大運動を提起します。そしてすべての職場、すべての共同組織、地域などを中心にたくさんの「9条の会」をつくり、たとえ国民投票となっても、国民の圧倒的多数がきっぱりとした判断できる状況を、私たちの身近なところからつくりだしていきましょう。「九条の会・医療者の会」は9条と25条にちなんで、9月25日の新聞に意見広告を、11月12日に大規模な学習講演会を企画中です。11月19日には明治公園で「憲法を守る共同連絡センター」が大規模な中央集会を予定しています。地域・職場での運動をひろげ、これらの集会を大きな結節点として位置づけ成功させましょう。辺野古支援連帯行動や平和大会などのとりくみを、運動の強化と職員の成長の機会として積極的に位置づけましょう。

2. この秋、すべての職場、職員の参加で、具体的に受療権を守るとりくみを強めよう

 医療・福祉は憲法25条が定める生存権の保障そのものです。先輩たちは、25条(「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障および公衆衛生の向上、増進に努めなければならない。」)をよりどころに生活保護の改善や国民皆保険の実現、老人医療無料化制度の実現などにとりくみ、今日の到達を生み出してきました。
 各地の資格証明書や短期保険証世帯への援助活動、乳幼児医療無料化の運動、昨夏に大阪民医連がとりくんだ熱中症緊急調査などの視点に学び、地域、病棟、診察室、窓口など身近なところで起きている困難事例や要求を機敏にとらえ、受療権を守る具体的なとりくみをすすめましょう。SWなどの役割も大いに発揮し、すべての職場、職員が参加できる運動としてとりくみを強めましょう。
 医療・福祉制度は、国保44条による減免条例など、自治体の施策が大きな影響をもちます。自治体合併によって公立病院の統廃合がすすんだり、非核自治体宣言が白紙になるなどこれまで築き上げてきた行政施策が後退する動きも強まっています。多くの自治体が国保証の更新の時期を迎えます。保険料の値上げも検討している自治体も少なくありません。国保料の値上げ、短期保険証や資格証明書の発行を許さず、すべての加入者に正規の国保証を発行させることや生活保護の取得、減免制度の活用、子どもの医療費無料化など自治体の制度をよくつかみ、自治体への請願や交渉を共同組織や地域社保協と共同してとりくみ、改善をめざしましょう。
 アスベスト(石綿)のよる死者多発が社会問題となっています。この問題は、長年危険性が指摘されていたにもかかわらず、従業員への教育啓蒙活動と被害防止策を怠ってきた企業責任、必要な行政措置を実施しなかった国の責任は大きく、労災であるとともに環境・公害問題です。全日本民医連は緊急アピールを出し、取り組みの強化を呼びかけました。九州社医研、福井県連などがいち早くとりくんだ「アスベスト110番」や尼崎での健康相談や住民検診活動など、相談活動や検診はじめ被害者の掘り起こしと救済のために、全力でとりくみましょう。県によっては、呼吸器の専門家がいない、中皮腫の患者を診断したことがないなどから積極的に取り組むことが困難な状況も見られます。医師集団はじめ医療スタッフで学習会を行うこと、専門分野の医師や弁護士(団)、地域の労働組合、働くもののいのちと健康を守る地方センターとの連携を強め、すべての県連で組織的にとりくみましょう。全日本民医連として全労連や「全国」センターなどとの共同を強めます。全国的な交流会の開催を検討します。また、民医連の事業所におけるアスベストの使用状況ついて点検し、必要な改善、対策を、直ちに取り組みましょう。
 2006年度は医療・薬価・介護報酬改定がおこなわれます。連動して高齢者医療保険制度創設や混合診療に道を開く「医療制度の大改革」が準備されています。公的医療の縮小を招き、負担拡大につながる混合診療の実質解禁を許さない運動が重要です。11の病院団体からなる日本病院団体協議会は、06年度診療報酬改訂にあたり、医療安全のため、減算をやめ加算に、看護体制を1.5対1に、NST管理加算など12項目の緊急要望をまとめました。民医連として共同を強め、また独自に診療・介護報酬改善の要望書にもとづいて厚生労働省交渉を行います。医療・介護改善めざし社保パンフレットを発行します。「権利としての社会保障」はいつの時代に“たたかいによって人権として前進させてきた”ことを、大いに学び活用し、とりくみの力としましょう。医療団体連絡会議(医団連)は秋から医療改善を求める統一署名を開始し、10月27日には日比谷野外音楽堂で、運動の結節点となる集会を予定しています。

