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第39期第3回評議員会決定

2011年8月21日 全日本民医連第39期第3回評議員会

はじめに
I、東日本大震災・原発事故災害での全日本民医連のとりくみ
(1)大震災・原発事故災害が日本に提起したものはなにか
(2)全日本民医連のとりくみと到達点
(3)原発事故災害被害者および労働者のいのちと健康、生活を守り、 脱原発・エネルギー政策の抜本的転換をすすめる全日本民医連の立場と運動
II、「3・11」を転換点に、憲法に基づく新しい福祉社会をめざす運動を起こそう
III、2010年度決算の特徴と来年度診療・介護報酬改定にあたっての立場・見解
(1)2010年度及び11年度第1四半期の経営の到達点と課題、教訓
(2)医療・介護の前進のために診療報酬・介護報酬の引き上げを実現しよう
IV、医師、医学生分野の活動など半年間のとりくみの特徴と次期総会までの課題
(1)医師養成・医学対と看護分野などの到達点と課題・重点
(2)利根問題の到達と課題、 展望と教訓
(3)第39期方針に照らし残された課題、 強化すべき課題
V、規約改正・役員選考にあたっての考え方
(1)規約改正について
(2)役員選出について
(3)50年史の発行・民医連共済事業について
おわりに

はじめに

 三月一一日に発生した東日本大震災・原発事故災害は日本社会と国民に甚大な被害をもたらし、今なお、被災地では先の見えない困難で不安な生活が続いています。
 民医連は震災直後から組織をあげて支援にとりくみました。多くの医療・福祉関係者などが支援にとりくむ中、民医連の活動は、その「規模の大きさと内容の豊かさ」において各界から大きな注目を集めました。
 厚生労働省「平成二三年度医療の質評価・公表推進等事業」に民医連のこの間の実績と申請内容が評価、採択されました。民医連の三八病院が今年度七月から参加しました。
 今年入学した医学生の中で奨学生数がこの二〇年間で最高となりました。いわゆる「三〇〇〇件」問題で厚生労働省研究班が実施した六つの中小臨床研修病院への調査で民医連病院三カ所が対象となり、いずれの病院も高評価を受けました。新卒看護師受け入れも大きく前進し、看護学生奨学生数は過去最高水準となりました。
 四月より群馬民医連・利根中央病院への全国からの医師支援が始まりました。
 三月二日、全日本民医連が行った二〇一〇年国保等死亡事例調査の記者会見を四〇社以上のマスコミが報道しました。絶対的貧困の拡大によって手遅れ死亡が後を絶ちません。無料低額診療事業は実施医療機関五一〇カ所(二〇一〇年度調べ)中、半数近くが民医連の医療機関となり地域の中で存在意義を高めています。減免の対象とならない保険薬局の薬代を、市の独自財源で助成が実現する動きも生まれています。
 この四月、辺野古のある沖縄・名護市に「やんばる協同クリニック」がオープンしました。平和と人権を守る新しい拠点の誕生です。
 これらの活動は総会方針にもとづく民医連の活動が前進していることを示しています。こうしたとりくみに確信を持ち、克服すべき課題には正面から立ち向かい、一層前進しましょう。
 第三回評議員会は、(1)東日本大震災・原発事故災害に対する現時点での民医連のとりくみをまとめ確認すること、(2)こうした未曾有の事態の中で、新しい日本社会を展望しつつ情勢の見方を一致させること、(3)新卒医師のフルマッチをはじめ、第三九期総会で掲げた方針達成にむけて課題を確認すること、(4)次期総会にむけての規約改正案の提案と討議、役員選考の考え方の提示と確認など、を目的とします。

I、東日本大震災・原発事故災害での全日本民医連のとりくみ

(1)大震災・原発事故災害が日本に提起したものはなにか

 今回の大震災は、医療崩壊、地域崩壊など長年にわたってすすめられてきた「構造改革」の矛盾の中で起こり、被害を拡大しました。被災地の多くが、高齢化率が三五%を超える地域で限界集落も多数存在し、病院の統廃合、市町村合併による自治体職員の削減が被災者の救援や生活復旧に一層の困難をもたらしました。また、日本有数の農業、漁業、酪農など食糧生産地であり、日本の産業を支える重要な部品工場のある地域でしたが、いずれも大きな被害を受けました。多くの方々がお亡くなりになりました。職員や共同組織の仲間からも犠牲者が出ました。
 原発事故災害は五カ月以上経た今も収束しておらず、多くの福島県民の生活を奪い、国民に不安を与え続けています。原発は、一度事故が起きれば「制御」が効かず、使用済み核廃棄物の処理技術さえない危険極まりないものです。安全な原発は存在しません。今回の事故で「安全神話」は完全に崩れました。この地震列島に五四基もの原発が存在し、さらに建設中・計画中が一四基あります。原発をゼロにし、原発に依存しないエネルギー政策へと抜本的な政策転換を求める運動が必要です。
 しかし長年、アメリカに従属し、原発を強力に推進してきた自民党・公明党から国民への謝罪は一切ありません。また、民主党や政府、財界は、これまでの原発依存政策を変えようとしないばかりか、何の根拠も示さず安全が確認されたとして停止中の玄海原発の稼働を要請しました。これほど無責任なことはありません。
 この大震災・原発事故災害は、今までの日本のあり方と舵取りが行き詰まった中で発生したのであり、政府の対応の遅れは「行き詰まった社会の中で、行き詰まった政策をとろうと固執している」(辻井喬氏)ために起こっています。阪神淡路大震災では「創造的復興」の名のもと、被災者の苦難をよそに神戸空港建設に象徴される経済復興が優先されました。復興を口実に「構造改革」路線を加速するような舵取りを許してはなりません。震災の復旧・復興をすべての被災者の救援、住み続けられるまちの再生、権利としての社会保障の確立をめざすものとしなければなりません。

