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第40期第3回評議員会方針

2013年8月25日 全日本民医連第40期第3回評議員

はじめに

(1)第40期に掲げた方針及び活動の到達点と次期総会までの課題
 〈「貧困と格差」に立ち向かう民医連の医療・介護の活動〉
 〈東日本大震災と原発事故に立ち向かう民医連の活動〉
 〈患者・国民の受療権を守る無料低額診療などの活動〉
 〈経営と管理運営の改善のとりくみ〉
 〈歯科分野の活動〉
 〈国民的課題での民医連の活動と「架け橋」としての役割〉
 〈民医連の選挙活動〉
 〈民医連運動をすすめる職員育成・幹部育成のとりくみ〉
 〈共同組織の活動の到達点〉
 〈よりいっそう全日本民医連・県連の役割強化を〉

(2)「国」のあり方をめぐる激変の時代・情勢をどう捉えるのか

(3)次期総会までの特に重視すべき事項
 〈第41期にむけての2つの問題意識〉

おわりに

 第23回参議院選挙の結果を踏まえて(評議員会方針補強)
  2013年8月16日 全日本民医連第19回理事会

はじめに

 第四〇期もあと半年となりました。この二年間は、国民の期待をことごとく裏切った民主党政権への失望、代わって政権の座についた安倍政権の憲法改憲の動きにみられる歴史に逆行する政治路線推進など、どの時期にも増して「激動、激変の情勢」でした。安倍政権がすすめようとしている憲法改悪、TPP交渉参加、原発再稼働や原発輸出などの動きは、日本という「国の形」を変え、一%の富裕層の利益のために九九%の国民に犠牲を強いる政治です。
 今年、創立六〇年を迎えた全日本民医連は、無産者診療所運動以来、一貫して「いのちの平等」の実現を求めて活動してきました。あらゆる分野で「いのち」が脅かされる状況の下、民医連への信頼と期待や役割が高まっています。これからの半年間、人権のアンテナの感度をいっそう高め、「もっとも困難な立場の人びと」の目線に立って全ての国民の人権を守るために奮闘しましょう。
 第三回評議員会の任務は、(1)第二回評議員会からの半年間を振り返りつつ、最後の半年間の方針を確認すること、(2)次期役員選考基準の確認、(3)社会保障全面改悪に対抗する全日本民医連としての提言(案)の討議を行うこと、です。参議院選挙については、結果を踏まえて評議員会で補強します。

(1)第40期に掲げた方針及び活動の到達点と次期総会までの課題

〈「貧困と格差」に立ち向かう民医連の医療・介護の活動〉

 第四〇回総会方針が提起したSDH(健康の社会的決定《阻害》要因)の克服を正面にすえた八つの医療課題・健康権・生存権保障や医療や介護の質向上にむけたとりくみが真正面から受け止められ実践される状況がつくられてきました。多くの事業所、分野が健康阻害要因としての「貧困と格差」をテーマとして取り上げました。四〇歳以下のII型糖尿病の「暮らし・仕事」関連調査や国保など受診困難死亡事例調査、全国一斉にとりくんだ生活保護患者生活実態調査などのとりくみは、「健康の自己責任論」を煽る社会に対し、現場から実態を告発し、全日本民医連や多くの県連が記者会見を行い、マスコミからも注目を集めました。国会議員や他団体にもこの内容を紹介し、六月の通常国会で生活保護改悪法案の採決を止めさせる力となりました。
 二〇一一年度から厚生労働省の指定事業として認められた「医療の質の評価・公表等推進(QI)事業」は厚労省から高い評価を受けるとともに、現場の医療活動を点検し質を高める役割を果たしています。保険薬局でも始まります。二〇一三年度も三年連続、厚労省の事業に選ばれました。それは「日本の、特に中小病院の医療の質を高めるうえで典型となりうる」との評価によるものです。
 私たち民医連は、地域密着の医療機関の役割として、「病気の診断、治療を行う施設」という概念を超えて、介護も含めて、地域全体の健康水準の向上に貢献する施設になろうと問題提起しました。そしてヘルスプロモーションの活動を位置づけ、共同組織と一体となったHPH(ヘルス・プロモーティング・ホスピタル&ヘルス・サービス)にとりくむことを強調してきました。五月に行われたHPH国際カンファレンスには全日本民医連から一二演題を出題、二二人が参加し、「保健予防活動」、「医療と介護が一体となった活動」、「共同の営み」が国際的に大きな注目を集めました。六月には、WHOのマーガレット・チャン事務局長が「TPPのような新自由主義的貿易協定とグローバル企業の利潤追求行動が、世界の人びとの健康に対する重大な脅威である」と警鐘を鳴らし、規制を求める国際連帯を呼びかけました。その後、厚生連・佐久総合病院との交流を通じて国際HPHネットワーク日本支部結成への機運が広がっています。
 「自助>互助>共助>公助」、「自己責任」を基調とし、公的責任をないがしろにした厚生労働省流の「地域包括ケア」ではなく、公的責任を明確にし、保健・医療・介護を一体のものとして捉えて住民と医療・介護・行政関係者が協同して作り上げる、誰もが健康で「安心して住み続けられるまちづくり」と、その中での民医連事業所や共同組織の役割や可能性について、在宅医療・介護交流集会、介護事業責任者会議などで問題提起を行いました。この提起は「FEC(フード・エネルギー・ケア)自給圏」を提唱する内橋克人氏やWHOの提唱するヘルシー・シティーなどの考え方にもつながる展望を持ち、地域のあり方や私たちの役割を考えていくうえで、第四一期の重要な実践課題となるものです。秋には、急性期病院交流集会や診療所所長交流集会を開催し、この課題を深めていきます。
 厳しい環境にある中小病院で、そのあり方に一つの「解」はありません。地域の事情、医師体制などの主体的な力によっても違ってきます。自らの力で機能を獲得し、切り開く時代です。地域における中小病院は、「ポストアキュート機能」と在宅や介護を支え、医療・介護が連携する中継点・結節点としての役割が求められていることは間違いありません。その中で無差別・平等をめざす民医連の事業所の役割は重要です。大いに交流し各地で役割を発揮しましょう。

