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第40期第2回評議員会決定

2013年2月17日 全日本民医連第40期第2回評議員会

職員、共同組織の仲間のみなさん

はじめに

I.国民生活をめぐる情勢とそれを切り開く民医連の運動の柱
(1)国民のいのちと健康、暮らしをめぐる状況
 〈東日本大震災と原発事故による影響〉
 〈深刻さをます国民の生活と“内部留保”を拡大する大企業〉
 〈戦争責任を認めない外交では、友好な国際関係は築けない〉

(2)平和と社会保障、いのちと暮らしを守るとりくみ
 〈私たちの運動のスタンスと柱〉
  1.憲法を学び、実践する
  2.人の復興と原発ゼロへ
  3.平和を守る
  4.TPP参加に反対する
  5.消費税増税では暮らしを守れない
  6.地域からの共同 地域貢献を
  7.国民の模索に応える参議院選挙に

II.この1年間の各分野のとりくみと今後の課題
(1)核害に立ち向かう民医連の活動
(2)医療分野の活動
 〈疾病の社会的要因を重視する医療活動をすすめよう〉
 〈共同組織とともにヘルスプロモーションの運動を強めよう〉
 〈QI事業等の医療の質向上をめざそう〉

(3)今日的な民医連事業所、とりわけ中小病院の新たな役割・機能獲得にむけて
 〈新たな機能の獲得へ向けての「選択と創造」〉
 〈急性期(DPC病院)〉
 〈診療所〉

(4)窓口負担のゼロをめざしつつ受療権を守る無料低額診療のとりくみ

(5)介護・福祉分野
 〈介護の理念を広げ、介護改善のウエーブを広げよう〉
 〈民医連らしい「地域包括ケア」を地域連携の中で強めよう〉
 〈介護事業の経営強化めざし、人づくりを一層すすめよう〉

(6)歯科分野の活動

(7)民医連運動を担う職員の確保と育成の課題
 1)医師分野
 〈医学生運動の新たな前進と医学生対策〉
 〈研修医の確保と初期・後期研修成功の課題〉
 〈医師増員・勤務条件改善運動〉
 2)看護関係
 3)薬剤部関係
 4)職員の育成
 〈幹部養成〉

(8)経営・管理運営
 1)二〇一一年度民医連経営の到達点と特徴
 2)二〇一二年度上半期モニター法人調査の状況
 3)公益認定、社会医療法人認定の状況
 4)民医連経営で重視する当面の課題について
 〈全日本民医連経営困難規定に基づく経営対策委員会〉
 〈中長期経営計画、資金計画の策定〉
 〈「特定協力借入金について〉
 〈管理運営改善の課題他〉

(9)共同組織の拡大強化にむけて

(10)全日本民医連の組織運営・活動
 〈福島連帯支援委員会〉
 〈利根中央病院支援〉
 〈災害対策マニュアルの整備〉
 〈60周年記念事業〉
 〈全国共済活動〉
 〈県連機能強化の一環として〉

おわりに

職員、共同組織の仲間のみなさん

 全日本民医連は一九五三年六月七日に結成され、今年で創立六〇周年を迎えます。また、共済活動を開始して四〇年になりました。以来、一貫して貫いてきたのは、平和と人権、「無差別・平等の医療と福祉」の実現を目指してきたことです。東日本大震災と原発事故から二年が経過しようとしています。ますます「貧困と格差」が拡大し、未だ、復興はすすまず、放射能被害からの回復は見通しすら立っていないのが現状です。
 総選挙では憲法改悪、アメリカに追随し、財界中心の国家戦略を掲げた安倍内閣が誕生し、「国のあり方」が大きく変えられようとしています。
 医療・介護の現場は今、大変きびしい状況にあります。そうした中でも、私たちは、共同組織の仲間とともに民医連の存在意義を発揮するために奮闘してきました。この評議員会方針は全国の英知を結集して作られたもので、全国の経験や教訓から学びあいましょう。
 二〇〇八年に提起した「全日本民医連の医療・介護再生プラン」は引き続き全日本理事会で討議を深め、早期の提案をめざします。

はじめに

 三年四カ月前、私たちの運動次第では、政治に大きな変化が起こりうる、民意で政治を変えることができるという国民の期待によって民主党が政権につきました。しかし、公約違反を繰り返した民主党政権は「自壊」しました。そして、先の総選挙では、「格差と貧困」、原発政策など今日の困難をもたらした元凶である自・公政権が、再登場しました。しかし、自民党は比例区得票率二七%、小選挙区得票率では四三%(有権者比二五%)にすぎないのに八割の議席を獲得し、公明党、維新の会とあわせて衆議院全体では憲法改悪に必要な三分の二以上の議席を得ました。
 一方、有権者の四〇%に当たる四〇〇〇万人が棄権し、無効票は過去最高の二〇〇万票を超えました。議席では大勝した自民党は、前の総選挙より二〇〇万票以上も減らしており、掲げた政策が支持された訳ではありません。民意を反映しにくい小選挙区制度の問題、大手メディアが意図的に政策論争を避け、「自民か、民主か、第三極か」といった論調に終始したことも選挙結果に大きく影響しました。
 改憲勢力が衆議院で三分の二以上を占めたことで、戦後、守り通してきた反戦・平和、基本的人権の尊重を謳った憲法は大きな危機を迎えています。
 しかし、支配層の思い通りにはいきません。それは、多くの国民が望んでいないことだからです。どの世論調査でも、過半数を超える国民が、憲法を守ること、消費税増税反対、原発ゼロ、TPP参加反対や懸念、オスプレイ配備や米軍の再編強化反対、医療や社会保障の拡充を願っていることが示され、こうした国民の声こそ多数派であることを示しています。特に原発即ゼロを求める世論は政府のパブリックコメントでも八割を超えています。総選挙後も、あきらめることなく運動が広がっています。一月五日付ニューヨーク・タイムズが社説で日本の右傾化に重大な懸念を表明した他、韓国、中国、イギリスなども一斉に安倍首相の誕生とその後の言動に対し“極右的な歴史観”と警戒心を表明するなど国際社会も日本の政治の右傾化に重大な警鐘を鳴らしています。参議院選挙までは“無難に”といいながら、TPP参加、混合診療解禁など数々の言動は“衣の下の鎧(よろい)”を隠すことはできません。また、「アベノミクス」なる政策は、かつての自民党政治そのものです。
 私たちは、これまで以上に、「架け橋」の役割を強め、具体的な内容で幅広い国民の運動と手をつなぎ、国際連帯をはかり、国民に不利益をもたらす企てをストップさせなければなりません。とりわけ、今夏に行われる参議院選挙は、重大な選挙となります。憲法を守ることは、平和と人権を守ることです。改めて、圧倒的な国民が「憲法を守る決意を示す」状況をつくりましょう。
 第二回評議員会は、総選挙後の情勢認識を一致させ、総会から一年間を振り返り、次期総会までの重点、予算などを確認することを主要な役割とします。

I.国民生活をめぐる情勢とそれを切り開く民医連の運動の柱

 第四〇回総会では、「三つのスローガン」を確認しました。一つは、住民本位の震災復興、平和と権利としての社会保障を実現する新しい福祉国家の展望を作り出すこと、二つには、原発ゼロ、TPP不参加、社会保障・税の一体改革阻止、米軍基地再編阻止など日本の将来を決める運動の「架け橋」となること、三つには、健康権の実現をめざし、保健・医療・介護の実践と医師をはじめ担い手づくりを一体に追求すること、です。

(1)国民のいのちと健康、暮らしをめぐる状況

〈東日本大震災と原発事故による影響〉
 震災から二年近く経つにもかかわらず、被災三県では、生(なり)業(わい)を失い自宅を離れて暮らさざるを得ない人が三二万人、福島県だけでも一六万人以上となっています。コミュニティーが崩壊し、震災関連死は九月末(復興庁発表)で二三〇〇人を超えています。また、自殺や孤立死も後を絶たず、復興は一向にすすんでいません。復興予算は反捕鯨団体対策、各省庁の補修費など全く別のところに使われていることが明らかになりました。一方、被災地では国からの医療費・介護一部負担金、保険料免除も打ち切られました。
 福島第一原発からは未だ放射性物質が放出され続けており、前政権は、事故の原因も未解明のまま、大飯原発の再稼働を許可し、大間原発の建設工事を再開しました。安倍政権はさらに加速しようとしています。民医連の事業所に原発事故現場で働いて急性症状を訴える患者から相談がありました。現場労働者の健康管理、とりわけ六次、七次にも及ぶ最前線の下請け労働者については、国、東電はもとより誰も実態すらつかんでいません。原発事故による警戒区域、避難指示区域などの住民に対する健康保険料や一部負担金免除も二月末には打ち切られようとしていました。しかし、これは運動の力で一年の延期を予算化させました。
 福島第一原発事故について、二〇〇五年から毎年、地震による電源喪失の危険性と過酷事故の可能性を指摘し原発の停止、廃炉を求めた吉井英勝衆議院議員(日本共産党・当時)に対し、「万全に万全を重ねているので絶対に事故は起きない」と強弁したのが時の総理大臣・安倍晋三氏であることをしっかりと記憶にとどめなければなりません。
 「命を代償にするエネルギー」である原発はドイツでは倫理の問題としてとらえられ、世界全体は、原発をなくし再生可能エネルギーへと大きく転換をすすめています。ましてや地震活動期にある日本で、原発存続の余地はありません。原子力規制委員会専門委員全員が「活断層」と指摘する敦賀原発、東通原発はじめ危険性のある原発は直ちに廃炉にすべきです。震災・原発事故二周年にあたる「三・一一」を大きな節目に、一〇日を中心に中央、全国各地で大行動を起こしましょう。