(2)全日本民医連のとりくみと到達点

 全日本民医連は震災発生直後から、藤末会長を本部長とする東日本大震災対策本部と小西副会長を本部長とする緊急被曝事故対策本部を立ち上げ、全国の仲間に支援活動を呼びかけました。翌日には全国各地から現地に駆けつけ、支援を開始しました。
 支援にあたる私たちの基本スタンスは、なによりも現地の医療・介護関係者を含む被災者に寄り添い、被災者の立場に立った支援を継続して行うことです。そして、第一に、被害が深刻、広大であることから、民医連の現地での支援基盤を確立し、長期的継続的な支援を行うこと、第二に、全ての被災者を対象に他の団体、機関、ボランティアや民主組織との共同や連携を追求した支援を行うこと、第三に、福島第一原発事故災害による被災者への支援を行うこと、第四に、現地の民医連事業所が一日でも早く通常診療を取り戻し、これまで以上に地域になくてはならない事業所として復旧すること、第五に、被災者、支援者の心のケアを重視していくこと、第六に、未曾有の被害に対し、災害救助法や被災者生活再建支援法などの徹底、さらにその枠組みにとらわれない公的支援策を取らせることと原発事故の早急な収束と原発政策の転換を求め運動をすすめること、としました。

 全日本民医連は支援にあたり、医療福祉生協連、医師会(JMAT)、DMAT、日本プライマリ・ケア連合学会、「21老福連」、大学、自治体などや民主団体との連携・共同を重視しました。これまでに医薬品・医材を含む数百トンの物資支援と被災地への直接支援は実人員で医師五〇〇人を含む三〇〇〇人、のべ一万五〇〇〇人に上りました。現地の民医連加盟事業所と職員、共同組織の仲間は、自らも被災しながら懸命に救援活動にあたりました。また、首都圏などに避難してきた被災者の診療受け入れや避難所支援に多くの職員、共同組織がとりくんでいます。
 宮城・坂総合病院は震災直後から災害拠点病院として不眠不休の活動を行いました。三月一四日には二市三町の保健医療関係者を網羅する連絡会議を立ち上げ、中心的な役割を果たしました。
 長町、松島、県南、福島医療、郡山、浜通りなどの各医科法人や介護事業所では被災患者の受け入れ、避難所への医療・介護活動、共同組織の仲間や地域住民の安否確認などを積極的にすすめました。
 宮城野の里では災害救助法に基づく「福祉避難所」として、わたり福祉会などでも高齢者・要介護者の自主的な避難所として大きな役割を発揮しました。歯科チームや事業協、給食共同事業なども積極的役割を担いました。宮城・つばさ薬局では地域の保険薬局が開業できない中で、普段の倍以上の処方箋を受け入れるなど奮闘しました。
 岩手では、民医連の事業所から遠く離れた大船渡市に拠点を置いて、地元自治体や県立病院と協力しながら医療・介護・生活支援の活動を行い、今も市の要請を受け介護チームによる生活支援を行っています。多賀城・塩釜地域や南相馬市では大学、自治体、保健師と協力しながら「心のケア」チームを派遣しています。支援者の心のケアも重視しました。宮城県山元町には県南医療生協と近畿地協、医療福祉生協連の仲間を中心に今もなお、粘り強い生活復興支援をすすめています。
 民医連の活動は災害時の「医療」だけではなく、被災者の実態や日々刻々と変わる要求から出発し、被災者に寄り添い多彩に行っているという点に大きな特徴があります。特に今回は高齢の被災者が多く、リハビリ、介護、生活支援や津波被害の片付けも大変であり住居復旧ボランティアのニーズが多くありました。その内容は「震災支援ニュース」や全日本民医連のホームページにアップした動画ニュース(会長メッセージや震災の記録一〜四他)に掲載されています。ホームページへのアクセスは震災後数倍に増え、その活動に共感の声が寄せられています。海外の友好団体からも激励や支援を受けました。各地でも多くの支援ニュースや報告会が行われ、支援活動は、職員や医学生など多くの人たちの民医連の活動に確信を深める機会となっています。
 こうした緊急時の活動は、組織の理念や日常活動が端的に現れます。現地では医療・介護・生活を一体としてとらえた行動が行われました。どこも医師や看護、介護体制などが厳しい中で「わが身、わが事」と考え行動しました。全国から続々と集まる支援の力が活動を大きく広げ、現地の活動を支えました。
 全日本民医連を通じて寄せられた支援カンパは三億五六〇〇万円(八月一八日現在)を超え、その全てが被災者および復旧・復興に有効に使われるよう、(1)被災自治体義援金配分委員会を通じて被災者に直接届ける、(2)被災事業所への支援物資、事業所復旧のための支援、(3)ゲルマニウム半導体測定器(放射能核種の線量測定可能)の購入運動への支援や現地の事業所へのサーベイメーター(放射線量測定器)寄贈などに活用しました。全日本民医連が行った支援にかかった経費は全て通常の一般会計から拠出しました。
 全日本民医連としての組織的な人的支援は「心のケア支援チーム」を除き、いったん五月末で終了し、現地が主体となって「介護予防支援」や「移動なんでも相談会」、避難所・仮設住宅への訪問を行っています。また、各県で立ち上げられた「復旧・復興県民会議」へ積極的に参加し、国や自治体への要望、提案、シンポジウムを行っています。この運動では漁協や医師会などとかつてない共同が広がっています。阪神淡路大震災では仮設住宅などで震災関連死や自殺などが多発しました。一度助かった命を奪うような二次災害(震災関連死やアスベスト・ダイオキシン被害など)を引き起こしてはなりません。迅速な公的支援を求めるとともに、関連死などを出さないための社会的連帯や共同の活動を強めましょう。
 今後、支援活動は新たな段階に入ります。「働くもののいのちと健康を守る全国センター」などと共同して健康被害調査や被災者・支援者の心のケア調査などを行います。また、復旧・復興への提言を準備します。日本医師会を通じて宮城県・気仙沼の市立病院への医師支援の要請も出され、支援を開始しました。夏休み中、福島県の親子を受け入れるとりくみも始まっています(山形など)。今後、出されてくる様々な要請に対し、積極的に応えていきましょう。
 義援金や補償金を収入認定し、生活保護を打ち切る自治体が出ています。国の姿勢が大きく影響しています。政府の復興構想会議の五百旗頭議長(防衛大校長)は復興への提言の結びで「『公助』や『共助』に頼るのではなく『自助』や忍耐が必要」と驚くべき認識を述べています。日々流布されるこうした認識や主張には国民的な反撃が必要です。なによりも、「一定の環境条件を満たした住居にすむ権利は人間としてもっとも基本的な生存権である」(国連人権規約一一条・社会権)や憲法前文、九条、一三条(幸福追求権)、二五条(生存権)、二七条(勤労権)、二九条(財産権)など、「平和的生存権」がしっかりと保障されることが必要です。そのことがあってこそ、人々の連帯・共同などの助け合いが輝きます。
 これ以上、被災地で医療や介護の崩壊をすすめ、被災者の「希望」を失わせるわけにはいきません。雇用の確保や二重ローンの解消、生活支援など具体的な支援が必要です。被災者の医療費・介護費用を無料にすべきです。