〈東日本大震災と原発事故に立ち向かう民医連の活動〉

 東日本大震災・原発事故による被災地の復旧・復興は、二年四カ月以上も経過したにもかかわらず、全く遅れています。被災三県で二九万八〇〇〇人、福島県だけでも一五万人以上が避難生活を余儀なくされており、“棄民政策”ともいえる状況が続いています。
 岩手・宮城県では、災害公営住宅の建設は二%以下にすぎません。今なお、仮設住宅には五万人が暮らさざるを得ず、劣悪な住環境のもとで健康悪化を訴える住民が増えています。さらに今年三月末をもって宮城県は被災者への医療費一部負担金の免除を打ち切りました。宮城県民医連が行ったアンケートでは「四割」が受診機会を減らさざるを得ないと答えており、中には「人間をやめる」などの回答も寄せられています。こうした実態調査などをもとに、多くの仮設住宅自治会なども参加し行った免除の復活を求める請願を、宮城県議会は全会派一致で採択しました。運動の力で知事に決断を迫りましょう。避難指定地域以外の福島県や岩手県の自治体は各自治体の予算で継続しているところもありますが、本来は、国の責任で行われるべきものであり、総額二五兆円にも上る復興予算がまったく被災地とは関係のないところに使われている現状を即刻改め、医療・介護の保険料や自己負担減免をはじめ被災者への生活支援を強めることが求められます。こうした状況の下、宮城、岩手民医連では継続的に仮設住宅訪問や支援を続けています。
 福島第一原発事故の規模はチェルノブイリ原発事故に匹敵し、今なお、一日あたり四〇〇トンもたまり続ける汚染水の処理もできず、地下水の汚染や海洋への流出が続くなどいっそう深刻になっています。原子炉周辺は、毎時数百マイクロシーベルトという高濃度であり、原発事故は全く収束などしていません。放射能による健康被害や健康不安とともに家族離散、地域社会、故郷の喪失、経済的負担、失業、過度のストレスなど多重な困難が強いられており、また、健康を犠牲にしながら働く原発労働者が無権利状態に置かれているなど、原発事故の責任は極めて重いものがあります。
 にもかかわらず東電は未だ「人災」と認めず、高市早苗自民党政調会長は「原発事故で死んだ人はいない」と発言する始末です。六月現在、原発関連死は一四〇〇人を超えています。また、再稼働を前提とした「新規制基準」のもと、東電は柏崎刈羽原発の再稼働申請の動きを見せるなど、加害者意識は全くありません。除染も生活再建、賠償問題もすすんでいません。また、放射線量のデータ改ざんや隠蔽なども行われています。「子ども被災者支援法」の具体化は全くすすんでいません。放射能の問題はエネルギーの問題でも経済の問題でもありません。人間のいのちの問題です。人類と原発は共存できません。震災後の原子力発電依存度は二%以下にすぎず、それも電力に余力がある状況で、原発のない社会は可能です。
表 爆発当初、政府や東電が繰り返した「ただちに健康に影響はない」という言動に対し、私たちは、「あらゆる可能性を否定せず」、福島県民や近隣住民に寄り添い、福島県民医連のとりくみを支援するとともに、双葉町から依頼を受けた甲状腺エコー検診や全国各地で健康相談や支援活動を行ってきました。六月には全国交流会も開催しました。息の長い活動となります。今後も被災者に寄り添って継続的な支援を続けましょう。福島県民医連とも連携しながら、被災者支援・健康管理の拠点づくりを提起します。福島医療生協・わたり病院がWBC(ホールボディーカウンター)の導入を決めたのを受け、積極的に支援することに決めました。また、日本原水協の要請によりマーシャル諸島ロンゲラップ島民の健康相談活動に医師と福島の事務職員を派遣しました。

〈患者・国民の受療権を守る無料低額診療などの活動〉

 無料低額診療事業(以下、無低)は三二一カ所でとりくんでいます。実質、全国の実施医療機関の半数以上となっています。また、田村智子参議院議員(日本共産党)の国会質問で、保険薬局での無料低額診療事業実施の可能性について答弁を引き出しました。無低事業の実施にあたり「生活保護患者が一〇%以上相当」という壁によって自治体に受理されない状況も少なくありません。地方によっては持ち家や車保有率が高いために生活保護世帯が少ない場合があります。また生活保護バッシングにより申請をためらう状況が少なくありません。しかし、地域をみれば無年金・低年金、非正規雇用労働者、非課税世帯の増大や国保滞納世帯が二〇%を超えるなど明らかに必要度は高まっています。また、こうした具体的数字や実態を示しながら無低を受理された事業所もあります。
 改めて全事業所が無低を実施することを呼びかけます。一二月には第二回無料低額診療事業交流集会を開催します。また、高知市、旭川市についで七月一日より青森市が無低の患者の保険薬局での医療費免除制度を発足させました。全国で自治体に対し、実施を迫り、実績を積み上げながら国の制度となるよう運動を強めます。また、支払い困難な患者、利用者、市民への生活相談や減免を定めた国保法四四条の適用拡大の運動を強めましょう。