3. 介護保険「改悪」を受け、国の自治体にむけ「利用者の権利」を断固守り抜くために具体的な改善の運動と介護事業のとりくみ強化をすすめよう

 介護保険改悪法が成立しましたが、“あきらめてはなりません”。この10月からは施設等での居住費・食費の徴収が始まり、来年度からは、軽度者に家事援助の大幅な利用制限をもたらす「新予防給付」の導入などが実施に移されることになります。参院段階で付された24項目にもおよぶ「附帯決議」は、改定法が重大な欠陥を持つことを端的に示すものです。
 この間の私たちの運動は、国会審議の中で「家事援助を一律にカットしない」との答弁を引き出すなど、今後のたたかいの重要な足がかりをつくりだしました。また、介護シンポの開催など民医連外の事業所をまきこんだ様ざまなとりくみは、新しい共同をひろげ、新たな「たたかう力」をつくりだしてきました。制度の骨格は決められましたが、具体的に制度をどう実施させるかは、国、自治体に対する今後の運動が重要です。施設等の居住費・食費の徴収、介護報酬や基準の改定は重要な焦点です。自治体では、介護保険事業計画の策定や、制度改悪によって新たな困難をかかえる利用者に対してどう責任と役割を果たしいくかが問われることになります。
 たとえば通所介護で提供される食事で、利用者がかろうじて栄養バランスを保っているような状況が存在します。それが一律に食事代が全額徴収されたらどうなるか具体的な実態と要求をつかんでいるのは最も身近で介護に携わる私たちです。減免制度や生活保護の拡充など低所得者に対する配慮をはじめ具体的な改善にむけて事例や要求を科学的根拠に基づき、自治体に迫りましょう。
同時に、住み慣れた地域で、安心して老いを迎えることができるよう、「制度から排除される人を出さない」「地域の利用者・高齢者の生存権を断固守り抜く」視点を明確にした民医連の事業と経営、運動の展開が求められています。今回の改悪法は、質の向上と、予防の重視、新たなサービス体系、包括的・継続的ケアマネジメント、医療との連携強化、認知症への対応など、利用者・高齢者の要求や今後の高齢化に向けた課題を反映している点も見逃せません。それらは今後の制度運用いかんにかかっています。デイサービスを主体とした小規模で多機能型の拠点づくりや高齢者の住まいづくりなどへの積極的な挑戦も始まっています。「たたかいと対応」の視点から法の内容をよく分析し、自治体とも粘り強く交渉し、地域の実情や要求をふまえ、事業を具体化していきましょう。また、障害を持った人たちの仕事づくり、まちづくりの視点からのとりくみを強めましょう。
近く施設等の居住費、食費の自己負担化に対する民医連としての「たたかいと対応」の方針を提起します。その後、この問題で、9月14日に緊急施設代表者会議を開催します。
 12月、今日的な情勢のもとで民医連の介護事業の前進を期して介護事業責任者会議を開催します。