 今回の震災支援を通じて引き継ぐべき教訓があります。坂総合病院は、災害拠点病院として普段から救急救命患者のトリアージなど日常的な防災訓練を行っており、その成果をいかんなく発揮しました。一方、日々刻々と変わる現地において、支援やコーディネートのあり方について、今後に生かすために検討すべき課題もあります。全日本民医連として、今後の災害対策方針に反映させていきます。
 また、病院新築の際、充実した自家発電装置、地下水汲み上げ装置などを備えたことにより、他の病院が充分機能しない中、救急救命医療で大きな役割を果たしました。全ての事業所で緊急時に備えて連絡手段の確保(衛星通信の整備など)や必要備品の備蓄、自家発電などの整備、放射能測定装置の配備をすすめるなど防災対策を強めましょう。同時に公的責任で医療機関への自家発電など整備を求めます。緊急事態を想定した災害訓練の徹底など危機管理マニュアルの見直しを早急にすすめましょう。
 首都圏で大災害が起きた場合には、臨時措置として全日本民医連の機能を速やかに他の地域に移すなど全日本民医連の緊急対策マニュアルの見直しを行います。その際、緊急事態時の現地でのコーディネーターの派遣のあり方や連絡体制の整備などについても検討し、総会までに整備していきます。

(3)原発事故災害被害者および労働者のいのちと健康、生活を守り、 脱原発・エネルギー政策の抜本的転換をすすめる全日本民医連の立場と運動

 原発事故災害では、ヒロシマ、ナガサキを体験した被爆国・日本が世界に放射能の恐怖と汚染を広げてしまいました。日本政府や東電、原発を推進した勢力の責任は重大です。同時に、この痛恨の事実を日本国民として真摯に受け止めなければなりません。政府、東電は原発を推進してきた学者、専門家を意図的にマスコミなどに登場させ、情報操作・隠蔽をくり返してきました。また、現場労働者の人権を無視した対応を続け、「ただちに健康被害はない」などとの言葉で、今なお県民・国民をだまし続けています。原発利益共同体ともいうべき利権集団の責任は重大です。無批判に伝えるメディアの責任も看過できません。
 こうした中で、内部被曝の問題や晩発性障害の危険性をいち早く告発したのは民医連でした。それは長年、広島、長崎の被爆者の医療や健康管理に関わり、原爆症認定集団訴訟や原発反対のとりくみを地道に行ってきた経験と実績があるからです。
 全日本民医連は緊急被曝事故対策本部や四役会議、緊急理事会を通じて、いち早く、「政府と関係機関に適確な情報提供を求める要請」(三月一四日)、「廃炉を求める全日本民医連の緊急声明」(四月二日付)を出しました。こうした方針に基づいて、東電への抗議行動、各省庁、放射線医学総合研究所などへ申し入れ、原発事故災害被災者への「医療上の対応」方針を打ち出しました。また、直ちに被災県である福島へ調査団を送り、高濃度汚染地区や計画的避難区域の自治体、医療関係者らと懇談し実態や要求の把握に努めました。その上で五月一日には福島で現地の仲間とともに拡大緊急被曝事故対策本部会議を開催し、住民学習や健康管理、相談活動の重視、独自の被害調査や運動を強めることなど、全日本民医連の方針を具体化しました。
 五月の連休の三日間、全国から集まった緊急被曝事故対策本部の医師九人が県内一二会場で住民学習会を開催しました。予定をはるかに超える一六〇〇人の参加で、出される切実な質問、相談に懇切丁寧に応えてきました。今も福島県内や各地で健康相談や住民学習会、避難所訪問や避難住民の健康管理、相談活動が行われています。
 六月一八日には、全日本民医連と非営利総合研究所いのちとくらしの共催によるシンポジウム「福島第一原発事故から何を学び、周辺住民及び原発労働者のいのちと暮らしをいかに守るか」をテーマに開催しました。
 この集会には全国から二七〇人以上が参加し、実態を正確につかみ被災者、周辺住民に向き合うこと、原発をなくす運動を推進することなどを確認した「画期」をなす集会となりました。発行した『福島第一原発事故から何を学び、取り組むのか』の学習教材、「私の行動記録」が好評で、各地、各団体で活用されています。
 ある集会で女子高校生が訴えました。「私は福島というだけで、結婚できないかもしれません。子どもも生めないかもしれません。私の人生を、ふるさとを返して下さい」。全日本民医連は、風評被害、健康不安など何重もの苦難をかかえた住民の思いに心を寄せ、他団体との共同を重視し、以下のような行動を行います。各地で創意を生かして具体化しましょう。
 ■学習パンフレットの大量普及とパンフレットやパワーポイント、DVDなどを使って職員・共同組織を対象にした学習を行い、住民学習会、地域講演会を無数に開くこと、■「私の行動記録」を大量活用して健康を守る運動を組織すること、■原発周辺住民の徹底した健康管理や生活相談などにとりくむことや全国に避難している被災者への健康相談を強めること、■子どもの一時的な待避や避難の受け入れ、■独自の放射線量測定、モニタリングなどを通じて情報発信や提言、■脱原発署名の推進や全国各地の原発をなくす運動への積極的参加、■東電や国に対し、被災者の全生活、全生涯にわたる生活補償・保障や健康保障を求めて運動すること、■全事業所で「○○事業所(共同組織)の核兵器廃絶・脱原発宣言」を行い内外に意思表示を行うこと、などです。

 今、世界も日本も世論は大きく変わっています。スイス、ドイツ、イタリアなど多くの国々が「原発推進」政策からの撤回をすすめており、日本でも大きな運動が起こっています。原発反対の声は朝日新聞調査で七四%、東京新聞で八二%に上っています。七月二日には民医連も実行委員会に加わり二万人の原発ゼロ集会とパレードを成功させました。原発立地県で脱原発の決議が上がっています。脱原発の運動、二〇一一年原水爆禁止世界大会の成功をはじめ、九月一九日には多数の識者の呼びかけによって大規模な集会が開催されます。全日本民医連は脱原発の一点で共同を広げるために力を尽くします。
 「福島」と「広島」「長崎」、そして「全国」、さらには「世界」を結んだ一大運動を起こしましょう。
 この悲惨な状態を私たちや私たちに続く世代に残すわけにはいきません。