〈経営と管理運営の改善のとりくみ〉

 二〇一二年度の全日本民医連の医科の経営は、民医連法人全体で、一・八%の経常利益(前年二・二%)となりました。黒字法人は一五五法人中一二三法人で前年度より六法人が赤字となりました。事業収益が前年比一〇一・六%にとどまったのに対して、事業費用が前年比一〇一・九%となったことによるものです。収益は、介護収益が前年比一〇六・一%と伸びたものの、医業収益が前年比一〇〇・八%と前年並みとなっています。緊急な改善方針が必要な要対策中期項目五ポイント(例えば「二年連続純利益赤字」やフリーキャッシュフロー(事業CS―設備投資)二年連続マイナスなどの指標)以上に該当する法人は三七法人(首都圏が一五法人)で、中長期の改善計画を確立していくことが求められます。
 二〇一四年度診療報酬改定や消費税増税、社会保障の全面改悪の動きは、民医連の経営に大きな打撃となります。他の医療機関も同様で、地域医療崩壊をいっそう深刻なものにします。国民医療を守るためにも、それを許さない運動を強めるとともに、どんな環境下にあっても利益を生み出す構えととりくみが必要です。また、今後、病院リニューアルや退職金支払い額の増加も見込まれる法人が多くあり、中長期の見通しを持った経営・資金計画を確立することは必須です。医療費抑制を意図した不当な査定や適時調査等へのたたかいと医療整備をすすめていくことが重要です。
 そのためには、理事会や管理会が全職員参加の経営の力を引き出し生かすことがなによりも重要です。経営課題は、医療介護活動や構想、医師確保等の人事政策など総合的な視点でのとりくみが重要です。管理運営・経営管理にいっそう習熟するとともに、地協・県連の経営委員会の体制や機能をさらに強化していく必要があります。
 昨年提起した特定協力債の整備方針案についての論議と各法人での整備が進められています。秋には一定の指針を出す予定です。
 地協ごとの開催とした民医連統一会計基準推進士養成講座は全体で二四四人が受講、各地の事務幹部が講師活動を行うなど地協機能が発揮されています。
 全日本民医連経営対策法人である高知医療生協は、二〇一二年度、上半期は大きな赤字を計上しましたが、対策委員会での指導・援助を積極的に受け止め、法人あげての経営構造の転換をすすめ、二〇一二年度は経常利益約四〇〇〇万円(昨年度より八〇〇〇万円の改善)となりました。理事会、管理部、職員集団、労組との粘り強い協議を通じて、課題と目標の共有がはかられ病院の入院患者の確保や介護事業の全面的な見直し、人件費構造の転換をすすめた結果といえます。川崎医療生協の経常利益は二・二億円で、前年より一・四億円の改善となりました。人件費の見直し、入院収益増が特徴です。引き続き病院リニューアルを含む経営計画の確立とその前提となる病院の経営改善が課題となっています。徳島健康生協は努力はしているものの債務超過状態となっています。改めて医療経営構造の見直しが求められる状態です。

〈歯科分野の活動〉

 歯科分野は全国的な交流と民医連歯科の特徴を打ち出し、経常利益で一・九%と前年より〇・三%増加し、黒字事業所は七九箇所、七一・二%と前年より八事業所が黒字となりました。そうした中、全国の支援で九年ぶりに全国三〇県目の歯科が新潟に誕生しました。これまで歯科の要求があるにもかかわらず、歯科新設のネックとなっていた経営問題の改善は、新設の展望を開いています。積極的に検討を開始しましょう。また、自由診療領域の多い歯科医療に対し、「保険でよい歯科医療」の運動は、大きくすすみ、民医連だけで短期間の間に一一万筆を超える署名が集まり、国会議員要請などにもとりくんでいます。

〈国民的課題での民医連の活動と「架け橋」としての役割〉

 原発問題、TPP交渉参加問題、消費税増税や社会保障の大改悪問題など日本の安全・平和・国民生活に重大な影響を与える課題で、私たちは積極的にたたかい、運動の「架け橋」としての役割を担ってきました。「六・二 NO NUKES DAY」には、さようなら原発一〇〇〇万人アクション、首都圏反原発連合と私たちの参加する原発をなくす全国連絡会が共同し首都東京だけでも六万人が参加する大規模な原発ゼロを求める市民行動となり、市民の力を示しました。また、昨年三・一一以来続いている金曜日の首相官邸前行動にも積極的に参加し、行動を支えています。全国でもこれまでの立場の違いを乗り越えて、「原発ゼロの社会を」の共同が追求されています。国民的な共同を強める上で、民医連が大きな役割を担っています。
 TPP交渉参加、生活保護改悪、オスプレイの配備や辺野古基地移転問題でも民医連独自の行動をすすめるとともに積極的に他団体との共同行動を重視してきました。辺野古支援連帯行動はこの一〇月、全日本民医連として三〇回を迎えます。民医連の継続した連帯行動が現地の仲間に大きな励ましを与えています。参加者を中心に多くの平和の守り手、担い手が増え、各地で平和マラソンや平和自転車リレーが広がり、集計では今年度三八県連で実施・予定されています。一九年前に道東から始まった平和自転車リレーは、沖縄民医連の仲間も参加するなど連携を広げています。六〇周年を記念した県連をつなぐたすきリレーも行われています。
 この間、日本医師会との懇談をはじめ日本生協連、JA、厚生連、医療福祉生協連や日本医労連、保団連など医療団体連絡会など多くの団体と懇談し、国民皆保険制度を守ること、TPP参加に反対することなどを確認してきました。
 また、京都、沖縄、宮城では昨年の長野に引き続いて「医・食・住・環境を守るシンポジウム」を開催し地域で日常的に連携・協力する関係が生まれました。全国医師ユニオンを中心にした国民医療を守る集会成功に力を尽くしました。こうした中で、初めて民医連の存在を知る人も多く、新たな信頼関係ができています。来年の総会までに全ての県連で懇談、シンポジウムを実施しましょう。
 また、原発反対など「一点共闘」から、「TPPも消費税増税もいらない、生活保護を守れ」など、どの課題でも共通する課題でつながりが生まれてきており、今後のさらに大きな共同の広がりの可能性を示すものです。