4. 月間で10万、第37回総会までに320万共同組織、5万5千部の「元気」読者を実現しよう

 岡山で開催された第8回共同組織交流集会には全国より1500人の共同組織の仲間と職員が参加し各地の共同組織の活動・経験から学び合いました。今回の大きな特徴は演題数が235と東京集会から倍加したことに示さるように、共同組織の活動が、担い手づくり、平和や社会保障改善の運動、助け合い運動、高齢者の住まいづくり、健康づくり・健診活動、子育て、自治体への要求運動、医師養成・医療倫理・院所利用・資金参加など多方面にわたって取り組まれていることです。東京・勤医会友の会は会員にむけ「お誕生日おめでとうございます。健診はお済みですか」のはがきを出し、声かけ運動で健康づくりをすすめ、結果として事業所の患者増に貢献しています。各地での健康チャレンジャー運動や、大学と提携した公認ヘルスアップサポーター(インストラクター)養成、歯磨きセミプロ養成、「組合員の生活の場や班会を通じて地域を知ることは研修医によって大切では」の問題意識から研修医歓迎班会「よういりゃあした」はじめ研修医を招いて1年半で45回の班会を重ねている経験(南医療生協)、平和と9条を守る願いを込めて特大のゲルニカ模写作成にとりくんだ経験(愛媛医療生協)等々、多くの経験、「宝」が生まれています。前回の東京集会で報告された高齢者の居場所づくり(函館)、大腸ガン健診(ヘルスコープ大阪)の経験が急速に全国に普及したように、今回の豊かな経験から大いに学び合い、共同組織の具体的な実践に生かしていくことが必要です。
 10〜11月の共同組織強化月間で10万の仲間をふやし、総会まで320万の到達をつくり出しましょう。昨年の月間の仲間ふやしの実績は4万8千、年間では6万3という到達です。5県連が前年比マイナスでした。現状より4%以上、昨年の月間の倍の増加が必要です。職員1人当たり2人以上の仲間ふやしが指標です。各県連で決めた年度目標をやりきれば実現は可能です。起点は307万、「元気」5万2千部です。医療生協では組合員対患者比が80〜90%といわれていますが、友の会型では50%以下と推計されます。事業所を利用している身近な患者さんや家族に、共同組織への加入を働きかけることは、大変重要です。共同組織が質量とも前進したら、どんな地域づくりが可能か、どんな運動が可能かを各管理者・職員集団が真剣に正面から議論し、特別体制をとり戦略をもって月間をとりくむことを呼びかけます。「元気」は多くの読者から待ち望まれ、活用した班会も取り組まれています。「元気」普及を各県連、各共同組織の中でしっかり位置づけ、5.5万部読者を実現しましょう。あらためてすべての職員に購読を訴えます。

5. “看護が輝く”ために、たたかいの共同とすべての職種の協力と協働を強めよう

 院長や事務長はじめ管理部が集団として、「看護」が直面している課題に対し、現状をよくつかみ、看護幹部とよく相談し、具体的な運動や改善がすすむようとりくみを強めることを改めて呼びかけます。
 「看護師の増員」「看護制度改善」「平均在院日数のしばり撤回」「診療報酬引き上げ」の具体的な要求運動を、全国と現場から改善に力を注ぎます。昨年度民医連に入職した新入看護師の8.5%が一年以内に退職し、理由としてメンタル、看護師としての資質、身体的病気、転職、人間関係などが上位に上げられています。いま、急速に、いのちと健康を守る看護の職場から、看護師が、働き続け育つ環境が失われつつあります。これは民医連だけで生じている問題ではありません。ことは国民の生命・安全とも大きく関わってきます。いま看護の現場に起きていることは、財政論理最優先の医療制度「改革」の深刻な結果で、いかに医療の現場に荒廃をもたらしたかを如実に物語っています。たたかうことなしに、医療も看護も守ることはできません。「看護をよくする会」(県によっては再建も)に結集を強め、看護協会はじめ多くの医療関係者や社会に働きかけ、各県が作成をする需給計画に反映させるなど看護の充実をすすめましょう。全日本民医連は医労連はじめ中央レベルとの共同闘争に全力を注ぎ、看護問題を社会問題としてアピールしていきます。
 第二回評議員会の提起および4月理事会で提起した「看護の“輝き”のために」は多くの病院管理部や医局会議などで議論がはじまり、忙しさの中でも患者さんにこだわる姿勢を貫くことや医師がオーダーの時間を守ること、他職種による患者搬送などあらたな協力や協働がはじまっています。「看護が大変だから」だけではなく、「安全・安心・信頼の医療のために」「なにより患者のために」の視点がいっそう重要です。さらに、看護労働調査に基づき必要な支援体制を組織したり、業務シフトを工夫、新入看護師の研修充実に力を注ぐなど、さまざまなとりくみも生まれています。また、パンフ「健康で働き続けられるために」を使った学習会や相談・面接機能を強め「メンタルな問題」に組織的な対応をとる事業所も多くなっています。事案が起きてから対応するのではなく、健康で働きつづけられる職場をめざして積極的な対応をすすめましょう。
 看護現場が困難な時こそ、全職員が、力をあわせ看護労働を支え、援助すること、職場づくりなど「仲間を大切にする組織文化」を醸成しましょう。
 6月に開催した看護トップ管理者研修会ではさまざまな経験や教訓がだされました。目の前のことに追われ、我流になったり情勢から疎くなっては、“輝く”ことは出来ません。看護管理者の育成・学習がいっそう重要です。看護トップ管理者が現場をリアルに把握し、評価し、師長など職責者を援助し、励ます。問題を整理し、管理部や医師集団、他職種に発信することは、看護管理者の重要な役割です。「自ら輝く太陽に」、「どんなに困難でも、前を向いてすすめる集団に」を合い言葉に、集団の力を高め、前進を期しましょう。
 06年度新卒看護師受け入れ目標1000人の実現は、たやすくありません。高校生一日看護師体験、奨学生の確保と集団化、全国的、地協的な情報交換などを強め、体制を取り必ずやり抜きましょう。