II、「3・11」を転換点に、憲法に基づく新しい福祉社会をめざす運動を起こそう

 この大震災・原発事故災害は、これから「どんな日本にするのか」、国のあり方の根本が問われています。今までの経済効率最優先、アメリカや財界の利益のための日本社会ではなく、全く違った新しい日本社会へと転換する機会としなければなりません。それは憲法の立場に立つ、「地域住民の、住民による住民のための復旧・復興」であり、一人ひとりの人権が何よりも尊重される社会です。
 自殺者が一三年連続三万人を超え、生活保護受給者は二〇〇万人を超えて一九五二年の統計開始以来最高となりました。今年七月に厚労省が発表した二〇〇九年の相対的貧困率は一六%に悪化しました。全日本民医連が行った「国保など手遅れ死亡事例調査」では二〇一〇年集計されただけで七一人にのぼり、前年より一・五倍になりました。これは氷山の一角にすぎません。「計画停電」や「節電ムード」などの影響もあり、熱中症の急増も懸念されます。
 こうした国民の苦難をよそに、大銀行は金余り状態にあり、大企業では前年より大幅な利益増です。しかし、政府が打ち出す方針は、これまでの政策となんら変わっておらず、被災者、国民の希望を奪っています。
 六月三〇日に発表した「社会保障・税の一体改革成案」は社会保障に関わるすべての公費を消費税でまかなう仕組みを導入し、給付を改悪しながら数年の内に消費税を一〇%にすることを打ち出しました。「能力に応じて負担し、必要に応じて給付する」という社会保障の原則、世界的常識をくつがえし、復興財源も社会保障も消費税増税しかないという脅しとしか言いようのない暴挙です。
 また、「大連立」で衆議院・参議院比例定数削減、憲法改悪を画策する動きがあります。沖縄・普天間基地へのオスプレイ配備(二年間で二四機予定)、高江へのヘリパッド建設、日米政府間による辺野古へ新基地建設推進再確認など、米軍の再編強化の動きを強めています。大阪の橋下知事などが進めている教員に対する「君が代起立強制条例」強行など憲法否定の動きがあります。いずれも、日本国憲法で謳う「国民主権・絶対的平和主義・基本的人権・地方自治・議会制民主主義」を守ろうとする視点は全くありません。しかし、これらの動きを軽視できません。マスコミなども動員して、世論形成しようとしています。本質を見抜く学習を、重視しましょう。
 復興計画も同じです。「公的支援」は極めて遅れています。失政が原因です。東電の責任は曖昧なままです。企業の震災関連倒産は六月時点で一二九カ所となり阪神淡路大震災の三倍のペースです。被災地では医療機関の四割が休止・廃止状態であり、介護事業所も同様です。住民に最も身近な地域の医療機関や福祉施設などは公的でも民間でも地域住民にとってはなくてはならない「社会的な財産」です。公的医療機関や政策医療などに関わらない限り、医療機関や福祉施設の再建のための国からの補助がほとんどありません。岩手県は、独自に全ての医療機関の復旧へ支援を行う方向を打ち出しました。宮城県、福島県が独自の施策にとりくむとともに、国の公的支援を強く求めます。また、被災地の医療機関の苦難を知りながら、この時期に医療ツーリズムや医療の海外進出をすすめようとする国の方針に強く抗議します。
 大震災では地方公務員が役割を果たしましたが、人手が足りませんでした。被災地の自治体は合併によって体力をなくし、消防士、保健師など自治体職員が一〇年前より一〇%も減っていました。この機会に“火事場泥棒”的に農業・漁業の集約化・株式会社化(「水産特区」「医療特区」など)やTPP導入、復興税創設をしようとする目論見に断固反対します。