〈民医連の選挙活動〉

 七月の参議院選挙にあたって全日本民医連は、選挙を綱領実践の重要な機会と位置づけ、憲法を守り生かす立場で政策をかかげる政党や候補者の勝利のために奮闘しました。全日本民医連会長のアピール、DVD「選択の時」などを活用した事業所や職場での学習・討議、投票の呼びかけ、多彩な宣伝活動などがかつてない規模で旺盛に行われました。全国各地の豊かな経験を学びあい、今後の選挙のとりくみに生かし発展させていくことが大事です。

〈民医連運動をすすめる職員育成・幹部育成のとりくみ〉

 こうした運動や実践の広がりを作り出してきた力は「民医連綱領」と「六〇年の歴史」に源泉があります。現在、非常勤職員を含め一〇万人を超えた民医連職員集団と三六〇万人近い共同組織の仲間がその担い手です。民医連運動の新たな発展はこうした仲間の成長にかかっているといえます。二〇一三年度、新卒医師受け入れ一四〇人、薬剤師一四〇人、看護師一〇六〇人はじめリハビリ、介護職など数千人の仲間を迎えました。しかし、この数年の伸びに比べ医学生一、二年生の奨学生確保が遅れています。担当者まかせにせず県連の最重点課題の一つとして重視したとりくみを強めましょう。医師、看護師、薬剤師など奨学生活動の強化を通じ、また全国的な連携で職員の確保を強めましょう。
 そして、民医連で働く仲間を信頼し、学びあい成長し、「無差別・平等の医療と福祉」をめざす事業所、職場づくりをすすめましょう。そのためにも、その時々の情勢や全国の様々な経験を伝える民医連新聞や『いつでも元気』、『民医連医療』やホームページや民医連動画ニュースなどを積極的に活用した職場運営を強めましょう。
 介護分野では、みんなで作り上げた「民医連の介護・福祉の理念」をもとに、実践や研修、介護職の組織づくりが始まっています。介護分野は経営的に厳しい状況にありますが、営利企業の独占を許さず、「人権としての介護」をめざして、事業と運動、担い手づくりを意識的にすすめましょう。
 事務幹部学校は第五期を迎え、当初予定の最終年度となります。事務幹部の横のつながりも生まれ、新しい幹部が育ちつつあります。昨年卒業した第四期生は独自のFacebookグループも立ち上げ、日常的な交流を深めるとともに、学びの成果を学術運動交流集会で発表する予定です。看護管理者講座、介護トップ研修会なども始まりました。秋にはトップ管理者研修会も開催されます。日常の現場での実践と結んで民医連運動の幹部育成を成功させましょう。

〈共同組織の活動の到達点〉

 第一二回共同組織活動交流集会にむけて、三八県連より新たな連絡会役員が選出され日常的な交流と来年九月に神戸で行う全国集会の準備を始めています。共同組織の活動は、班活動などの日常的な交流を基礎に、地域での健康づくりの活動や食事会、趣味の会、助け合い活動など多様で、地域の中で大きな役割を担っています。また、事業所利用委員会への参加や事業所建て替え運動への積極的な参加、若い職員や医系学生の育成への援助、さらには政治革新や自治体への要求運動など各地でその活動の幅を広げており、健康で安心して住み続けられるまちづくりの上で、なくてはならない存在となっています。

〈よりいっそう全日本民医連・県連の役割強化を〉

 以上のように、私たちは総会で掲げた方針の具体化と時々の情勢の変化に対し見解や声明、方針を提起してきました。今後、全国レベルのたたかいとともに、地域を軸にした運動の構築が重要です。全ての事業所が県連に結集し、県連機能を高め、地域での運動や実践をすすめましょう。