〈深刻さをます国民の生活と“内部留保”を拡大する大企業〉
 「貧困と格差」がますます深刻化しています。また、相次ぐ孤立死、孤独死、労働者の三人に一人が非正規雇用で、年収二〇〇万未満の雇用者が一〇四五万人を超える社会は異常です。保険料や窓口負担が払えないために手遅れとなった事例はあとを絶ちません。大阪府歯科保険医協会の調査で、学校で「要治療」と診断された小学生のうち、受診した子どもは半数、その背景には貧困があると指摘されています。二〇一一年の全日本民医連の調査では一年間に手遅れ死亡事例が六七人にものぼりました。氷山の一角です。特に、「無保険者」の急増が目立っています。国民皆保険制度が完全に「空洞化」しつつあります。また、格差が大きいことは富裕層も含めて社会全体を不安定にし、不健康にするという調査もあります。
 一方、この不況期に資本金一〇億円以上の大企業の内部留保は二〇〇八年秋のリーマンショック後、二六兆円も増え二六七兆円を超えました。この一〇年間では一〇〇兆円の増加です。
 大企業の利益ため込みと反比例して、働く人びとの賃金は下がり続けています。この一〇年間で、イギリスでは一八九・八%、フランスが一六三・一%、ドイツでも一二九・二%と賃金が増えたにもかかわらず、日本は八七・八%です。そこでは安全もないがしろにされています。私たちはこの内部留保を賃上げや社会保障など“国民のために使え”と強く求めます。内部留保の一割の二六兆円は消費税一〇%以上に相当します。
 地域経済の崩壊で消費が冷え込み、日本中、どこも郊外には大型量販店、街には全国チェーンの外食産業が並び、商店街はさびれ地元業者が次々と廃業に追い込まれています。ここに消費税大増税が行われればどういう状況になるかは火を見るよりも明らかです。今、問われているのは「生命や健康、人権よりも大企業の利益を優先する社会でいいのか」という根本的な価値観ではないでしょうか。
 こうした状況のもと生活困窮者が大幅に増え、生活保護の世帯、人(二一〇万人超過)とも史上最高を更新しつづけています。それでも、保護基準以下の生計にもかかわらず受給しているのは、約一〇分の一に過ぎません。生活保護が増えると国家財政に影響を与えるという理由で、申請が増大している原因には目をつむったまま保護費の削減や医療費の一部負担導入をすすめようとしています。生活保護に対する異常なバッシングによって、生活保護受給は「悪」というイメージが広がりました。受給者は「針のむしろ」のような状態に置かれています。人生の中で様々な困難に陥った時に公的に支援する制度を利用することは憲法二五条で保障された人間の尊厳を守る権利です。また、生活保護は社会保障の根底になる制度であり、生活保護の切り下げは年金や最賃など社会保障全体の切り下げにつながります。
 新自由主義や強権政治によって地球環境や生命・人間性を犠牲にする社会ではなく、人間発達の可能性を開く公正・正義・連帯の社会をつくらなければならないと民医連は考えます。
 密室談合で強行した社会保障制度改革推進法を具体化する「国民会議」に出された「基本的な考え方」では徹頭徹尾、「自助・共助」と医療・介護給付の「重点化・効率化」が強調されています。「権利としての社会保障」ではなく、自己責任と親族などの助け合いが社会保障だとし、公的責任を放棄するものです。国民に知らされることなく、人権侵害がすすんでいくことは到底許されません。悪法の廃止を求め、多くの関係者、国民との共同を広げましょう。

〈戦争責任を認めない外交では、友好な国際関係は築けない〉
 領土権をめぐって、中国、韓国との緊張が高まっています。直接的には、石原都知事(当時)が仕掛け野田政権が強行した尖閣諸島の国有化にありますが、南京大虐殺や細菌戦(七三一部隊の生体実験などを含む)、日本軍「慰安婦」強制連行など日本が中国や朝鮮で行った非人道的侵略戦争に対して、国が反省も責任も取っていないことに本質があります。ドイツとの大きな違いです。戦争のない平和な東アジアをつくるために国として正式に謝罪することが重要です。
 しかし四人の閣僚とともに安倍首相は昨年一一月、アメリカの新聞に日本軍「慰安婦」強制を否定する意見広告に名を連ねて、国際社会から大きな非難を浴びています。「慰安婦」問題で、日本政府に謝罪を求め在韓国日本大使館前で二〇年間欠かさず行われている「水曜集会」で、年末、連帯のあいさつをした民医連の仲間に対し、韓国の大学生から「日本人の中にも、こうした良心的な活動をしている人がいること、出会えて本当に心強かったし励まされた」というメールが届きました。平和と人権を求める運動に国境はありません。「平和」や「人権」を守る国際連帯を大きく広げましょう。

全日本民医連創立60周年記念のおもな企画

■記念式典
文化行事、レセプション
8月24日14:00〜19:30(東京)

■第11回学術・運動交流集会
国際シンポジウム
「原発に依存しない東アジアをつくるために〜医療者の目から〜」
10月5日9:00〜12:00(札幌市)

■劇団前進座公演「赤ひげ」
9月〜12月に全国巡演予定

■日本列島をつなぐ
平和自転車リレー&ピースラン(仮称)
地協ごとに実行委員会をつくり、全県の代表で「Fly High! 切り拓こういのち輝く平和な未来へ」のスローガンのタスキをつないで走る。

■応募企画
手記「私と民医連」2000字〜2500字、6月末締め切り。
海外視察ツアー3コース
韓国…平和・TPP・医療運動を交流(11月予定)/デンマーク…医療・介護・地域包括ケアについて(8月下旬予定)/キューバ…健康権について(11月初旬予定)

■県連・法人・事業所でとりくんでほしい企画
(1)県連紹介ビデオづくり…県連や法人 事業所のルーツを訪ねて10分程度のビデオに(助成金あり)
(2)「民医連遺産」エントリー
 無産者診療所から法人・事業所の誕生や事件などゆかりの地、建物など

☆詳しくは、通達などで案内します

(2)平和と社会保障、いのちと暮らしを守るとりくみ

 安倍自公政権は、数の力で新自由主義路線を加速度的にすすめようとしています。安倍総理は、「普天間の移設は辺野古でしかない」と早々に明言しました。一二月二六日の政権合意では、原発積極推進、改憲準備を促進、TPP参加、社会保障制度改革推進法具体化の促進と生活保護基準引き下げ、医療の規制緩和を明言しました。
 この暴走は必ず国民各階層との間で、深刻な矛盾を生み出します。ストップをかける力は、私たち自身の運動と圧倒的国民の声にこそあります。

〈私たちの運動のスタンスと柱〉
1.憲法を学び、実践する

 自民党は昨年八月の憲法改正案で、憲法前文を全面的に書き直し、平和的生存権の否定、基本的人権の抑制、天皇の元首化、国防軍の創設、集団的自衛権の行使、国会議員の二分の一以上で改悪を発議できる九六条の改悪などを打ち出しました。維新の会がさらに右から圧力をかけています。憲法を変えようとの動きに対し、日本国憲法策定に関わり、先日、亡くなったベアテ・シロタ・ゴードンさんは、「日本国憲法は世界中どこにもない人類の宝」と評しました。かつて、「九条の会」の運動が全国に大きく広がる中で安倍首相(当時)を辞任に追い込んだように、改めて日本国憲法を学びなおし、九条の会の運動を活性化させ、広げ、改憲を許さない世論を作り出しましょう。そして、今回の総選挙でも明らかになった、民意を反映しない選挙制度を変えるために奮闘しましょう。生活保護「改悪」にかかわって、全国一斉の実態調査にとりくみ、告発していきます。

2.人の復興と原発ゼロへ
 福島に元の暮らしを取り戻し、新しい歩みを踏み出せるよう国と東電の責任を求めます。原発推進勢力は、電気料金の一方的な値上げや「電気が足りない」、「経済が停滞する」など新たな“原発神話”を復活させようとしています。これは全くまやかしです。国民はだまされません。
 毎週金曜日に行われている数万人規模の脱原発を求める官邸前行動に象徴される脱原発の流れは、これまでになかった一般市民が自主的に参加する運動で、全国に広がり、もはや押しとどめることができません。いかに推進勢力が強行しようとしても民意が許しません。
 官邸前行動の中心メンバー「首都圏反原発連合」のミサオ・レッドウルフさんに対し、「なんといわれようと、粘り強く、たくさんの人と歩きつづけてほしい」と肥田舜太郎顧問がエールを送っています。民医連新聞新年号の対談です。全日本民医連はこうした運動を支え、すべての原発を廃炉にさせるまで運動を強めます。あの時の運動が“原発ゼロを決断させた”といわれるような粘り強い運動を繰り広げましょう。また、被災三県における「新自由主義的」な震災復興ではなく、住民本位の復興のために力を尽くしましょう。

3.平和を守る
 医療や介護の現場で一人のいのちを守るのに全力をつくす私たちは、戦争や貧困の拡大の中でおびただしい人の命が奪われていく現実から目をそらす訳にはいきません。平和を守ることは、民医連が最も重視してきたことです。辺野古支援・連帯行動は九年目を迎え、現地のたたかいを励まし、参加した多くの職員が平和を守る決意を固める機会となっています。辺野古への移転に日米首脳が合意したにもかかわらず一七年にわたって、「杭一本打たせていない」ことは、県民の明確な意思であり運動の力です。沖縄における米軍基地被害は、対米従属の日本の姿を表しています。
 想像してください。毎日のように保育園の頭上を飛び交うアメリカ戦闘機の爆音を、殺人機械と化し戦場から直帰してくる米兵の犯罪に怯え続ける日常生活のことを。米軍によるオスプレイ配備と全国での訓練をやめさせる運動を全国で起こしましょう。沖縄県民の心と全国民の心が共通のものとなった時、日米政府を動かす劇的な変化が生まれると確信します。
 民医連は日本原水協の一員として、各国政府や国連機関に具体的な要請を行いました。草の根の平和運動が国際社会を動かしています。二〇一二年秋、国連に対し三四カ国とオブザーバー国が「核兵器の非合法化」を共同提案しました。しかし、日本政府は共同提案を拒否しました。引き続き原水禁世界大会や平和大会などへの参加を重視し、核兵器全面禁止アピール署名に旺盛にとりくみましょう。