 どうして銀行の不良債権処理時には三〇兆円も出したのに、国民の困難な時に公的支援が第二次補正予算でも二兆円弱なのでしょうか。米軍再編強化のための税金投入や無駄な公共投資の中止、大企業への法人税や富裕層への課税強化、株配当益への優遇税制や政党助成金の廃止、大企業がためこんだ膨大な内部留保で復興特例債を買い取らせることなどを直ちに行い、数十兆円規模の財政投資を思い切ってすべきです。全ての被災者、国民の人権を守ることができないで経済の再建はあり得ません。
 七月一〇日、全日本民医連も参加して「3・11後の日本で福祉国家を展望する」シンポジウムが開催されました。今後の日本のあり方に大きな示唆を与えるものです。九条、二五条に代表される平和的生存権を宣言した日本の再生、地域再生にむけて運動を巻き起こしましょう。被災者の人権を保障し、日本を再生するたたかいのキーワードは、脱原発、権利としての社会保障、消費税増税とTPP参加反対です。全日本民医連理事会は、「全日本民医連の医療・介護再生プラン案」の今日的見直しをすすめます。

III、2010年度決算の特徴と来年度診療・介護報酬改定にあたっての立場・見解

(1)2010年度及び11年度第1四半期の経営の到達点と課題、教訓

 医科法人の二〇一〇年度決算状況は経常利益で二・一%と二〇〇九年度(一・五%)に引き続き改善基調となっています。入院、保健予防、介護収益が伸びました。事業収益は、二〇〇二年度以降で見ると二〇〇九年度に引き続き高い増加率です。二〇一一年度第1四半期も改善傾向です。入院収益の増加が特徴で、診療報酬改定への対応、リハビリ部門の強化などの対応が成果につながっています。しかし、外来収益は引き続き伸び悩んでいます。事業費用では、人件費がリハビリ技術者・医師(非常勤)、看護師等の増員等で増加している法人がある一方、退職金制度の改定による効果が出ている法人もあります。病院の経営は全体として改善傾向ですが、半数以上の病院が赤字であり、とりわけ東京など首都圏と中小病院は厳しい状況が続いています。診療所の利益率も減少傾向です。
 全体としては、事業キャッシュフロー率、資金繰り等も回復基調ですが、二〇一一年度資金的対応が厳しくなることが予想される法人もあります。
 今なお、全国の六割の病院が赤字です(公私病院連盟調べ)。被災地では今年三月の診療報酬請求額は軒並み前年同月比二〇%以上落ち込み(日本医師会調べ)、また、患者減、再建費用や補修費などを考えれば急速な経営悪化が見込まれます。公的支援を強く求めます。同時に、足腰強い民医連事業所の経営基盤の確立が急務です。全日本民医連として必要な援助を行います。
 引き続き民医連の事業所の経営と事業を守る活動を重視しましょう。経営をリアルにつかみ分析し、具体的な問題提起ができる力を蓄積すること、職員・共同組織の力を引き出せる理事会・管理部の管理力量の向上、「経営情報の共有」を重視しましょう。また、この間、出版した経営の「達人」シリーズを活用しながら、積極的に問題点や課題を抽出し政策提起ができる事務幹部づくりを重視します。
 経営再建中の徳島健康生協、川崎医療生協は、今期中に中長期的再建展望を確立することを目指します。この間、社会医療法人に五法人、公益法人に一法人が認定されました。特例民法法人となっている一四医科法人の認定のとりくみや条件のある所での社会医療法人申請などのとりくみを引き続き強めます。歯科は、二〇一〇年度五八・二%の事業所が黒字と改善していますが、二〇一一年度は、全ての事業所の黒字をめざして奮闘中です。