(2)「国」のあり方をめぐる激変の時代・情勢をどう捉えるのか

 今年五月、大阪市内のマンションで二八歳と三歳の母子の遺体が発見されました。二月頃に死亡したとみられ、預金残高は一〇数円。電気もガスも止められ、ガス料金請求書の裏には、「食べさせられなくて、ごめんね」というメモが発見されました。警察庁は、昨年度、死後四日以上経って発見された六五歳以上の遺体は一万五六〇〇体に上ると発表しました。社会的排除・孤立が生んだ悲惨な事例です。また、年収二〇〇万円以下で暮らす給与所得者は一〇四五万人を超え、「ブラック企業」に代表されるように多くの若者が無権利・無法状態に置かれています。今、非正規労働者は二〇四二万人となり全労働者の三八%、女性では五七%を超えています。子どもの貧困率は一五・七%と先進国では極めて高く、子どもや一人親世帯の貧困が深刻になっています。
表 今、日本では一日七六人以上が自殺しています。G8の中でも極めて「異常な国」自殺大国となっています。病苦、生活苦とともに過労死・過労自殺も少なくありません。二〇歳代の死因の第一位は自殺で、自殺率は、一九九八年に自殺者が三万人台に急増した前年の一・七倍となっています。九七年は、消費税増税、医療費負担などで年間九兆円の負担を国民に強いた年です。国民年金は、四〇年支払い続けて満額六万五〇〇〇円で、老後、無年金の方も少なくありません。これでどうして安心した老後が送れるのでしょうか。
 郊外に大型量販店(一九九〇年に米国が日本政府に対し「大規模小売店舗法=大店法を地方自治体の上乗せ規制を含めて撤廃すべきだ」と要求し、二〇〇〇年に廃止された)ができたことにより、街の商店街がシャッター通り化して久しい状況です。
 医療の分野で見ると、全日本民医連が行った二〇一二年一年間の国保証取り上げ・無保険など経済的理由による手遅れ死亡事例調査では二五都道府県から五八件の死亡事例が報告されました。うち国保短期保険証が四例、資格証明書が一三例、無保険が二二例で、年々無保険が増えている状況があります。生活保護は過去最高の二一五万人を超えました。
 また、介護の分野では、介護保険導入時(二〇〇〇年)から営利企業の参入で介護事業を競わせ、介護が営利の対象とされました。そして、病院や病床を政策的に減らし、さらに「施設から在宅へ」というかけ声のもとで、自助努力を求める動きが強められました。
表 これが世界第三位の経済大国といわれる日本社会の実態です。圧倒的な国民にとって「生きづらい」社会になっていることは間違いありません。
 なぜ、このような状況は生まれたのでしょうか。それは、この二〇年以上にわたってすすめられてきた、この国の徹底した競争原理至上主義に基づき大企業優遇・国民生活切り捨てをすすめてきた「構造改革」路線の結果です。
 今、上場企業の内部留保額は二八〇兆円を超え、一年間で一〇兆円の増加、一〇年間で一〇〇兆円以上増加しています。この額は消費税五%として二三年分に相当します。この間、労働者の解雇・賃金カットの一方で法人税・富裕層の所得税、株式譲渡税の減税や輸出戻し税など大企業優遇の政策がとられました。非正規雇用の割合は一九九〇年の二〇%から、今や全労働者の四割に近づき、大企業の雇用調整弁としていつでも切り捨てられる存在にさせられています。
 一方、民間企業の労働者の平均賃金は一九九七年に四六七万円だったのが、二〇一〇年には四一二万円と五〇万円以上も減らされました。また二〇〇二年には七〇歳以上の高齢者の医療費窓口負担が定額から一割負担に、健康保険本人の負担が二〇〇三年には二割から三割に、さらに介護保険料の自己負担増や制度改悪、生活保護老齢加算廃止など次々と社会保障制度が改悪されました。
 こうした状況にもかかわらず、安倍政権がすすめようとする政策は、これまでと違った「異次元」の政策です。すなわち、いっそう国民の権利を大幅に規制し、安倍首相が公言するように日本を「世界一企業が活動しやすい国」にするものです。そして、大型公共投資の復活とばらまき、さらなる法人税減税や雇用ルールの破壊を推し進め大企業の利益を全面的に優遇する政策です。一基数千億円する原発を世界に輸出しようと首相自らがセールスの先頭に立っています。言語道断だと受け入れ国でも反対運動が起こっています。
 また、「社会保障費削減に一切の聖域をもうけない」と宣言し、生活保護制度の大改悪や混合診療の拡大、軽度医療の保険適用外、七〇〜七四歳までの医療費窓口負担を二割(経済同友会は七〇歳以上全て三割負担を提言)、介護保険制度利用者五〇〇万人のうち、軽度介護者を除外する(四分の一に相当)、さらには来年度から消費税八%、再来年度一〇%化を狙い、来年度は診療報酬の削減を画策しています。こうした内容が、昨年、民・自・公三党合意により成立した「社会保障制度改革推進法」です。TPPへの参加は国民皆保険のいっそうの空洞化を狙い、医療や介護・福祉が憲法で等しく保障された「国民の権利」から、「売る」「買う」という「商品」となることになります。民間医療保険市場が年売り上げ五兆円という大盛況です。中でもがん保険は、米国資本の独壇場です。米国が長年、日本政府に市場開放を要求してきた分野です。
 安倍首相が唱える「アベノミクス」は、大企業の利益を最優先する政策で、古い自民党政治への復帰を通りこし、大企業の利益のためには、なんでもするというもので、作り出された株高、円安などによって「バブル」現象を生み出しています。しかし、大企業が潤っても、圧倒的多数の国民には物価上昇やさらなる解雇の自由化など犠牲だけ強いる政策です。また、領土問題や「慰安婦」問題とそれを扇動する「ヘイト・スピーチ」などを通じてナショナリズムを煽り、憲法を変えるなど軍事国家づくりをすすめようとしています。
 米国軍はイラクから撤退しましたが、イラクでは治安が悪くなる一方、経済・農業はほとんど米国資本によって支配されています。米国が世界で今、どんなに野蛮で強圧的なことを行っているのか、例えば、『(株)貧困大国アメリカ』(堤未果著・岩波新書)などを読めばリアルです。米国はむこう四年間で四〇兆円の軍事費削減を打ち出しました。この軍事費の肩代わりと軍事共同行動を日本など同盟国に迫っています。
 日本は明治憲法下の約半世紀の間、日清、日露、第一次世界大戦、朝鮮半島や中国、アジアへの侵略、太平洋戦争と他国への侵略戦争に明け暮れました。
表 しかし、多くの尊い人びとの犠牲の上に立って、不戦平和を誓い平和憲法を制定しました。戦後六八年間、日本は一度も戦争をしたことはありません。あのイラク戦争への自衛隊の派遣ですら「非戦闘地域での救援活動」と言わざるを得ませんでした。この違いは、憲法九条の存在そのものであり、明治憲法のもとでは、国民の権利(権理)、人権は全く認められていませんでした。戦後、私たちは平和憲法をよりどころに社会保障や人権の拡充をすすめてきました。憲法は国の暴走を防ぐために、国民が国家権力を規制する立憲主義に立っていますが、自民党改憲草案では天皇を「元首」とし、基本的人権を定めた九七条の全面削除、国防軍を設置し軍の命令に従わないものは「死刑もある」(石破幹事長発言)という国が国民を縛るもので、明治憲法への逆戻りの道です。
 この危険な道をやめさせるためには、「一%のための利益ではなく、九九%の市民の利益を」と世界中で巻き起こっている反グローバリズムの運動と連帯し、憲法を徹底的に守り、活かし、この国を平和で人権が輝く国につくり変えていくことです。私たちには、世界に誇る日本国憲法があります。広島・長崎・福島を経験した国として、平和憲法を持つ国の市民として、憲法を、自分たちのものとして使いこなすことが重要です。