4.TPP参加に反対する
 TPPへの参加は、アメリカの世界経済戦略に日本が組み込まれるものです。国内法より企業の利益が優先されます。国内の産業は壊滅的打撃を受け、国民皆保険制度は崩壊の道をたどります。そのためJA全中や日本医師会をはじめ多くの団体、国民が反対しています。民医連新聞には日本医師会常任理事も登場し、国民皆保険制度を守るために一緒に行動しようと呼びかけています。
 TPPのモデルとなる米韓FTAが実施された韓国の医療団体とも交流してきました。韓国では、営利病院の建設がすすみ、アメリカ製薬企業が特許を持つジェネリック薬を高く買わされるなどの歪みが出ています。たばこの「害」を掲示したオーストラリア政府が、フィリップス・モリス社から、営業妨害で訴えられ、数十億ドルの賠償金を請求されています。大規模農業によって生産された薬づけ農産物、遺伝子組み換え作物が大量に日本に入れば、政府試算ですら食料自給率は今の三九%から一四%に下がり、食料主権・食の安全を侵害します。TPPに参加してから「こんなはずではなかった」では済まされません。具体的な事実を通じて、TPP参加が国民にどれだけ苦難を与えるのか、医療が壊されるのか、大規模な対話、運動をすすめましょう。

5.消費税増税では暮らしを守れない
 消費税増税と社会保障の改悪が、民・自・公の密室合意で決まりました。しかし、廃止は可能です。法律では消費税引き上げの判断は「今年九月の景気動向を見た上で」とされ、なにより、国民の根強い反対があります。一九九七年、消費税が三%から五%に引き上げられたことにより、消費が一気に冷え込み、経済の大停滞を招きました。今は当時よりもさらに厳しい状況です。
 消費税が上がれば自らも困るはずの財界がなぜ、消費税増税を主張するのでしょうか。それには訳があります。輸出品には消費税をかけることができないので、国は、材料などにかかった消費税に対し、「輸出還付金」の名目で戻しています。トヨタ一社だけで二〇一〇年度、二二四六億円の還付金がありました。これは国内販売で払った消費税を遥かに超えています。つまり、消費税を一円も支払っていないどころか、還付金によって輸出すればするほど、儲かる仕組みです。従ってトヨタのある愛知県・豊田税務署の消費税収は二〇〇九年度で▲一一五四億円となっています。一般家庭で年間三〇万円超の消費税増税の一方で、消費税が上がれば上がるほど輸出大企業が儲かる不公平税制の事実をしっかり学び、引き上げ廃止の運動を大きく広げましょう。

6.地域からの共同 地域貢献を
 一〇月七日に全日本民医連主催・長野県民医連共催で行った「地域から医・食・住・環境の再生をめざすシンポジウム」は大きく成功しました。それぞれのテーマを結ぶものは、「憲法を生かすこと」、「地域の中でともに生きること」、「協同して生きること」でした。医療や介護、農業、再生可能なエネルギー、雇用は地域の中でなくてはならない存在です。それぞれ分野は違っても「地域再生」を切り口に「地域での協同」が可能であることを示しました。
 このとりくみ成功のために六〇を超える団体や自治体との懇談、五〇〇を超える申し入れ活動を行いました。どの団体からも歓迎され「壁」はありませんでした。当日は、JA長野からの挨拶、長野県の後援、多数の一般市民の参加がありました。「開かれた民医連」、そしていのちを守る協同の「架け橋」。今、「地域」がこうした新しいステージでの協同を求めています。全国各地に「FEC(フード・エネルギー・ケア)自給圏」をつくろうとの提案が国際協同組合年全国実行委員会代表の内橋克人氏からされています。真の「地産地消」と真の「地域主権」を取り戻す運動です。ここに営利を自己目的としない非営利・協同の事業と運動の「出番」があります。社会変革としての「非営利・協同」の事業と運動を大きく広げなければなりません。地域における「架け橋」として、第三回評議員会までに全ての県連で、可能なところでは各地域で多くの団体、個人にも申し入れ、シンポなどを地域の事情にあわせて積極的に実施しましょう。また、民医連の事業所などで、地域のNPOや非営利団体などとも協力し、自発的、自主的に再生可能な自然エネルギーを採用することや省エネルギーに積極的にとりくむことを提起します。少なくない職員がそれぞれ職能団体の役員を担っています。また、職員、共同組織の仲間が、PTAや子ども会、自治会活動や助け合い活動などNPOなどに加わり、ホームレス支援などに参加しています。
 「人とかかわり、人のために役に立つこと」は人間的な喜びでもあります。それぞれの事業所が、非営利・協同の事業体として積極的に地域社会に貢献する「一事業所(一共同組織)一社会貢献活動」を呼びかけます。また、個々の職員や共同組織の人びとの社会活動を積極的に支援します。その経験を民医連全体で共有しましょう。

7.国民の模索に応える参議院選挙に
 史上最低の投票率となった総選挙の結果は、既成政党に対する政治不信とともに、国民が新しい政治、国のあり方を真剣に模索していることを示しています。この模索を社会進歩の方向に向かう流れとしなければなりません。そうするためには私たちも含め、様々な自立的な集団づくりや、そうした集団との相互協力などを真剣に追求しなければならない時期にきています。これまで運動を通じてつながった人たちや新たなつながりを意識的につくりだし、ともに「アキラメナイ」で新しい社会をつくろうと呼びかけましょう。「対話してなにが変わるのか」、対話できる社会、対話できる関係がつくれます。「参加してなにが変わるのか」、参加できる社会、参加できる自分が変わります。
 幹部や職責が先頭に立って、九万人を超える職員一人ひとりに対し、また共同組織の仲間と真剣に向き合い、政治の問題を自らの問題として考えることができる環境をつくり、徹底的に、学び合い、語り合いを重視しましょう。気づき、共感を通じて、必ず変化は作り出せます。
 共同の条件は広がっています。そのことを示したのが宇都宮健児さんを擁した都知事選挙です。かつてない幅広い市民、団体、党派が結集し、人にやさしい首都・東京をめざして奮闘しました。七月には参議院選挙をはじめ都議選、二〇一四年一月には沖縄・名護市長選挙など重要な選挙があります。参議院選挙では憲法を守り、脱原発、TPP反対、消費税増税ストップ、社会保障拡充を求める「国民の意思・決意」を示す運動です。国会論戦を通じ、無低診の拡充や医師増員の実現などで大きな役割を果たした元民医連職員で医師である小池晃さんも再び国会に挑戦します。政治を変えるとりくみに全力をあげましょう。

II.この1年間の各分野のとりくみと今後の課題

(1)核害に立ち向かう民医連の活動

 全日本民医連は、過去最大規模の核害に対し、(1)住民(全国への避難者を含む)の生活を守り、支援する、(2)放射能被ばくから健康を守る、(3)福島の仲間に連帯する、(4)たたかう、という立場でとりくんできました。政府は年間線量二〇ミリシーベルト以下を「安全」として居住区域の線引きを強引に行おうとしています。非科学的で一方的な線引きは水俣や広島・長崎で行った分断手法そのものです。
 スイス、ドイツなどは福島原発事故の教訓に学び、原発ゼロの方針に舵を切りましたが、民主党も、自民党政権も、原発推進の立場をとり続けています。日本政府のこの実態に対して、「達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利に関する国連人権理事会特別報告者」のアナンド・グローバー氏が来日し、日本政府の原発事故への対応の遅れ、健康管理の不十分さ、住民の分断などに対し、極めて厳しい指摘・勧告を行っています。全日本民医連もヒアリングを受けました。国連人権委員会が定めている健康権の立場からの日本政府が取っている政策への鋭い批判と対策の指摘は、民医連がこの間追求してきた「放射線被害の問題点と対策」を裏付けるものです。
 全日本民医連の基本方針は「原発事故による放射能汚染から国民の命と健康を守る方針(二〇一一年九月理事会決定)」です。
 今期、二度にわたるチェルノブイリ視察の実施、福島県内はもとより北海道、京都、沖縄、山形、愛知、奈良など各地で避難者への健康相談・検診活動、生活支援にとりくんでいます。また、福島県双葉町の三九歳以下の町民の甲状腺エコー検診を受託し、一二月二二、二三日に福島民医連・生協いいの診療所で実施したほか、集団避難先の埼玉県・加須市で行いました。今後、福島県内や埼玉、栃木はじめ首都圏、全国で検診を行う予定です。いいの診療所での検診には通知期間が四〜五日と少なかったにもかかわらず、福島市、二本松市の約一三〇人の対象者のうち三〇人が受診し、数多くの問い合わせもありました。丁寧な聞き取り、検査、寄りそった説明など大好評でした。福島の仲間とともに地協や全日本民医連の医師、検査技師、放射線技師などが参加し、実際に行うことでこの検診の重要性を再確認しました。現在九八事業所が手上げをしています。各地で自主的な汚染調査・マップづくりや健康を守るとりくみが始まっています。全国で広げましょう。引き続き、福島の仲間に対し、義援金の活用、リフレッシュ企画、食料支援、医師、看護師、薬剤師、リハビリ支援など可能な限りこうした活動にとりくみましょう。早い時期に原発避難者への健康相談・検診活動での交流会を準備します。
 二〇一二年六月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」の具体的な実施や完全賠償、医療費などの免除打ち切り撤回、原発即時ゼロをめざして国や東電、また各自治体に対する要請や提言を行います。
 一月、日本原水協の一員として一九五四年のビキニ環礁水爆実験で多大な被ばく被害を受けたマーシャル諸島ロンゲラップ島民の実態調査と健診活動に、全日本民医連として医師と福島県民医連から二人を派遣しました。