(2)医療・介護の前進のために診療報酬・介護報酬の引き上げを実現しよう

 医療関係団体の中には復興を理由に引き下げの可能性があることなどから、改定見送りを求める動きがあります。全日本民医連は、国に対し来年度、診療報酬、介護報酬の大幅な引き上げを要望しました。引き続き、厚労省交渉や中医協への働きかけを強めます。この一〇年で七%以上も引き下げられた診療報酬のもとで、内部努力だけで経営を守っていくことは不可能です。特に「保険でよい医療」を求めてきた民医連が室料差額徴収をすべきではありません。次期、診療・介護報酬改定では、診療報酬の大幅な引き上げ、とりわけ中小病院、診療所、介護事業所の経営を安定させることが必要です。そのためにも医療界が大同団結し、国民的運動を起こしていかなければなりません。
 今、医療機関では、社会保険収入等の非課税収入に対応する材料費・医療機器・施設工事費などの消費税が控除できず、多額の消費税を最終消費者として負担するという理不尽なしくみになっています。日本医師会の調査では社会保険診療収入に占める消費税負担は平均二・六%となっています。これが消費税一〇%になれば、医療機関は立ちゆかなくなります。全日本民医連は、医療機関での不当な消費税負担をなくすことをめざして、関係団体とも共同しながら運動を強めます。当面、低所得者の負担が大きくなる、食料品など日常生活品は非課税にすることを主張します。

IV、医師、医学生分野の活動など半年間のとりくみの特徴と次期総会までの課題

(1)医師養成・医学対と看護分野などの到達点と課題・重点

 二〇一〇年六月、医師の確保と、養成に関する全国会議(伊東集会)では、第39回総会方針で提起した貧困と超高齢・少子社会に立ち向かう医療活動と医師養成・医師確保を一体のものとして提起し、「総合性を自らの専門として高い力量を持つ家庭医・総合医」とともに、「総合的基礎力を備えた専門医」の育成を掲げました。また、「全国はひとつ」「オール民医連」で医師の確保と養成をすすめることを呼びかけました。伊東集会から一年が経ちました。
 第一の変化は、高校生対策などを通じて、新一年生の奨学生数は過去最高の六一人になりました。二、三年生も前年同月比で近年にない奨学生数です。全国の優れた経験から学び合い、医学対の内容が豊かになってきている表れです。民医連の奨学生数は七九大学中七二大学に三八三人(七月末現在)で昨年同月比より三九人増となりました。また、海外の大学に在籍する奨学生が一二人います。
 しかし、中学年以降は例年の数に留まっています。対象者を数倍に広げ、奨学生を増やし、育てましょう。
 第二は、年間新入院数「三〇〇〇件」未満の病院を研修病院から外すという動きに対し、多くの反対意見が出され、六つの中小病院で厚労省の調査が行われました。六月に出された報告書では、「中小病院での研修は充分可能」と結論づけています。この調査に協力した卒後臨床研修評価機構の岩崎榮理事長や各病院を訪問した審査官から、汐田総合病院、城北病院、上戸町病院について、「理想に近い研修環境の下、研修医たちが意欲的に研修にとりくんで成長する姿が大変印象的であった。三〇〇〇例以上という指定基準に何の意味があるのか、むしろ大病院よりも小病院の方が優れた初期研修の環境なのではないかと感じながら、爽やかな気分で病院を後にした」とコメントされています。
 民医連の基幹型臨床研修病院で初期研修医の育成の条件を確保し続けることが重要です。しかし、予断を許さない状況です。調査報告を力に国や県に対し粘り強く運動し、中小病院での初期研修を継続させましょう。県連、臨研病院、地協などの協力・連携で、全臨床研修病院で一二年卒のフルマッチを最後まで追求しましょう。
 第三は、「オール民医連」の具体化が始まりました。昨年に続いて全国統一で新卒医師オリエンテーションを開催しました。「全国にこんなに同じ思いを持った仲間がいるのか」という感想に示されるよう、仲間づくりや民医連を意識する絶好の機会になっています。伊東集会では、後期研修問題がテーマとなりました。この間、全国レベルで民医連の魅力や後期研修の様子を伝え、後継者として成長できるよう民医連後期研修や精神科後期研修ガイドブック作成などの努力が行われました。
 四月には、全日本民医連医師臨床研修センター「イコリス」(aequalis:平等の意)が発足し、ホームページも開設されました。このホームページでは、研修医向けの初期・後期研修プログラムや、学習会、高校生・医学生むけの企画、民医連の多彩な活動などが発信でき全県連から更新できる準備が整いました。今後、医学生、研修医が魅力に感じ「民医連の入り口」となる内容として発展させていきます。
 六月、二年目の民医連研修医を対象に、初めて「セカンドミーティング」を大阪と東京で開催しました。「みんなが同じようなことで悩んでいるんだと共有できてよかった」など、後期研修がイメージできる機会となりました。
 日本の多くの研修医が今、どんな医師になるのかを求めて後期研修先を探しています。改めて、「誰のために、どんな医師になるのか、なんのための技術なのか」を問いかけ、民医連での後期研修を呼びかけましょう。

 三・一一の大震災と原発事故災害は、医師の原点や役割を問いかけました。被災者の命と暮らしを守る第一陣としての役割を「医療」が担い、民医連の医師は医療救援活動を指揮し、チームをつくる役割を担いました。原発事故災害においても、被災者の疑問に応え、徹底して寄り添う活動をすすめました。これは伊東集会で提起した「求められる医療活動と医師養成の一体化」の実践となりました。伊勢湾台風の支援が愛知における民医連づくりにつながっていったように、今回の支援活動をなんらかの形で継続させ、民医連の後継者養成につなげていきましょう。
 一一月二〇日、公的医療費を大幅に増やすことや被災地の医療再建などを掲げ、銀座を一〇〇〇人の医師で埋めつくす「ドクターズデモンストレーション二〇一一」が企画されています。半世紀前、国民皆保険をつくらせようと東京都医師会が呼びかけ八〇〇〇人の医師による集会・デモが行われた経験があります。全日本民医連はこのとりくみに全面的に賛同しとりくみます。全国各地で医師会、保険医協会、地域の医療機関などに広く呼びかけ行動しましょう。