(3)次期総会までの特に重視すべき事項

1.憲法を変えようとする戦後史上最悪の安倍政権とのたたかいは、これまでの延長線上ではないとりくみが求められています。運動課題はたくさんありますが、「あれもこれもあり手が回らない」という捉え方ではなく、根は一つです。「いのちの平等」「憲法」を物差しとして情勢を捉え、変革する立場が重要です。そのためにも、全職員、共同組織が改めて民医連綱領と憲法を学び直すことを強めましょう。そして、「○○事業所九条の会」の再開や、「○○事業所原発ゼロの会」を全国の事業所や共同組織とともに地域、職場に張り巡らせ、旺盛に活動しましょう。

2.八月には生活保護の給付額、一〇月には年金が下げられます。生活保護基準の引き下げは、非課税世帯限度額の引き下げや最賃、保育料などにも連動するもので、国民生活全体に影響を及ぼします。
 秋の臨時国会には先の国会で廃案にした生活保護法の全面改悪案、TPP、消費税増税判断など、矢継ぎ早に国民生活に重大な影響を及ぼす悪法が出されます。具体的な運動方針は、社保委員長会議を開催し、意思統一しますが、平和と人権を守る上で重要な時期です。この秋(一〇〜一一月)の共同組織月間は、職員・共同組織役員会などで、情勢認識や地域の実態を踏まえ、「たたかう月間」として位置づけ、実態調査や相談・支援活動を旺盛にすすめるなど具体的な方針を持ってとりくみましょう。
 来年度通常国会には、社会保障制度改革国民会議などの議論を踏まえ、介護保険の軽度者・要支援者の切りすて、七〇歳以上の医療費二割負担や看護師に「特定行為」をさせるための保助看法の改定など社会保障制度解体をもくろんだ法案が出されます。消費税増税阻止とともに来年四月に予定される診療報酬改定に向けて、引き上げの運動が重要です。日本医師会をはじめ医療界には「国民皆保険」を守る一致点があります。医療・福祉界の大同団結と各分野での戦線を広げてたたかいましょう。
 米国や財界の意向を受けた安倍政権の政治路線を打ち破っていくには、それとは違ういのちが輝く「もう一つの日本は可能だ」といえるような「対抗軸」が求められています。理事会として「提言」(案)をまとめ提案します。この案をもとに、全国全ての県連で幹部を先頭に他の団体や個人などと懇談・意見交換会などを旺盛にすすめ、共通の認識を広げましょう。また、職員、共同組織の中での学習や討議をすすめ、深めましょう。
 また、原爆被爆者援護法の拡大を求める運動やノーモア・ミナマタ第二次訴訟の支援にとりくみます。

3.被災地の完全な復旧・復興と福島を取り戻す活動と原発のない日本をめざして全国的に連帯の力を発揮して粘り強くたたかいましょう。三団体共同で行う「10・13 NO NUKES DAY」や大飯、泊、伊方、玄海、川内原発はじめ各地でとりくむ再稼働を許さないたたかいを強めましょう。福島県議会は全会派一致で全廃炉決議をあげています。米国エジソン社の二基の原発に不具合が見つかり、廃炉を決めました。原因は三菱重工の蒸気発生器によるもので、今後数百億円の賠償金が求められると伝えられています。ふくしま復興共同センターが始めた「事故収束宣言撤回、即時原発ゼロ」署名に全面的にとりくみます。

4.来年一月には、辺野古のある名護市長選挙があります。稲嶺進市長の勝利で、日米政府の新基地断念を迫り、戦後七〇年近くも日本に不当に駐留し続ける米軍基地撤退の第一歩となるようなとりくみをすすめましょう。

5.非営利・協同の組織・社会的企業として事業所での省エネルギー推進や再生可能なエネルギーの導入を積極的に推進しましょう。また、第二回評議員会で提起した「社会貢献活動」の具体化をすすめ、総会に経験を持ち寄りましょう。

6.来年の総会までには、全国青年ジャンボリーや学術運動交流集会をはじめ各種全国集会が開催されます。各県連も六〇周年などの節目を迎えています。記念事業を成功させ、六〇周年を節目に、民医連の歴史と歩みを振り返りつつ、新たな第一歩を踏み出す機会としましょう。

