副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年9月18日

副作用モニター情報〈253〉 造影剤によるアナフィラキシーショック

 2006年度第1四半期に寄せられた、造影剤による副作用報告は15例ありました。そのうち非イオン性造影剤によるアナフィラキシーショックが4例報告されています。
症例1〕頚部の造影CTを取り始めたところ、息苦しさ・咳こみ・動悸が出現し中断。その後、呼吸苦軽減。ソリタT1・サクシゾン点滴で30分後に症状軽快。
症例2〕オイパロミン300を50ml注入した時、咳・鼻水があり一旦中止。落ち着いたので残りの50mlを注入。注入後、呼吸苦、顔色不良、上肢発赤あり。ラクテック・サクシゾン点滴により、10分後呼吸苦軽減。
症例3〕リザーバー造影CT終了後、嘔気あり。その後、気分不良・口のしびれ・息苦しさと冷汗あり。血圧低下(40/12mmHg)。ソルデム1・酸素マスク・エホチールを施行後、救急室へ移動。30分後、血圧は正常となる。
※症例1については、テスト(少量注入によ
る経過観察)は陰性でした。

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  テストアンプルを用いた予備テストは、確実かつ安全に予知できないことから、1990年5月の添付文書改訂により「推奨」が削除されました。現在は、必要に応じて造影剤を少量投与し、副作用の有無を観察する方法が用いられていますが、この方法も統計学的に有効であるという証明はまだされていません。
  このため、造影剤による副作用の予防には、造影剤使用歴と副作用の有無、喘息の有無、アレルギー歴の確認が重要になっています。また、使用時には副作用出現の有無を観察すること、ショック出現時に救急処置を実施できる準備をしておくことが必要です。
  日本医学放射線学会作成の「放射線診療事故防止のための指針」の中に、〔造影剤使用の注意〕が記載されていますので参考にしてください。

(民医連新聞 第1388号 2006年9月18日)

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