 看護師の確保と養成、運動に関わって五月末、拡大看護委員長・看護学生委員長会議を開催しました。被災者支援における看護の役割を論議し、「民医連看護三つの視点・四つの優点」の実践の場となりました。被災者の立場に立ち、要求から出発し、ともにたたかい、「総合性・継続性・無差別性・民主性」を掲げる民医連看護の輝きや医師、介護、リハなどとのチームによる医療が大きな役割を果たしたことを確認しあいました。
 民医連看護実態調査で三大退職要因とされた「働きがい、やりがい」「人間関係づくり」「働き方の工夫や改善」を正面から捉え、改善していることで離職率も減少していることなど、経験や教訓を学びあいました。
 二〇〇七年は七〇〇人台まで落ち込んだ受け入れ数が、今年度は九五九人と目標の一〇〇〇人まで近づきました。七七・一%の県連が目標を達成しました。また、すでに目標を確保した県の学生に対し、当該県連の協力を得て、「オール民医連」の立場で民医連合同説明会を開催、地協レベルで奨学生の交流などを行ってきました。
 高校生からの看護師体験や受験支援、民医連の医療や介護活動と結んだ看護学生実習の組織、県連や地協レベルでの奨学生運動への援助、確保のための「全国はひとつ」の立場での共同をいっそう強め、一二卒受け入れでは全ての県連が目標を達成し、全国的に一〇〇〇人以上の受け入れを実現させましょう。
 今後、民医連として各県の第七次看護師需給計画の不十分さを指摘し、看護師争奪戦を煽るような動きを告発していきます。創設が準備されている「特定看護師(仮称)」について批判する見解を表明しました。来年度行う第一一回看護介護活動研究交流集会開催は経営再建途上の徳島で開催します。

 介護の分野では、国会に上程された介護保険「改正」法案の撤回を求めて運動しました。全日本民医連独自の請願署名は二カ月弱で一四万筆になりました。八次にわたる国会行動には、一九県連からのべ一三七人が参加し、二五六人の国会議員に利用者・現場の実態を伝え、制度の抜本改善を要請しました。法案は、六月一五日、共産党・社民党を除く賛成多数で成立しました。「財政規律」(=ペイ・アズ・ユー・ゴー原則)を優先させ、現行の矛盾にはいっさい目をつぶったまま、予防給付の切り下げや介護療養病床の六年以内の廃止、介護職員による医療行為の解禁・拡大など利用者・高齢者、介護現場の困難をいっそう拡大する内容です。大問題を含んでいるにもかかわらず、ほとんど審議することなく採決を強行した政府の責任は重大です。今後は、決定した「改正」法の内容をどのように実施させるかが焦点になります。制度の抜本改善を求めつつ、実施・運用の段階で、利用者に不利益とならない運動が重要です。
 二〇一二年介護報酬改定に向けて、具体的な要求をまとめ、大幅な底上げ・改善を求めます。自治体に対する第五期介護保険事業計画の策定や保険料の見直しにむけた運動を強めなければなりません。この間、築いた運動の成果を確信にし、新たな段階での介護ウエーブを広げましょう。
 震災は、災害弱者である高齢者に大きな苦難を強い、これまでの生活習慣を一変させました。生活復興の上で看護と介護、リハの協働が重要な役割を果たしました。これからが出番です。他の組織と共同しながら「生きていてよかった」がまっとうできるよう支援をすすめます。
 特養ホーム待機者が四二万人を越える状況のもと、地域に必要な高齢者施設の整備を求める運動が重要です。総会方針で提起した国民年金加入者でも入れる「高齢者の住まい」づくりに挑戦しましょう。国がすすめる地域包括ケアに対して、「誰もが、最後まで安心して住み続けられるまちづくり」の課題として、民医連らしく利用者の立場に立って検討・具体化を進めます。ケアマネジャー責任者研修会、介護・福祉責任者養成研修会を開始しました。「民医連の介護・福祉の理念(案)」を討議し、確認していきましょう。
 
 七月より第三期事務幹部学校を開講しました。九四年以来の事務政策を、案として提起し全国討議に付していきます。秋、トップ幹部研修会を開催します。来年度から薬学部六年となって初めての薬剤師が入職してきます。薬剤師政策案を提起しました。積極的な討議を呼びかけます。