7.韓国との交流が活発になっています。日韓、東アジアの平和と健康権保障の「架け橋」として学びあい、連帯を強めましょう。

〈第41期にむけての2つの問題意識〉

 第四〇期に提起した「貧困と格差」に立ち向かい健康権保障のためのとりくみを本格化させ、民医連事業所の役割をいっそう鮮明にしてゆかねばなりません。そして、安倍内閣がすすめようとしている本格的な社会保障解体と医療・介護営利化の路線に対峙する民医連の運動と事業を確固たるものにするためには、これらを担う共同組織と職員育成の強化、県連と地協機能の強化が決定的に重要です。今回の評議員会を起点に、あらためて共同組織の発展方向と新たな段階を迎えた医師の養成と確保について全国的な討議を呼びかけます。
 地域社会が大きく変貌を遂げる中で共同組織が、(1)会員や地域の健康づくりの促進、(2)助け合いの事業と運動、(3)班活動を中心とした交流と学習、(4)まちづくり運動、平和、社会保障改善の運動の担い手、(5)法人、事業所への運営参加と利用、出資金・協同基金などへの参加などの役割が増しています。そして、グローバル企業が栄える中で地域の経済や安全な生活が脅かされる状況を変えていく有力な組織としての役割が地域から期待されています。この期待にどう具体的に応えていくのか、各地の実践を交流し英知を結集しましょう。
 職員育成の中でも、医学生対策と医師養成は民医連運動を前進させるうえでの「中心軸」です。政府は、「地域包括ケア」や高齢者医療などを実践する医師づくりについて、国民の要求に対応するという側面とともに公的医療費抑制の意図を持って総合診療専門医に期待しています。医道審議会で初期研修制度の見直しの議論が進んでいます。
 新規入院件数年間三〇〇〇件以上の基準が撤廃されない中、この間、中小病院の基幹型臨床研修病院の維持が困難な県連が生まれています。また、激変緩和措置の撤廃の中で、大都市部での定員維持とフルマッチが求められる情勢です。医療や社会保障を人権ととらえ、確かな技術を持って患者・利用者に寄り添うことを使命と感じて民医連に参加する医学生、奨学生を大量に育てる医学対、そして「地域と共に歩む医師」「地域医療のスペシャリスト」づくりのための「地域オリエンテッド」な医師養成と研修の場の確保が鍵です。総合的視点を持ち、日進月歩の技術を学び実践する医師養成、その具体的な姿と魅力を医学生や研修医が実感できるために何が必要か、おおいに議論しましょう。
 家庭医・総合医づくりでは、民医連は数多くの実績を積み上げてきていますが、「総合診療専門医」が国の定める一九の基本専門医資格の一つとなり、これらに対応する養成プログラムが全国で一気に準備されつつあります。民医連として培ってきた実績に確信を持ちながらも、医学生や研修医からみて「確かに実力がつく」と実感できるプログラムへの発展が必須です。今後、地域に多くの総合診療専門医が必要なことは自明であり、地域医療・介護・福祉の連携のコアとなる総合診療専門医間の緊密なネットワークづくりを意識したプログラムを展望しましょう。
 民医連における領域別専門医養成の課題は、民医連が地域の医療要求に可能な限り応える為にも、総合診療専門医を養成するためにも重要です。医学の進歩と求められる技術水準の変化や学会の動きなど、医師養成に関わる情報をリアルに掴み、大学や専門機関との連携も視野に入れて、必要な専門医を意識的、系統的に育ててゆかなければなりません。分野毎に、民医連の主体的力量を吟味し、「オール民医連」の立場で幾つかの民医連病院をセンター的に位置付けるということも一つの新たな挑戦課題と考えます。この間、分野別自主研究会の重視を掲げてきましたが、分野別の養成センターの必要性と実現可能性についての検討、社会的なインパクトのある共同臨床研究など全国の民医連で働く領域別専門医が集団としてやりがいを持ってがんばれる状況を創り出すことが重要です。多いに討議をすすめましょう。

おわりに

 今年は朝日茂さん生誕一〇〇年です。朝日さんが願い、たたかったことは「人権としての社会保障」の実現であり、憲法二五条の実質化でした。憲法は国民の平和と自由と人権を護る普遍的な価値です。一人ひとりの人間が大切にされる社会をめざし、「戦争になったらこの国はどうなるのか」、「原発で事故が起きたらどうなるのか」、「オスプレイや米軍の爆音におびえる沖縄の現実は」、そして、「憲法が活きる日本になったらどうなるか」など「想像力」を高め、平和と健康権実現の担い手として主体的な役割を果たしましょう。また、反グローバリズムには、国際的な連帯が重要です。国際社会に民医連が積極的にコミットしていくために来期、人権問題でのNGOとして国連の経済社会理事会の協議資格取得を目指します。MMAT(民医連災害対策特別チーム・仮称)の具体化をはじめ、大災害に即応できる体制・組織づくりをすすめます。

第23回参議院選挙の結果を踏まえて(評議員会方針補強)

 2013年8月16日 全日本民医連第19回理事会

1.第23回参議院選挙は、自民党が議席の上では65議席と圧勝しました。しかしこの結果は、民意を反映しない選挙制度が大きくかかわっています。死票がない完全比例代表制度であれば自民党は改選121議席中41議席程度にとどまっていました。また、昨年末の衆議院選挙でも小選挙区制度のために43%の得票にもかかわらず61%の議席を占めるという状況です。自民党の比例区得票率は先の衆議院選挙よりも8%以上減らしています。民意を反映する選挙制度を作ること、有権者の半数しか投票に行かない状況を変えていくことは民主主義の基本です。

2.私たち民医連と、平和や医療・社会保障など国民の暮らしにかかわる問題で協力・共同をすすめてきた日本共産党が比例5議席、選挙区が東京、大阪、京都で勝利し、3議席から8議席に躍進しました。その結果、非改選を含め11議席を獲得し議案提案権を得ることができました。また、沖縄選挙区では革新統一の糸数慶子さんが勝利しました。首都東京では明確に原発ゼロを主張する議員が5議席中2議席を獲得しました。
 その中で民医連出身の小池晃さん、看護師の倉林明子さんという2人の国会議員が誕生したことは快挙です。医療・社会保障の解体を止め、改善に向かう運動の大きな力となるものです。
 TPP参加に反対するJA青森などが推薦した青森県弘前市、原発立地町である宮城県女川町、東京都や政令都市の北九州市で日本共産党は比例第2位など、地殻変動ともいえる変化が起きています。無党派層の投票先では民主党を上回り、憲法改悪に反対する人の24%、原発ゼロを求める人の17%、アベノミクスを評価しない人の23%が日本共産党に投票しています。いずれも第1位です。保守2大政党制が完全に崩れ、第3極と言われた勢力の本質を多くの国民が知り始め、その中で一貫して憲法を守る、ブラック企業を根絶させるなど国民の要求や実態に基づいた政策を掲げ、ぶれることなく運動をすすめてきた政党と保守層を含む多くの国民との新たな共同が始まったといえます。「いのちと福祉の国民連合」ともいうべき新しい政治を国民は求めています。6月23日投票の東京都議選での日本共産党の躍進が全国に「がんばれば、勝利できる」という確信を生み、「どの党が自民党政治の暴走を止めることができるか」を示し各地でその後の飛躍を作り出す大きな力となりました。自民、公明、維新、みんなの党など生活保護改悪勢力が多数を占める国会で、6月、生活保護法改悪案を廃案にさせた力も改悪に反対する政党と国民の運動の結果です。国民の中には安倍政権に対する危険な臭いを感じている人も多く、「憲法を変えさせてはいけない」、「原発ゼロをめざし原発再稼働も輸出も許すな」、「社会保障を解体させない」、「TPP参加断固反対」という切実な要求に基づく声と運動はかつてなく広がっています。

