副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年7月17日

副作用モニター情報〈249〉 降圧剤ニューロタン(アンジオテンシンII 阻害剤)による高カリウム血症

 ニューロタンによる高カリウム血症が偶然にも3件報告されました。服用期間はすべて2年以上でした。
 〔症例1〕80代女性。高血圧以外に甲状腺機能低下症、糖尿病あり。K値5.5となり、被疑薬を減量し、K値は4.4と正常になる。
 〔症例2〕70代女性。高血圧以外に頻脈性不整脈、糖尿病、糖尿病性腎症あり。K値5.3となった時点でカルシウム拮抗剤に変更後、K値は4.3と正常になる。
 〔症例3〕70代女性。高血圧以外にうっ血性心不全、糖尿病あり。K値は、5.4~4.7を推移しており、腎機能も低下していたため被疑薬を中止。その後、K値は4.3と正常になる。

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 アンジオテンシンII(A-II)は、生体内のA-II受容体と結合することにより血圧を上昇させ、副腎皮質ではアルドステロン産生作用をもちます。
 ニューロタンが高K血症を起こす作用機序は、A-IIの作用を阻害し、副腎皮でアルドステロンを分泌抑制し、腎からカリウム排泄を抑制するためです。高 K血症出現時には、すでに体内の総K量は増加していると考えられるので本剤を中止、減量することが必要です。
 高K血症に注意が必要な人は、腎機能低下、糖尿病、高K血症を起こすほかの薬剤を併用中の患者、および高齢者です。また、外来患者では食事からカリウム の過剰摂取も起きることがあるので、食事内容に注意する必要があります。

(民医連新聞 第1384号 2006年7月17日)

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