副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2009年4月20日

副作用モニター情報〈308〉 ぜん息を誘発する薬剤と患者問診の重要性

 いわゆる「アスピリンぜん息」は、アスピリンだけでなく非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服はもちろん、NSAIDsを含有する外用剤(坐薬、湿布、塗り薬など)でも起きます。
 これらを含む外用剤は多用され、市販薬も多く売られていますが、ぜん息発作が誘発されることには、注意がおろそかになりがちです。
 当副作用モニター報告にも、ロキソプロフェンナトリウム、ロルノキシカムなどの内服薬のほか、ケトプロフェンなどNSAIDsを含むパップ剤、テープ剤で誘発されたぜん息発作症例が多く報告されています。ぜん息の既往歴がある患者、以前にも同じ薬剤で発作を起こした症例がほとんどです。
 NSAIDsのほか、ぜん息患者が注意しなければならない薬剤として、β―ブロッカーがあります。降圧剤や心臓の薬として汎用されているほか、緑内障の治療薬として使用される点眼剤にも含まれています。点眼しただけでぜん息発作が起きたり、重篤な発作を誘発することもあります。
 また市販薬(OTC)の点眼剤でプラノプロフェンを含有する製品が発売されます。点眼薬の中に、NSAIDsやβブロッカーなど、気管支ぜん息を誘発する薬剤があることを認識しておくことが重要です。

〔症例1〕足の痛みで受診。モーラス30処方。1枚貼付した10分後にぜん息発作が出現。以前OTCのインドメタシン配合湿布剤でぜん息発作を起こしたことがあった。
 この症例は問診をきちんと行い、副作用歴を確認していれば防げた症例です。

〔症例2〕眼圧上昇のためマレイン酸チモロール点眼液を処方。使用1カ月半後に呼吸がヒューヒューと聞こえるようになり、2カ月後にぜん息様発作が出現した。ぜん息の薬を服用していなかったが、既往歴があった。
 この症例も既往歴を問診で聴き取り、注意を喚起していれば早めに防げた症例です。

*    *

 ぜん息発作を誘発する薬剤に注意し、患者問診の重要性を再認識する必要があります。内科だけでなく、外科、整形外科、耳鼻科、眼科、歯科などあらゆる診療科で処方されます。これらの薬剤では、患者の既往歴、アレルギー歴を問診することは必要不可欠です。処方薬だけでなくOTCでも注意が必要です。

(民医連新聞 第1450号 2009年4月20日)

副作用モニター情報履歴一覧

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