(2)医療分野の活動

〈疾病の社会的要因を重視する医療活動をすすめよう〉
 健康を阻害する要因をもっぱらその人の「生活習慣」に矮小化することは、「健康の自己責任」論を導きだします。それは要因の表層に過ぎません。貧困なまま放置される乳幼児期、教育の不平等、大量の失業者を生んでいる非正規雇用、過労死・過労自殺に象徴的なストレスの多い長時間・過密労働、貧困・高齢など様々な理由による社会的排除と孤立、通院すら困難な公共交通の縮小、不健康な食品、環境、居住の問題などが、これまで明らかにされてきた健康を阻害する社会的な決定要因です。
 この一年、私たちは、「健康の社会的決定要因(SDH)」と健康権を探究してきました。具体的には、アスベスト問題や水俣病被害者救済大検診、さらに今期、全国規模で「暮らし・仕事と糖尿病」調査をとりくみました。暮らし・仕事と糖尿病調査の中間報告では、四〇歳以下のII型糖尿病患者には著明な肥満と重症の合併症を多く認め、その社会的背景として、低学歴・低所得・不安定雇用が指摘されています。貧困が若年者II型糖尿病の発症の進行および診断の遅れに影響している可能性があります。すなわち若年者II型糖尿病の予防、早期診断、治療継続に関しては、社会・経済的要因を考慮した対策が必要であることです。今後、第二次調査と合わせ最終報告をまとめ、糖尿病学会などあらゆる機会を通じて社会的に発信します。また、メンタルヘルスの問題や熱中症調査など、疾病や生活の中で表れる困難事例などを積極的に告発していきましょう。
 改めて臨床の場で、疾病を「生活と労働の視点」からとらえ直し、日常診療の中で、生活歴・職歴・生育歴などをきちんと取る活動を強調します。民医連として労働安全衛生分野の活動を意識的に強めましょう。また、社会問題を背景とした医療問題(過労死、アスベスト、水俣など)に積極的にとりくみましょう。三月に第六回中国・毒ガス被害者検診が行われます。医療スタッフを派遣します。

〈共同組織とともにヘルスプロモーションの運動を強めよう〉
 二〇一二年九月には日本のヘルスプロモーションの前進にとって画期となる集会を全日本民医連主催で行いました。ハンヌ・ターネセン教授(国際HPHネットワーク事務局長)を招いた国内初のHPHセミナーには、民医連内外から多くの関係者が参加しました。この集会に参加した日本ヘルスプロモーション学会会長は、民医連に対し大きな敬意を表しました。ターネセン教授は民医連の事業所、共同組織の活動、さらには被災地を見学され、「これこそヘルスプロモーションそのもので、“秘密にせず”もっと世界に紹介してほしい」と感想を述べています。世界で九〇〇病院が加入していますが、日本の場合、加入医療機関の多くは民医連事業所です。HPHの実践は、患者の健康、地域の健康、職員の健康の三領域から構成され、それは民医連綱領で掲げている目標や「貧困と格差、超高齢社会に立ち向かう医療と介護の実践」と直結しています。
 WHOがめざすHPHの理念は、「究極の目標は、平和であり、最大の敵は貧困」です。HPHは、職員・共同組織・地域住民が、「健康の自己主権」を実現し、「疾病の自己責任」論を克服していくことにつながるものです。民医連内外でHPHの加入・実践を広げ、全日本民医連は「日本支部」結成にむけ役割を果たしていきます。

〈QI事業等の医療の質向上をめざそう〉
 民医連QI推進(医療の質評価)事業は、厚労省から「病院の規模も中小が多く、その規模の団体外の病院の参考になると考えられる」と評価され、二年連続で厚労省事業に選定されました。民医連のQI事業のとりくみと成果は、日本の多くの中小病院に対して、医療の質向上の「スタンダードになる可能性をもった」(近藤克則氏)ものです。
 今後は、無料低額診療など健康権指標なども充実させ、全事業所でのとりくみを呼びかけます。
 医療の質をさらに前進させるものとして医療安全と医療倫理の課題があります。今期、民医連として初めて医療安全委員長会議開催や病院管理者・顧問弁護士交流集会、医療倫理交流集会などを開催しました。コミュニケーションを重視した「ノンテクニカルスキル」を高める実践や日常診療現場で遭遇する身体拘束や胃(い)瘻(ろう)造設などをテーマとし、また、危機管理対応においては医師法にもとづく届け出判断や医療事故への集団的検討の必要性、警察関与への対応などが議論されました。問題提起を各事業所で議論し、日常診療や医療管理のレベルアップにつなげていきましょう。
 自主研究会代表者会議は、専門医制度の動向を踏まえ、専門領域にかかわる一九分野からの参加も得て拡大で開催しました。医師養成と学術・医療活動の充実の方向性が、一層鮮明になりました。「貧困と格差」に真正面から立ち向かう、医師養成の大波を作る時代です。そのためにも民医連の自主研究会活動の果たす役割を重視します。

(3)今日的な民医連事業所、とりわけ中小病院の新たな役割・機能獲得にむけて

 政府は、二〇二五年「医療・介護提供体制の戦略」に基づいて診療報酬・医療法の改定と地域医療計画の具体化をすすめています。焦点は、中小病院の病床機能の削減・再編成です。日本の中小病院は、地域住民に密着し、急性期・大規模病院と診療所、在宅、介護事業の「ハブ」(要・中継点)の役割があります。こうした視点は日本医師会も、全日本病院協会も共通の認識です。一方、中小病院は、不当に診療報酬を抑えられ、多くの中小病院が存亡の危機にあります。
 全日本民医連に加盟する病院の圧倒的多数は中小病院です。今期、行った中小病院交流集会には、一一六病院四二〇人(医師一二五人)が参加し、関心の高さを示しました。民医連中小病院は、今、苦悩しながら模索しています。こうすればうまくいくといった「一般解」はありません。地域の事情、主体的力量を勘案して、自らの力で病院の機能を獲得して切り開く時代です。その核心は、病棟・外来・在宅・介護における法人内外の地域連携です。

〈新たな機能の獲得へ向けての「選択と創造」〉
 民医連中小病院が輝くことが、地域に密着した日本の中小病院のあり方の一つのモデルとなり、地域医療の崩壊を防ぐことにつながります。獲得すべき新たな役割・機能は、(1)急性期医療のネットワークと民医連中小病院・急性期病棟の機能(高齢者の入院医療の強化)、(2)慢性疾患医療、特にがん医療での役割と緩和ケア病棟への挑戦、(3)亜急性期・回復期リハと慢性期病棟(障害者、療養型)への転換と質の向上、(4)誰もが地域で安心して暮らせる「地域包括ケア」の実現をめざす民医連中小病院の機能・役割の発揮(在宅の分野における複合体づくりと「在宅医療連携拠点事業」への挑戦)、(5)共同組織とともにすすめる地域の健康づくり、です。
 医療の質の向上とチーム医療の充実は欠かせない基盤です。民医連中小病院交流集会の問題提起を自らの県連、法人、事業所に引き寄せ、新しい前進をはかりましょう。

〈急性期(DPC病院)〉
 急性期病院(DPC病院)を対象にした交流集会を二〇一三年秋に開催し、急性期医療と総合医・専門医の養成をめぐる激変の情勢に立ち向かう戦略とマネジメントについて問題提起と交流を行います。

〈診療所〉
 民医連には五八九カ所の診療所があります。診療所は地域住民の最も身近な存在として生活と密着し、予防・健康増進・医療・介護・在宅・地域を結ぶ最前線の位置にあります。民医連新聞新年号で紹介された北海道・黒松内診療所が果たしているような総合力を持った役割を一つのケースとして活動を見直し、強めましょう。一一月の民医連診療所所長交流集会で、診療所活動の今後の課題を深めます。

 民医連の法人・事業所の中長期戦略策定のためには、徹底した地域分析と自己分析で、(1)ポジショニングを定めた医療・介護の活動、(2)これらを主体的に担う医師等の確保・養成、(3)経営の質を高める計画の策定が必要です。
 その際、法人幹部の指導性と、県連プロジェクトの設置など法人の枠を超えた地協・県連レベルでの民医連の優位性を発揮することが重要です。また、日本医師会、全日本病院協会をはじめ関係団体と意見交換や連携を強めましょう。

(4)窓口負担のゼロをめざしつつ受療権を守る無料低額診療のとりくみ

 無料低額診療事業が受療権を守るうえで大きな役割を果たしています。しかしEUの多くの国やキューバなどでは、映画「シッコ」で紹介されたように窓口負担無料が当たり前です。日本も三〇年前までは健康保険本人、高齢者の窓口負担はゼロでした。私たちの無低診事業への参加は医療費の窓口負担ゼロを展望し、実現を目指す運動と一体のものとしてとりくみます。
 実施事業所は、二〇一二年一〇月現在で七二九医療機関中、民医連が三二〇カ所を超えています。二〇一一年度経営実態調査では、のべ三八万八八八九人が利用しています。また、生活保護の患者数は、のべ一一六万五〇九一人でした。生活保護への締め付けが厳しくなる中で、無低診の利用が増えている現実があります。無低診を実施している事業所では、行政からも大きな信頼を集め、受療権を守る上で「最後のよりどころ」になっています。無低診の患者を担当したある医師は「無低で命をつなぐことができる患者が増えた。民医連の職員でよかった」と感想を述べています。
 一一月に開かれた第二三回全国福祉医療施設大会で、全国福祉医療施設協議会の調査・研究委員長は、「無料低額診療新規事業の拡大の契機になったのは小池議員の質問である。また会員数一六二施設に対し、三〇〇を超える事業所に拡大しているのは、多くは民医連の病院が新規参入しているからで、たびたびマスコミにも登場している点からも私たちの仲間として考えていかなければならない」と発言しています。二月に全国福祉医療施設協議会と全日本民医連が懇談を行いました。
 次期総会までに課題を鮮明にして、全ての医科、歯科事業所で無低診に挑戦しましょう。また、法人の区別なく国や自治体からの補助制度を実現させることと保険薬局で実施可能となるよう運動をすすめます。昨年五月には、全国中核都市市長会も薬代の補助を求めて国への要請を行っています。地域の医療機関にも積極的に参加を呼びかけましょう。