3.後援会活動などを通じ、多くの職員や共同組織の仲間が選挙活動に参加しました。中でも、「なんとしても今の政治を変えたい」などの思いを胸に若い職員の創意あふれる活動や共同組織の仲間の奮闘が目立ちました。これまで誰がやっても同じと思っていた多くの人たち、選挙そのものが初めてという人たち、これまで支持する政党が勝利した経験がないという人たちが、勝利を目の当たりにして「やればできる。政治は変えることができる」という確信をつかみました。今後の運動にとって大きな財産となります。

4.医療や福祉、平和、暮らしと政治は切っても切り離すことはできません。私たちは、この参議院選挙を民医連綱領と憲法の実現をめざすとりくみの重要な一環であると位置づけ、4月の理事会でアピールと民医連としての選挙方針を確認、大量の政策チラシやDVD「選択の時」などを作成し、DVDの視聴や情勢学習運動を行い、平和や医療・福祉を守る主権者として政治参加を呼びかけました。もちろん、構成員一人ひとりの思想信条の自由を完全に保障することが前提です。
 この民医連としての選挙方針やアピールは各県連、法人、事業所や共同組織の仲間の中で積極的に受け止められました。医師、医局や幹部が牽引車となって学習運動の先頭に立ちました。ある県連ではほぼ全職員がDVDを視聴するなど大きな機運を作り出しました。また、「民医連運動と政治」を正面から学習し合ったところ、県連理事会で3回連続、集中討議を行い幹部が先頭に奮闘する確認を行ったところ、幹部が全職員の自宅訪問を行い、率直に語り合うなどの経験も生まれました。管理部、労働組合が共同して職員を対象に模擬投票を行ったところもあります。そうした活動を通じ、全国青年JBのアピール、全国看護部門からの京都への連帯アピール、全国的な連帯支援など、これまでになかった民医連としての選挙のとりくみとなりました。

5.一方、全ての県連や法人が十分、今回の方針を受け止め実践したのかと言えば、差が出たことも否めません。医療、介護現場の超過密労働もその要因と考えられます。また、「大いに、民医連運動と政治を語ろう」との提起を正面から議論しきれなかったことも考えられます。「民医連運動を握って離さない幹部」の養成は重要な課題です。
 しかし、新たな出発点となる選挙活動となったことは確かです。この経験や教訓を次の選挙や日常活動に生かしましょう。

6.安倍政権の政策を推進する与党やさらに危険な勢力を足せば、かつてない大きな議席を獲得したのも事実で、集団的自衛権容認派の法制局長官を就任させるなど解釈改憲や明文改憲もあり得る情勢です。色々な意見があるからこそ、徹底的な議論が必要なのであり、衆参のねじれが問題ではありません。しかし、衆参両院のねじれが無くなり、国会が「悪法乱発機関」となる可能性を軽視できません。それを強力に後押しし、推進しようとする日米支配層の野望は並大抵ではありません。
 一方、排外主義的な言動を繰り返す安倍政権や維新の会に対し、国際社会から批判や懸念が表明されており、国際的連帯の力を一層強めなければならないことを示しています。
 安倍政権の政策はどの分野でも、また圧倒的多数の国民の権利を侵害することは間違いなく、国民と政権、国会との「ねじれ」は一層深刻化することは必然です。社会保障解体の先導役として再提出される予定の生活保護法全面改悪や消費税引き上げなどの阻止をはじめ、秋からのたたかいが一層重要です。

7.国政の政治的力関係とは別に、各分野で国民の運動は高まっています。日常の政治活動がますます重要となっています。私たちは、当面のたたかいを強めるとともに、長期の展望を持って、運動することが重要です。相手の力が大きければ、こちらも団結し、もっと大きな力を蓄えましょう。主権者として、だれもが政治に関心を持ち、政治を変える主体者として成長しましょう。安倍政権の危険な政策や性格を多くの国民に知らせ、国民的大運動をつくっていくことが求められています。
 そのために、私たち民医連はこれまで以上に共同(架け橋)の追求をすすめます。中央レベルだけでなく、TPPや原発再稼働阻止など各地方、県、地域レベルでのたたかいと共同が重要です。改めて地協、県連、法人、事業所が各地でこの秋からどのような運動をつくりあげるのか具体的な検討と方針化が必要です。また、全日本民医連が現在準備している対抗軸となる「提言」を持って対話、懇談、共同行動を作り上げていくことが重要です。東京新聞が行った参議院議員アンケートでは、「原発ゼロをめざす」との回答が、「残す」の倍であり、「改憲反対」も「賛成」を上回っています。私たちは、日本共産党を含む要求で一致できる政党、議員、団体、個人との共同を広げ、旺盛に活動を展開し、憲法と人権が輝く新しい社会の実現めざして奮闘します。

 

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