6. 民医連の研修を充実させ、すべての研修医と対話すること、中低学年で最低でも50人の奨学生を迎えること、06卒で150人以上の研修受け入れを実現しよう

 新医師臨床研修制度がはじまり2年目も半ばを迎えました。2回のマッチングの結果を見ると、有名臨床研修病院やグループ、都市部の大学には研修医が集まり、地方大学の多くで募集定員を大きく割りこみました。「このままでは、大学の診療維持が困難になるのでは」「大学から医師派遣が出来ず、地域医療が崩壊するのでは」といった危機感も表明されています。3年目以降の研修プログラムを単独あるいはグループで積極的に提示したり、自治体を上げて医師獲得対策がすすめられています。新医師臨床研修制度のスタートが医師の需給状況に大きなインパクトを与えており、圧倒的多数の医師が大学教室の人事で動くという時代から、大学を含めた各病院がそれぞれの魅力を打ち出して医師獲得を競う時代になりつつあります。
 今年度、200人が民医連で研修を開始しました。医師初期研修の場として民医連の病院を選んだことは、これまでの医師養成の実績や医師研修の充実、私たちがすすめてきた医療活動への共感の表れです。厚生労働省がまとめた研修医アンケートによれば、大学病院での研修のプログラムや研修体制の満足度は4割をきるという状況ですが、民医連では8割が満足と回答しており、確信としましょう。同時に、2年間の研修期間中に意識的な働きかけがないかぎり、民医連運動の後継者に成り得ないことは明らかです。昨年12月に実施した研修医調査では、3年目以降も民医連で働くことについて「わからない」が03卒で28%、04卒で36%と、まだ多くの研修医が未定という状況を直視する必要があります。研修を通じて、民医連の医療活動への共感が高まるような努力を続けるとともに、3年目以降の研修内容を豊かに提示して地域とともに歩む医師の養成をすすめましょう。また、他の臨床研修施設で研修をつづける研修医に対しても、民医連での後期研修を積極的によびかけ、組織しましょう。北海道では、勤医協中央病院が参加し、大学や民間病院、診療所が群となって後期研修プログラム「北海道プライマリケアネットワーク(愛称ニポポ)」を立ち上げました。プライマリケア研修をめざす多施設協同の取り組みとして注目されます。
 民医連の研修では、知識、技術の習得とともに、「いのちの平等」や生活と労働の場から疾病を捉えることができる理念、地域住民や共同組織との関わりを通じて共感する力や他職種とのコミュニケーション力の獲得、民主主義者として成長することなどが欠かせません。
 しかし、民主的集団医療との関わりが弱くなっていたり、平和や社会保障のとりくみ、共同組織との触れあいなどの課題が後景に追いやられている傾向もあります。忙しさを理由に、制度研修の対象に医師が入れられていない場合も少なくありません。民医連運動を担う医師後継者をつくることはさけて通ることのできない最重要課題です。管理部は法人医師委員会、研修委員会などと協力し医師集団全体の状況、課題をつかみ、必要な場合、改善に力を注ぐことが重要です。医師幹部、事務幹部が医師集団と真剣に向き合い、課題の前進を期しましょう。
 これから半年間、すべての研修医、青年医師と対話し、思いも聞き、「今後も一緒に民医連でがんばろう」との明確なメッセージを伝えきりましょう。
 アピール「中低学年を奨学生として迎え入れよう」に応えて、中低学年に対し、民医連での研修、学習会などさまざまな企画に参加を働きかけ50人以上(7月1日起点)、すべての県連で新たな奨学生を確保しましょう。月間がスタートした7月、6日現在で8名の新たな奨学生が生まれています。奨学生として迎え入れるには、民医連や病院、さらには先輩医師や職員集団に共感してもらうことが必要です。医学生の学びたいという要求に応え、一緒に学び成長する場をつくり、医師や担当者との人間的な信頼関係を築き、10名以上の奨学生集団をつくった長崎、奨学生集団の中で民医連を学ぶことを重視している長野、高校生(予備校生)一日医師体験を一貫して重視し系統的に奨学生につなげている兵庫などの、経験から学び生かしましょう。これらの県連では、奨学生の集団化と「奨学生が奨学生を誘う」のが一つの特徴です。また、医学教育や学費問題など医学生の切実な要求実現のため秋の医学連の運動にも協力してゆきましょう。