(5)介護・福祉分野

〈介護の理念を広げ、介護改善のウエーブを広げよう〉
 昨年一二月の全日本民医連理事会で「民医連の介護・福祉の理念」を確認しました(別項)。介護分野での二年余の討議を経て、確定したものです。民医連の介護・福祉の事業所で働く仲間の共通の理念として、実践の中で検証し深めていきましょう。
 民医連は全国各地で介護報酬・制度改定による影響について交渉や記者会見を行い、いかに制度が、利用者・家族・事業所・職員の実態とかけ離れたものであるかを告発してきました。「介護困難事例調査」は、制度改定後、深刻な困難が発生していることを明らかにしました。生活援助の時間短縮は衣・食・住環境に関わる生活の基本の後退、本人の状態悪化や家族の介護負担の増加、費用負担の増加など深刻な事態を表しており、利用者から「長生きするなということか」との怒りの声が上がっています。ヘルパーの給与減、「細切れ・駆け足介護」の強制など現場にも重大な影響を与え、利用者と事業所の間に新たな分断が持ちこまれています。深刻な人手不足が解消されない中、基幹的なサービス事業に対する基本報酬「適正化」の結果、都市部を中心に事業の縮小・廃業などもみられ、事業所アンケートでは「到底納得いかない改定」との意見が集中しています。
 請願署名は一〇万筆を超えました。国会行動、省庁交渉を通して、生活援助の見直し、介護報酬再改定、処遇改善など緊急改善を求めます。同時に、社会保障制度改革国民会議のもとで次の制度改革が打ち出される時期です。給付の重点化・効率化の名で軽度介護・生活援助の保険外し、費用負担引き上げ(利用料二割化、ケアプラン有料化等)を狙っています。経団連はこれらに加えて支給限度額の引き下げ、特養の利用者限定化などを提言しています。今後、介護保険制度改悪の阻止、抜本的改善を実現させるたたかいが焦点となります。新たな「再生プラン」を携え、介護改善を求める地域の声、事業所の声をつなぎ、協同を広げる「架け橋」として介護ウエーブを広げましょう。

〈民医連らしい「地域包括ケア」を地域連携の中で強めよう〉
 「地域包括ケア元年」、「地域包括ケア時代」がキーワードとなっています。高齢化がいっそう進行、二〇一二年は団塊の世代が高齢期に突入した年であり、認知症は推計値を超えて急増しています。現在でも六五歳以上の一〇人に一人、八五歳以上の四人に一人が認知症といわれています。他方で「住み慣れた地域で暮らし続ける」ことが困難となっています。「孤立死」はその象徴であり、家族ではなくて「孤族」、さらに「無縁介護」という状況すら指摘されています。
 国が推進する「地域包括ケア」は、「最後は自宅で」の願いを逆手にとり、自己責任、「自助・自立」の理念を土台にすえて、在宅への無理矢理「押し流し」を徹底させることによる公費抑制型の医療・介護提供体制です。基調は、介護保険の重点化・効率化を狙った「入院から在宅へ」、「医療から介護へ」、「介護から市場・ボランティアへ」の流れ、公的保険の削減を目的としたものです。
 民医連がめざす「地域包括ケア」は、こうした考えとは全く違ったものです。住み慣れた地域で、公的責任による医療・保健・福祉が切れ目なく保障される体制であり、「誰もが、健康で、最後まで安心して暮らし続けられるまちづくり」として位置づけています。介護保険の抜本改善と公的福祉の再生運動と一体的にとりくむことが不可欠です。あわせて営利企業の参入が激しい「住居」の問題で公的住宅整備・家賃助成など居住権保障を求める運動にとりくむことを前提に、住み慣れた地域で暮らし続けることを可能にすることが私たちのめざす地域包括ケアの実践です。在宅生活を支える様ざまな拠点づくり(特に、定期巡回など新サービスへの積極的な手挙げと施設建設の追求)、低所得でも入居できる住まいづくり、認知症・看取り対応への積極的な挑戦を呼びかけます。その際、共同組織と連携した認知症サポーター養成・見守り・助け合い、居場所づくりを重視し、「医療と介護の連携」を強めます。医療・介護の連携は民医連の真骨頂、現場の実情・専門性への理解で顔の見える連携が改めて必要です。以上の推進のためには法人における体制の確立と法人間の連携強化が重要です。

〈介護事業の経営強化めざし、人づくりを一層すすめよう〉
 低い介護報酬のもとで経営基盤は極めて脆弱な状況です。しかし、改定報酬への様々な対応で減収をくいとめ、概ね前年並みの収益を確保しています。個別事業ごとの経営評価と改定報酬への的確な対応をすすめるために、社会福祉法人専務会議、老健施設交流集会を開催しています。脆弱な体制で担当者任せになりがちな介護事業の法的整備を重視する必要があります。相互点検を県連、地協単位で実施するなど手抜かりなく対応することを強めましょう。
 政府(内閣府)が導入しようとしている「キャリア段位制度」は、介護職のスキルを七段階で評価しようというものです。その本質は、政府の経済戦略にそった「安上がりな」人材育成にあり(製造業等から介護への職種転換)、新たな矛盾をもちこむものです。国が本来やるべきことは抜本的な処遇改善です。全日本民医連は安易な資格認定制度の導入には反対です。一方、導入された場合は介護報酬にリンクすることから一定の対応が必要となってきますが、「段位制度」にふりまわされず、前期提案した「キャリアアップ作成指針案」に基づき、人権を守るにふさわしいキャリアアップを追求しましょう。
 経験の浅い職場、職責が多い中、管理者養成を引き続き重視し、全日本民医連として前期に引き続き法人責任者、ケアマネ責任者研修会を開催していきます。全県連で介護職部会を設置し、日常的な研修や交流を旺盛にすすめましょう。また、介護職だけではなく、看護、リハビリを含む介護・福祉の現場に働くすべての職種の養成方針、人事政策づくりにとりくみましょう。

民医連の介護・福祉の理念

2012年12月14日
第40期 第11回全日本民主医療機関連合会理事会

(前文)
 私たちは、民医連綱領を実現し、日本国憲法が輝く社会をつくるために、地域に生きる利用者に寄り添い、その生活の再生と創造、継続をめざし、「3つの視点」と「5つの目標」を掲げ、共同組織とともに取り組みます。
(3つの視点)
1 利用者のおかれている実態と生活要求から出発します
2 利用者と介護者、専門職、地域との共同のいとなみの視点をつらぬきます
3 利用者の生活と権利を守るために実践し、ともにたたかいます
(5つの目標)
1 (無差別・平等の追求)
 人が人であることの尊厳と人権を何よりも大切にし、それを守り抜く無差別・平等の介護・福祉をすすめます
2 (個別性の追求)
 自己決定にもとづき、生活史をふまえたその人らしさを尊重する介護・福祉を実践します
3 (総合性の追求)
 生活を総合的にとらえ、ささえる介護・福祉を実践します
4 (専門性と科学性の追求)
 安全・安心を追求し、専門性と科学的な根拠をもつ質の高い介護・福祉を実践します
5 (まちづくりの追求)
 地域に根ざし、連携をひろげ、誰もが健康で、最後まで安心して住み続けられるまちづくりをすすめます

(6)歯科分野の活動

 「歯科酷書 第2弾」を完成させ、酷書を活用した自治体への請願のとりくみを提起しました。一万六〇〇〇部を全国で普及し、歯科独自で初めて国会内記者会見を行いました。Yahoo!検索では「歯科酷書」は五万四六〇〇件のヒットがあり、歯科の業界紙、テレビ、歯科医師や弁護士他団体のホームページなどでも取り上げられました。長野では子どもの医療費無料化運動、山梨では歯科医師会の討議資料として活用されています。今後、歯科医療改善にむけて、(1)国民健康保険法第四四条の減免制度を実効性のある制度にすること、(2)高すぎる国保料の引き下げ、(3)中学生までの医療費無料化、(4)無料低額診療事業への国や行政からの支援を広げ実施事業所数を増やすこと、を掲げ国への要請を行います。そして、自由診療領域の多い歯科分野で、「保険で良い歯科医療」の運動の共同と広がりをつくり、各県で連絡会の結成をめざします。
 「二〇一一年度までに、全ての歯科事業所で黒字化を目指す」経営改善方針に基づき、全国の経験などを学びあい、全力でとりくみました。二〇一一年度は黒字事業所が六四%となり、歯科事業所合計で経常利益二億四〇〇〇万円を確保し、一〇年ぶりに黒字となりました。五%以上の黒字事業所は四割を超え、患者数も増えています。患者の人権を守り、保険診療を中心に運動を続けてきた成果です。引き続き改善はすすみ、今年度上半期では黒字事業所は七割を超え二・七%の利益率を確保しています。一一月に開催した所長・事務長会議は、改めて無差別・平等の歯科医療をすすめる民医連の歯科活動に確信を深め、「民医連歯科としての存在意義をいかんなく発揮すること」、「全県に民医連歯科の旗を掲げるためにも、ゆるぎない経営的な基礎を築くこと」を確認しました。
 三月に歯科学術運動交流集会、七月に青年歯科医師交流集会を行います。後継者養成が重要です。歯科奨学生は、二〇〇三年の二三人をピークに現在は九人に留まっています。奨学生を増やすとりくみを県連・地協で行うこと、次の担い手である中堅歯科医師の交流や組織化にとりくみます。歯科医師を地域で育てる事業所として、地協レベルで歯科医師臨床研修の管理型施設を取得し、歯学生の中に民医連歯科運動の理解と連携を広げます。二〇〇六年に三〇〇〇人の卒業生がいた歯科技工士は、大幅に減少し一〇〇〇人を下まわっています。民医連も同様の傾向です。年齢構成は、二〇代が一〇%まで落ち込み、五〇歳代前後のベテランが増えています。歯の保健教室、保健大学、地域行動への歯科技工士の積極的参加、患者によりそう歯科技工士の育成を重視します。