(2)利根問題の到達と課題、 展望と教訓

 群馬民医連を通じて出された利根中央病院の医療機能を守るため、四月より一年間、群馬民医連より一年、内科中堅医師を送り、全国から現在内科医師二人、外科医師二人の合計五人が常時支援しています。また、県連会長が週一回、利根の管理運営支援を行っています。利根中央病院は支援によって、地域の医療要求に応え、再生にむけて医師養成のあり方の検討や医局朝会の開始、さらには医師も主体的に参加する医療構想づくりなど、新しい変化も生まれています。二つ目の歯科診療所も開設しました。全日本民医連は大震災支援の最中でしたが、二つの重要課題を同時にやりきる意思統一を行い、各地で「身を切るような討議」を行って支援しています。この規模の支援は全日本民医連として初めてのことです。
 今回の支援が、利根中央病院の再生と群馬民医連の運動の新たな団結の機会となるようにしていかねばなりません。支援医師の奮闘と現地の努力を通じて変化が生まれています。支援医師からは医師養成のあり方、管理運営の課題など貴重な提言が出されています。六月の総代会で新しい理事会体制が決まりました。地域医療を再生させ、「いのちの平等」を掲げる民医連綱領の精神が理事会、管理部、職員集団の中に根付くことを心から願うものです。
 同時に、今後の展望づくりが重要です。何故、こうした大量医師退職を生み出したのか、管理運営のあり方や民医連運動への結集はどうだったのかなど自己分析はこれからです。また、地域医療再生の要としての利根中央病院の医療を担う、医師養成の課題や医療構想づくりが必要です。
 利根中央病院の再生では県連機能が問われています。それぞれの法人が独自の構想を立案、推進するだけでは限界があり、「オール群馬」の立場で県連全体での医療構想、医師養成、人事交流などが不可欠であり、その中に利根中央病院の再生を位置づけることが大切です。全日本民医連は医療福祉生協連とも連携し、県連、法人、事業所への援助を行います。

(3)第39期方針に照らし残された課題、 強化すべき課題

 震災の影響で、全国共同組織活動交流集会は一年間延期とし、来年九月に実施します。その間、全国連絡会として独自に被災地支援にとりくみます。こうした時だからこそ、地域での連帯・共同を広げる仲間増やし、班会、助け合いや健康づくり運動、平和や社会保障を守るため、一〇〜一一月の共同組織強化月間を成功させましょう。意識的に職員が共同組織の活動に参加しましょう。『いつでも元気』の普及を共同組織の仲間、職員などに大いに広げましょう。

 全国青年JBは、来年三月末に延期し、現実行委員会のもとで、震災に立ち向かうJBとして当初予定の宮城県で開催します。

 全国農協中央会JAから申し入れを受けた日本の農業、医療など国民生活に大きな影響を与える「TPPに反対する署名」五〇万筆をやり抜きましょう。引き続き、原発をなくす署名、核兵器全面禁止のアピール署名、保険でよい歯科医療を求める署名、こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める署名、薬害根絶やワクチンの公的接種化の運動、原水禁世界大会成功、辺野古支援連帯行動、平和学校、九日・二五日定例行動などを重視しましょう。先に提起した「ドクターズデモンストレーション二〇一一」や「医療・介護の改善を求める」国民大集会(一〇月二〇日)、を成功させましょう。
 先進国では当たり前の窓口負担ゼロを強く求めます。外来の抗がん剤による治療では一回の自己負担額が二〇数万円にもなるケースもあります。京都でとりくまれている外来がん医療費無料化運動を全国で展開します。今秋、国への運動とともに地方議会に対し、医療費・保険料負担軽減、高額療養費の上限引き下げ・外来における受領委任払いの実施、国保改善の運動を強めましょう。自治体によっては国保料を大きく値下げさせた経験(長野)も生まれています。全事業所で無料低額診療事業に挑戦し、「患者になれない病人」の受療権を守りましょう。無低診実践交流会(一二月予定)を開催します。東京都で実施されている大気汚染公害患者への医療費無料化も全国に広げましょう。

 一〇月二八〜二九日、東京で第一〇回学術運動交流集会を開催します。震災の最中の演題募集でしたが、全県連から前回を三二題上回る九六三題の応募がありました。日常の実践や運動を持ち寄りましょう。診療所所長交流集会、在宅医療交流集会などを開催します。学び、交流を深めましょう。

V、規約改正・役員選考にあたっての考え方

(1)規約改正について

 別途、総会に付す規約改正案を提案します。基本的には新綱領との整合性を持たせること、各条項を今日的な表現に改めること、事業所加盟の位置づけを確認すること、組織として必要な統制条項を整備することなどです。半年間の議論を通じて総会で決定していく予定です。総会までの間に、何らかの意見集約の機会を設けます。

(2)役員選出について

 日本は、歴史の転換期にあり、国民は模索を始めています。このような時代にあって民医連は、一つひとつの課題に正面から向き合い、集団の力で進むべき方向を定めています。経験ある幹部の保全と新しい時代を担う幹部や各分野を担う幹部を積極的に登用し、いっそう集団性を高めていくことを基本に役員選考をすすめます。

(3)50年史の発行・民医連共済事業について

 民医連は誕生して五九年、仲間の助け合いを目的にした共済事業発足四〇年になります。五〇年史は、明治以降の医学や医療運動などを描写しながら、無産者診療所の誕生の背景から新綱領誕生までを記載しています。年内に発行します。共済事業は民医連運動をすすめる役職員の連帯・助け合いの立場を堅持し、保険業法の改悪を完全に撤回させる運動を視野におきつつ、来年三月には退職者慰労会連絡会の発足にむけて準備に入ります。

おわりに

 第四〇回総会は来年二月末、「朝日訴訟」がたたかわれた岡山で開催します。
 今年は国民皆保険実施、朝日訴訟一審勝利、沢内村で乳児・老人医療無料化から半世紀となりました。国民のたゆまない運動で人権を獲得してきました。これらの運動や自らの実践と民医連綱領を結びつけた学習を重視しましょう。職員と共同組織の役割が期待される情勢です。平和で核兵器も原発も基地もない、また住民主体の地域復旧と再生にむけて新しい福祉社会づくりをスタートさせましょう。

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