おわりに

 半年後に宮城(仙台)で第37回全国総会を開催します。民医連の平和と人権を守り抜く決意と実践を内外に示す総会としなければなりません。目の前の課題や困難は山ほどあり、「それどころじゃない」といった現実もあります。しかし、民医連の各事業所は、一貫して、患者、地域住民に寄り添い、運動と日々の実践を通じて信頼を得てきた歴史があります。平和憲法を最大のよりどころとして民医連は前進してきました。
 いま、憲法が変えられようとし、人権が軽視される社会の中で、たたかい、組織し、運動を広げなければなりません。いつの時代にも、職員も組織も、たたかいの中で学び成長してきました。その力が民医連運動の可能性を切り開いてきました。歴史的なたたかいの中で「学び、成長する」視点を持ち、幹部職員を先頭に、意気高く実践をすすめましょう。
 この秋、韓国や中国、イラク、スウェーデンの仲間と交流をすすめます。韓国グリーン病院の青年職員をジャンボリーに招き、青年交流の第一歩とします。また韓国を訪問しグリーン病院(労災をたたかった労働者と進歩的医師達が協力して生まれた病院、理事長、院長が03年の全日本民医連学術運動交流集会に出席)や韓国人道主義医師実践連盟と交流を深めます。これは東アジアにおける民主的医療人の「平和と人権を守る」連帯の第一歩であり、発信です。今秋は、全国青年ジャンボリー(北海道)、学術運動交流集会(神戸)、大規模病院トップ会議、青年の育成をすすめる全国交流集会など重要な集会が開催されます。大きく成功させましょう。医療安全や個人情報保護法への対応、医療整備、医療機能評価受審なども「組織の質」を引き上げる立場ですすめましょう。
 第37回総会が開催される宮城では、宮城厚生協会の仲間が全国からの医師支援も受けて新病院建設、経営再建、組織の再生にむけて奮闘しています。宮城の仲間はその成果を必ず総会で示してくれるものと期待します。
 06年度診療報酬・介護報酬改定は、一連の医療・福祉切り捨て政策の流れの中で準備され、相当に厳しい状況が予想されます。対応だけでは限界です。来年度の診療・介護報酬改定にむけて、在院日数の制限撤廃、安全のための人員確保を保障する診療報酬・介護報酬を求めて、国民へのアピール、医療関係団体へのよびかけ、厚生労働省交渉、中医協委員への働きかけなど運動を強めます。混合診療の実質解禁につながる「一般病院での高度先進医療」「制限回数を超える医療行為」、「国内未承認薬の使用」の特定療養費化などの動きに反対し、保険でよい医療の実現めざして奮闘します。諸外国と比べても極端に少ない医師、看護師はじめ医療スタッフの増員の運動を強めます。同時に、医療・福祉情勢や経営をめぐる現状認識の一致、目標や情報の共有をはかり、受療権を守る活動はじめ、住民の健康づくりや健診事業の拡大、支出削減など、「たたかう」予算づくりにとりくみ、全職員の力で経営を守るとりくみを強めましょう。
 全日本民医連理事会はこれから半年間、各地や各組織、各団体などの経験を学び、普遍的な教訓を導きだし、総会議案の準備をおこないます。各地の創造的な実践を持ち寄り、第37回総会を迎えましょう。
 来るべき、総選挙では、政治の流れを変えるチャンスとして、大いに奮闘しあいましょう。

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