(7)民医連運動を担う職員の確保と育成の課題

1)医師分野
〈医学生運動の新たな前進と医学生対策〉

 民医連の奨学生は一一月時点で四三〇人(他海外在学一四人)となり、前年同月と比べ三七人増えました。原発問題や震災、貧困問題をテーマに医学生のつどいや学習会のとりくみの中で、奨学生が生まれています。現代の深刻な社会・医療矛盾は医学生に「どのような医師になるのか」を問うています。東大では医学生対策担当者や学生が一緒になって、自主ゼミなどが意識的に行われています。自らの意思で被災地でのボランティア活動などに参加している医学生も少なくありません。関東大震災を契機に始まった東大セツルメント活動が無産者診療所の活動につながったように、今日でも医学生の初心や生き方を問い、医学生運動の新たなうねりをつくりだす時代です。今日的な医学生対策の課題を鮮明にし、医学生運動の新たな前進を援助しましょう。同時に全医学部に奨学生を生み出すこと、民医連奨学生五〇〇人の実現、奨学生ゼロ県連・ゼロ医学部解消にむけ、県連、地協で具体的な大学・医学生の現状分析に基づく方針を作成しましょう。医学生担当者会議を開催し、全国的な経験交流、研修を行います。

〈研修医の確保と初期・後期研修成功の課題〉
 医療・介護活動と医師養成を一体のものとしてとりくむ方針のもと、医師養成が前進の兆しを見せています。二〇一三年度、民医連で医師人生のスタートを切る研修医は一五〇人です。およそ卒業生の二%が民医連で研修することになります。一方、マッチングゼロの県連もあります。地協や県連レベルで対策をとり、次年度での初期研修医の確保や他の臨床研修病院との連携での研修の仕組みなどを検討しましょう。
 三年目以降、引き続き後期研修として民医連で研修する割合は、ここ三年で五〇%台から六五%まで改善しています。三年目を迎えた全国統一オリエンテーションによる連帯感も生まれています。「健康権」探求の課題を担い得る医師集団の形成、地域に密着した医療活動と初期研修との結合、オール民医連のとりくみの成果が表れつつあります。毎年、医療福祉生協連合会と共催で開催している臨床研修交流集会は年々、内容を充実させ、地域医療を担う医師研修の学びの場となっています。民医連内外での連携と研修医になにを期待するのかを議論し、中長期の戦略を持ち、民医連の総力で研修医の育成に力を入れましょう。
 全日本民医連の医師臨床研修センターである「イコリス」は三年目を迎え、民医連と医学生、研修医、医師をつなぐ重要な機能として役割を強めます。

〈医師増員・勤務条件改善運動〉
 日本の医師数は人口一〇〇〇人あたり未だ二・一人でOECD加盟国中下から四番目で、OECD加盟国の平均並みにするには一・四倍の増員が必要です。医師ユニオンが中心になって全国の勤務医労働実態調査を実施し、民医連は事務局団体として役割を担いました。結果、すべての科、すべての地域で勤務医の労働実態は、さらに厳しい状況であることが明らかになりました。医師増員や診療報酬の大幅な引き上げによる医師の労働条件改善はまったなしの課題です。高齢化に伴う医療需要が拡大するもとで医師増員が今の水準に留まることは許されません。増加する女性医師が安心して働くことができる支援施策が必要です。女性医師の支援プログラムを策定し、具体的な支援を始めている民医連外の病院もあります。女性が働きやすい職場とは全ての職員が働きやすい職場につながります。私たち民医連も要求や実態をつかみ、具体的な対策を講じましょう。そのことは民医連で生き生きと働く女性医師の獲得にもつながります。
 医師の確保と養成の課題は、求められる状況からすれば、到達は不十分です。オール民医連で、「地域医療のスペシャリストとして、総合性を自らの専門として高い力量を持つ総合医・家庭医と総合的基礎力を備えた専門医をバランスよく育成する」ことは地域医療の担い手づくりの要です。民医連がその役割を切り開くとの決意でとりくみましょう。
 専門医のあり方について「専門医制度のあり方検討会」が間もなく答申を出します。この問題では「たたかいと対応」の視点が重要です。「専門医制度」の問題点として、国による専門医の統制をしようとの動きがあります。また将来的には診療報酬とのリンクも考えられます。全日本民医連はこうした動向には反対します。現場の声を反映する制度とするためにも、具体的な提案を準備します。とりわけ、自主性を最大限尊重し、官僚統制を排し、総合医を基本領域に含める方向性が打ち出されていることへの積極的対応(具体的には、総合医養成の資格要件確保のためにプライマリケア認定医と指導医資格の取得)をすすめていくことなどが重要です。こうした情勢を踏まえ、全国集会を開催し、具体的な民医連の医師養成方針を検討します。
 二〇一五年度に初期研修見直しが行われます。地域の医療を守るために、地域の医療機関が共同して医師を育てる視点を重視しましょう。あわせて、これだけ民医連が注目を集める中で、これまでつながりのあった医学生や研修医、パート医師などへの民医連参加を積極的にすすめ、迎え入れることを重視しましょう。

2)看護関係
 今、専門職能の向上とチーム医療の推進などにより、患者に寄りそう医療の要となって民医連の看護集団が輝いています。新卒看護師確保は、一月末現在で一〇八四人となり、九年ぶりに一〇〇〇人を超えた昨年を上回っています。東京も厳しい環境のもとで目標比八六・五%まで到達しました。奨学生は四月の時点で一七七五人だったのが二二六九人に増えています。高校生対策、きめ細かな援助や相談、なによりも民医連看護を語った成果です。各地で作成されているムービーなどをみるとそのことを実感します。看護師の定着率も改善しています。
 一方、二〇一四年度診療報酬改定や地域医療計画の見直しの動きに注目した対応が必要です。動向次第では新たな「看護師争奪戦」が起きえます。絶対的な看護師不足の要因は、公的な養成校の少なさと現場に復帰できない潜在看護師が多数いることです。復帰支援を含めたとりくみも重視しなければなりません。
 三九期にまとめた、「交替制勤務を中心とした労働環境課題」、「若手中堅看護師の育成と定着にむけての提言」、「改めて民医連の看護実践のあり方を考える〜民医連の看護実践でつちかってきたもの〜」の三つの文書をさらに深め、具体化することを目的に、四〇期(1)日常の看護実践の質の向上をめざし、民医連看護の指標を提示する、(2)これまでの民医連看護の実践をまとめた「本」を作成し、民医連看護への確信を深めて貰う、(3)看護管理の現状を調査し、民医連看護管理のマネジメントスキルの向上をめざす、の三つのワーキングチームで作業をすすめています。
 九月に徳島で行った第一一回看護介護活動研究交流集会は、各地の実践を通じて民医連看護の積極性を確認し合いました。第一二回は青森で二〇一四年一〇月に開催します。
 在宅医療・介護における診療所や訪問看護ステーションの役割が重要となっています。在宅医療を担う看護職員の確保と力量向上のために訪問看護ステーション交流集会を計画します。社会問題化した医師不足の緩和策として、「チーム医療の推進」に名を借りた新たな看護師の役割「看護師特定能力認証制度」のための法制化がすすめられつつあります。患者に寄り添い、支える看護師本来の役割を著しく歪めるものです。医労連などと共同して、狙いや具体的な問題点を、看護集団を先頭に学習し、医療者、患者の中に明らかにして法制化を許さない、また、看護師増員や勤務条件改善の運動をいっそう強めていきましょう。

3)薬剤部関係
 「保険薬局にも無低診の適用を」運動を開始しました。無低診が制度化された時代は医薬分業政策のない時代で、厚生労働省自身がその矛盾を認めています。今、あまりにも高い薬代のために治療を中断する患者、処方箋を出さない患者が増えています。患者さんなどにも共同を広げ、薬局での負担軽減を制度化させることを展望しつつ、無低診実施可能となるようとりくみを強めましょう。また、人権を守る民医連の保険薬局として、病院SWなどとも連携し、困難事例を見逃さない「目と構え」を研ぎ澄ましましょう。保険薬局版QI事業は二〇一三年四月から本稼働を予定しています。
 二〇一二年四月三〇日現在、薬剤師数は二三三〇人と前年より八六人増加しました。特に病院薬剤師が増加しており、病院医療の質向上、チーム医療の一員としての役割が期待されています。一方、保険薬局が薬剤師不足のために閉鎖・統合せざるを得ない状況もあります。薬剤師奨学生は二二四人と昨年度より増加しました。すべての県連で薬学生担当者の配置など必要な体制を確立し、「オール民医連」による薬学対活動をすすめましょう。全日本民医連として、初めて、五月に新入薬剤師統一オリエンテーションを行います。

4)職員の育成
 民医連運動を担う職員養成は、新しい職員、職種が急増する中で、極めて重要な課題です。これに成功するかどうかが、今後の民医連運動の鍵を握っているといっても過言ではありません。教育目標は、歴史と綱領を深く理解し、綱領実現の課題を自らの生きがいと結びつけ、自主性と創造性を高め、実践できる職員と集団を育成することです。
 介護職員、リハビリ職員など新しい職種も急増しています。今を生きる青年は、自己責任が叫ばれ、競争社会の中を生きてきました。特に日本はその傾向が色濃く出ています。日本青年研究所「高校生の生活意識に関する調査」では「私は価値ある人間だと思う」と答えた日本の高校生は七・五%で、アメリカや中国、韓国の高校生と比べても著しく低いのが特徴です。「自己責任」論のねらいは、国民から“考えること”を奪うことであり、それに対抗するには「なぜ」と問いかけ、“考える習慣”を広げる必要があります。(「民医連医療四六六号」小森陽一講演録)
 職員の育成は、県連、法人、事業所が責任を持ってすすめなければ前進できません。職員が育つ環境、土壌をつくりましょう。そのためにも一〇月の教育委員長会議で提起した、(1)綱領の学習と日常の実践、(2)人権を守り行動する職員育成、(3)職場づくり・職場教育の重視と強化、(4)職員育成を重視した法人・事業所の管理運営の充実を呼びかける「教育活動をすすめるうえでの指針(案)」に添って県連、法人で具体的な計画を立案し、教育・共育活動を強めましょう。職場運営の中で、日常的に「事例検討」を重視すること、「民医連新聞」、『いつでも元気』、『民医連医療』の活用を呼びかけます。

〈育ちあいの「職場づくり」に必要な8つの視点〉
□いつも患者・利用者、人権を守ることが中心にすわっている。事例からの学びを大切にしている。
□職場の使命や目標が明確になっている。職場の誰に聞いても、目標や課題について共通の認識をもっている。
□決めたことをやりぬくことが重視され、やったことがきちんと評価される。
□地域、職場、現場の状況やでき事がリアルかつタイムリーに共有され話題になっている。
□現状変革の志がある。一人ひとりの職員に「もっと〜したい」「〜を良くしたい」という思いがある。
□思いやりと率直な相互批判にもとづく信頼と規律がある。
□個人の責任と集団の責任が明確になっている。
□学習が重視され、絶えず学ぶ雰囲気があり、一人ひとりの成長にむけて援助し、励ましあっている。

〈健康職場の5つの視点〉
□個人にとって適度な質的量的負荷となっているか
□職員の安全・安心が保たれているかどうか
□技術的に研修の保障がされているか
□使命が明確で評価されているか
□ライン内・職場間・職種間で少数意見が保障されコミュニケーションが向上しているか

〈幹部養成〉
 幹部の育成はまったなしの課題です。(1)情勢認識と民医連の立ち位置、(2)健康権など総会方針・評議員会方針の要点をつかみ、トップ幹部としての役割の確認、(3)痛恨の事例・歴史に学び、自らの組織に引き寄せて考える、(4)トップ管理者同士の交流をはかること、を目的に医師、看護師、薬剤師、事務幹部などを対象にした第一一回トップ管理者研修会を昨年一一月に開催しました。今回は医師が多く参加したことが特徴です。
 「『自己責任』論を乗り越えていくために、歴史認識や情勢、わたしと民医連などを『言語化』し、伝える力を身につけること」、「討論の無いところに民主主義は育たないこと」、「『痛恨の歴史』から再生してきた民医連の連帯と団結の力こそ民医連の魂であり、トップが汲み取るべき教訓に溢れていること」、「トップ幹部の資質とは姿勢であり、知らないことは学び、経験は積めば良いことを肝に銘じた」、「全国には仲間がおり、これほど討論や交流をしたことは無いと思われるほど議論し連帯と団結が生まれた」、「医療事故からの教訓の引き出し方で大学病院との違いに驚き、人権を守る民医連の姿勢に触れ、『民医連大好きになった』」、「日頃、日常業務に埋没して考える機会が少なかったが、参加して本当に良かった」などの感想が出されています。こうした成果を生み出していますが、管理者の養成は、日常の管理運営、業務の中で醸成されていくものです。そのためにも、教育指針案で提起した内容を重視しましょう。
 今期で四回目となる事務幹部学校では次代を担う事務幹部が学び、体験し、交流し合う中でたくましく成長しています。昨年一二月には、第三クールとして韓国で、米韓FTAの実情や医療団体の運動、日本の加害の歴史と平和活動の重要性、労災のたたかいの中から生まれたグリーン病院の歴史や理念、めざしているものなどを学びました。各地協単位や県連単位でも事務幹部養成が始まっています。また、今年は次世代看護管理者の養成のため、看護管理者講座を当面一期六〇人(一期二クール)で三年間、行います。

(8)経営・管理運営

 今日の医療・経営環境をみると、二〇〇八年、一〇年の二回の改定と各法人・事業所の努力で、若干なりとも診療報酬が引き上げられましたが、二〇一二年は、また、マイナス改定に転じるなど依然として厳しい環境にあります。多くの病院が、経営を守るために室料差額を徴収しており、収益費では約一・五〜二%を室料差額徴収に依存しています。都内の有名病院では一日の室料差額が十数万円・予納金五〇万円というところも少なくありません。とても国民が負担できるものではありません。それでも日本の全病院の四割以上が赤字経営を強いられています。こうしたもと、経営の課題は、医療介護の営利・市場化をすすめる新自由主義・グローバリゼーションとのたたかいです。二〇一四年診療報酬改定ではどの医療機関も室料差額などに頼ることのないように診療報酬引き上げと窓口負担解消を求めて運動を強めます。特に、中小病院がその役割を果たせるよう診療報酬の大幅な引き上げを求めます。また、診療・介護報酬に対する消費税の非課税制度を仕入れ控除が可能な制度に改めさせるとともに、患者・利用者負担を増やさない制度にすることを求めます。
 民医連経営の強みはなんでしょうか。なにより医療・介護の活動が地域から信頼されていること、そして、経営情報の公開と医療・事業計画や目標を管理部はじめ全職員が共有していること、共同組織の存在等、があげられます。この強みをいかんなく発揮することが管理運営上の要であることを改めて強調します。
 しかし、赤字構造が常態化している事業所も少なくありません。そこには確かな理由があります。全国の様々な経験や教訓から学びつつ、法人、事業所の管理運営、経営管理の改善を行いましょう。

1)二〇一一年度民医連経営の到達点と特徴
 経常黒字法人は一三二法人(八四・六%)となり、二〇〇〇年度以降最高となりました。全法人合計の経常利益は一二八億円で、利益率二・一%と前年並みを確保しました。患者件数、延患者数は、外来・入院ともに前年比増となりました。特に、外来患者数は二〇〇一年をピークに毎年減り続けていましたが二〇一一年度で増加しており、今後の推移を見ていく必要があります。事業キャッシュフロー対事業収益比率は七・四%で、二〇〇〇年度のキャッシュフロー計算書導入以降、最高率を確保しました。
 一方で、利益剰余金マイナス法人は、六三法人で依然として四割の法人が累積赤字となっています。また、「債務超過法人」は一七法人、「自己資本+協同基金マイナス法人」は一一法人です。引き続き構造的な改善を要する法人が多い実態にあります。
 全病院合計の経常利益は二二・七億円(収益比〇・六%)と二年連続黒字となりました。しかし、四割は依然赤字となっています。

2)二〇一二年度上半期モニター法人調査の状況
 二〇一二年度上半期モニター法人調査では、経常利益は一九億九〇〇万円(利益率は一・五%)確保したものの、前年より減少しました。病院の経常利益は△二・一億円(利益率△〇・二%)となり、前年度から五億三〇〇万円の減益で赤字に転じました。外来延患者数が前年比九七・一%と大きく減少していることが特徴です。新入院患者数は前年比一〇一・一%の微増にとどまっています。二〇一二年診療報酬の実質引き下げと受診困難な患者の存在が大きな要因であることは確かですが、病院の役割・機能に照らして「どこに要因があるのか」を分析し、共有することが重要です。DPC病院の新入院数は、前年から二・三%増加していますが、病床利用率は一般病棟八五・四%と低くなっています。近接診を除く無床診療所は、経常利益率四・三%で前年から微増となりました。利益増の要因は、健診活動や事業費用抑制によるものです。外来延患者数は前年比九四%と減少しています。強化型在支診は六二診療所(三八%)で取得しています。
 老健施設は三分の一が赤字で経常利益を悪化させています。在宅復帰率等への対応が鍵です。訪問看護ステーションは、利益率八・五%と大きく改善しました。事業所の八割が黒字です。利用者件数、延件数を大幅に増やしています。老健交流集会を開いて経験や教訓の交流を行います。
 ヘルパーステーションは、前年水準を維持しています。事業所の七割が黒字です。一二年度介護報酬は実質マイナス〇・八%の改定でしたが、「サービス内容・提供時間の見直し」や「加算・取得の見直し」による積極的対応をおこなってきました。日当円は減少を延利用回数で増やし、前年収益を維持しました。

3)公益認定、社会医療法人認定の状況
 民医連の特例民法法人一五法人のうち、公益法人認定を受けた法人は、京都保健会(二〇一一年四月認定・救急、無料低額診療)、林精神医学研究所(二〇一二年四月認定・精神、無料低額診療)、横浜勤労者福祉協会(二〇一二年四月認定・無料低額診療)、北海道勤労者医療協会(二〇一二年四月認定・無料低額診療)、宮城厚生協会、石川勤医協の六法人で、どの法人も公益目的事業は、無料低額診療が評価され認定を受けています。認定申請済みは、福岡医療団、山梨勤医協、福岡健和会、京都信和会の四法人です。法律で決められた制度でありますが、各県の「ローカル・ルール」を押し付けるなどの事例が多数見受けられます。不合理・理不尽な法律や指導に対してはたたかう姿勢を堅持し、粘り強い交渉が必要です。同時に、認定後の課題やとりくみのあり方についても、今後実践をふまえての検討をすすめることとします。
 公益性が高く、地域医療で重要な役割を担うことを厚労省が想定した社会医療法人制度が設置され、すでに全国で一七〇以上の社会医療法人が誕生しています。民医連においても八カ所(東京・健生会、千葉勤医協、秋田・明和会、新潟勤医協、長野・南信勤医協、中信勤医協、大阪・同仁会、長崎・健友会、熊本・芳和会)が社会医療法人として認可され、その他数法人が申請準備に入っています。社会医療法人制度は、非営利性を高度に担保した民間医療機関に効率よく公益性の高い医療サービスを担わせることなどを目的に、経営の透明性を高めた医療法人に対して、地域の医療計画へ参画させ、自立的に公益性の高い医療を安定・継続的に提供してもらうものとなっています。こうした点も踏まえて、医療法人は積極的に認定申請を行う方向で検討することを呼びかけます。社会医療法人になることで、医療法上の本来事業の法人税等非課税、要件取得対象病院の固定資産税非課税といった優遇措置が受けられます。

4)民医連経営で重視する当面の課題について
〈全日本民医連経営困難規定に基づく経営対策委員会〉

 経営困難規定に基づく経営対策委員会として、新たに高知医療生協経営対策委員会が設置されました。徳島健康生協、川崎医療生協に共通しているのは、法人唯一の病院が多年にわたり大きな赤字構造を転換できず、全体としても支えきれない構造で資金流出が連続し危機に至るというパターンです。経営困難法人では、例外なく中長期経営計画、資金計画がありません。その背景には、管理運営問題、統一会計基準への理解不足と会計制度の未整備、情報や目標が共有化されていない、などがあげられます。これは困難法人に限ったことではなく、多くの法人に共通する問題を含んでおり、県連、地協単位での相互点検や援助が必要です。経営困難法人に対し、全日本民医連として困難を一緒に乗り越える立場で援助します。また、資金不足等の経営困難に備えるための、全国連帯基金制度や経営困難規定についても、見直しと検討をすすめます。

〈中長期経営計画、資金計画の策定〉
 中長期の経営計画、資金計画を持つことが重要です。厳しい経営環境であるほど、「単年度主義」では経営の展望は描けません。具体的数値での計画を持たないと、このままの経営状況で推移すればどうなるか、次年度の最低必要利益はどの水準か、リニューアル等の展望が具体的に見えてきません。五年程度の経営計画、資金計画を論議・作成し共通認識にできるようにするのは、経営トップの重要な役割です。もちろん、情勢の変化など先の見通しが十分立たないことも多々ありますが、先の見通しが見えにくい時にこそ、中長期計画を描く論議と作業に大きな意味があります。また、債務超過解消計画、累積赤字解消計画、病院等リニューアル計画、特定協力債償還計画等を加味した場合、一〇年以上の大枠の計画の策定が必要となります。全ての法人で一定の計画を確立するために、二〇一三年度予算編成方針等に、中長期経営計画に基づく予算を作成することを盛り込んで、作業・検討をすすめましょう。すでに、作成している法人も、過年度の実績を踏まえて、見直し論議と必要な補強・修正を行うことが必要です。

〈「特定協力借入金について〉
 経営委員長・経営幹部会議で、「特定協力借入金の法的整備方針(案)」を提案しました。特定協力借入金のうち、有利息・無利息の建設債等(目的債)の整備課題を提起しています。全国討議の上、今年秋、方針として確認する予定です。民医連のとりくんできた特定協力債は、「医療機関債」とはまったく別のものです。特定協力債は共同組織の人々の民医連事業所への信頼と共感、期待の広がりや強さあってのもので、民医連経営の強みの一つとなってきました。この意義や大切さは、今後も変わることはありません。
 しかし、もし、「倒産」等の事態になれば、借入金の返済能力を巡って、社会的にも責任を大きく問われる事態となります。その点から、大切にすることと「依存」してしまうことの違いを改めて確認しておかなければなりません。特に、「返済計画を含む資金計画の策定」は必須の課題です。

〈管理運営改善の課題他〉
 二〇一三年度から、統一会計推進士講座を地協毎に開催し、新たに二〇〇人を超える推進士養成をすすめます。新たな水準の経営管理の構築に向けて、非営利・協同の組織である民医連経営を守り、発展させるために、「経営トップ向け講座」(仮称)、「幹部医師向け経営講座」等の開催をすすめます。また、「県連の会計処理・決算様式の留意点」についてあらためて提案します。

(9)共同組織の拡大強化にむけて

 共同組織は民医連運動の重要な構成要素であり、職員と一緒になって健康で、安心して住み続けられるまちづくりをすすめるパートナーです。共同組織の仲間は三六〇万、『いつでも元気』は五七〇〇〇部に達しました。地域での健康づくり、助け合いの活動、平和や暮らし、地域をよくするとりくみ、事業所利用や運営参加など多彩な活動を行っています。そのことは九月に岩手県花巻市で開催した第一一回共同組織活動交流集会に各地の多彩なとりくみが持ち寄られ、交流されました。例えば、看護学校進学のために元教員の共同組織の仲間が「無料塾」を開いて進学を援助した奈良の経験をはじめ、組合員による医学生のたまり場での食事の提供、「通院難民」といわれるような仲間に対しての送迎、生活援助、青空健康相談会、平和や社会保障制度、医師や栄養士、薬剤師などを講師にした班会といった活動が日常的に行われています。仮設住宅での支部や班も生まれています。また、料理教室・食事会、街並みチェック、地域医療を守る運動への参加、事業所探検で施設改善に結びつけるなども行われています。
 こうした活動は地域での「孤立」を防ぎ、まちづくりをすすめる上で大きな役割を果たしています。各共同組織の新聞が発行され、事業所と共同組織の仲間をつなぐ役割を果たしています。共同組織の活動への参加は医師をはじめ職員の成長の場ともなっています。地協単位での交流会開催や大阪のように一〇〇〇人規模での県連での法人形態の違いを超えた日常的な交流も活発になり、学び合う場ができてきています。こうした活動をさらに強めることが戦略的に重要です。
 二〇一四年秋に神戸で行う全国交流集会にむけた全国連絡会には三八県連から委員が選出され、準備に入っています。地域で健康権を保障すること、民医連らしい「地域包括ケア」の実践の上で、共同組織の役割がますます重要です。今夏の参議院選挙で、社会変革の担い手として大きな役割を果たすために、学習し、対話する運動を広げることを呼びかけます。

(10)全日本民医連の組織運営・活動

〈福島連帯支援委員会〉
 原発事故の影響で若手医師の退職があり、医師体制が厳しいわたり病院、桑野協立病院など福島県民医連の事業所への支援が行われています。そうした中、今年度、わたり病院での研修決意者が誕生し、新年度の研修受け入れ成功に向けて具体的な準備をすすめています。わたり病院から桑野協立病院への医師や薬剤師支援が行われるようにもなりました。さらに、院長会議の実施、臨床研修における連携についても検討が始まっています。
 一方で、福島にふみとどまってがんばっている職員の不安は小さくありません。福島県内の住民、組合員への健康・生活相談などがすすめられています。引き続き、福島の仲間に連帯し、福島県民医連が求められる課題に対し、より大きな役割を発揮できるよう、全国の連帯で支援を続けます。

〈利根中央病院支援〉
 二〇一一年度、全日本民医連としてのべ九七人に及ぶ医師支援を行い、群馬県連では医師総会の意思統一に基づいて幹部医師の派遣が行われました。また、医師日当直支援とともに、県連研修委員会の活動を強化し利根の研修支援が行われています。こうした中で、自治体からの支援も受け、利根中央病院の新病院建設の課題についても医師集団の積極的な参加、組合員による運動が活発に行われています。また、総合診療を担う指導医への支援を地協、全日本民医連として具体的な援助について論議を行っています。
 この間、看護師集団をはじめ職員集団が、大きな役割を果たしました。また、職員や組合員の中で民医連について正面から語る、学ぶ活動が活発に行われ、確信が生まれています。

〈災害対策マニュアルの整備〉
 全日本民医連は東日本大震災・原発事故を踏まえ、全日本民医連としての災害対策マニュアルと各事業所が備えるべき災害対策指針をまとめ提起しました。これはこの間の経験を反映させたものです。いつどんな災害が起きても対応できるよう体制の整備・確立、訓練が重要です。

〈60周年記念事業〉
 創立六〇周年を迎え、共同組織の仲間にも参加いただいて記念事業実行委員会が発足し、「FlyHigh!切り拓こういのち輝く 平和な未来へ」をスローガンとして、ロゴや全国平和自転車リレー、海外ツアー(デンマーク・キューバ・韓国)、「私と民医連」手記募集、「民医連遺産」登録など様々な記念事業も準備しています。職員や共同組織の「参加型」のとりくみを重視し、この時代に「私たちは何のために、誰のために学びたたかってきたのか、そして誰とともに歩んできたのか」を確認し、未来に向かって新しい歴史をつくるステップとしたいと考えています。昨年発刊した無産者診療所運動以来の全日本民医連通史『無差別・平等の医療をめざして』の普及、学習を提起します。

〈全国共済活動〉
 一九七二年二月に開催された第二〇回総会は、「今総会に提案される全国一本の共済組合の設立は、職員の福利向上と同時に、民医連全体の連帯、相互援助の組織として統一と団結に役立つものです」と決議し、同年一〇月全日本民医連共済組合が誕生しました。現在は組織が変わってきていますが、この設立の理念は全国各地の民医連共済運動に引き継がれ、大きく息づいています。全日本民医連創立六〇周年記念事業と全日本民医連共済四〇周年記念事業を成功させ、民医連運動と職員の福利向上の一層の前進のために力を合わせていきましょう。

〈県連機能強化の一環として〉
 総会方針で提起した県連機能強化の要となる県連事務局長研修会を開催します。

おわりに

 今年は人間裁判といわれた朝日訴訟をたたかい、生保行政の改善を実現させた朝日茂さんが亡くなって五〇年の年です。経済・利益・競争優先の社会から、一人ひとりが大切にされる社会が望まれます。そうした社会へと変えるには、一人ひとりが社会の主権者として、参加することから始まるのではないでしょうか。一人の力は小さくとも集まれば、大きな力となります。綱領と総会方針の創造的な具体化をめざして、全国各地で奮闘しようではありませんか。

 

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