副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2011年4月4日

副作用モニター情報〈350〉 タミフル、リレンザ(抗ウイルス剤)の副作用

 2009~2010年は新型インフルエンザが大流行しました。タミフルやリレンザの使用量も非常に多く、副作用調査に協力していただきました。
 2009年から2010年12月までに当モニターに寄せられたタミフル141例とリレンザ20例の副作用を、大まかにまとめました(表=重複を含み、少数の症状は除く)。shinbun_1497_01

 個々の症例を検討すると、まず、服用直後から嘔吐、吐き気、腹痛が生じます。そして睡眠に 入ると、(1)夢を見ているように寝言を言う、笑ったり泣いたり、叫んだりする、(2)幻覚や幻聴を訴える、(3)足をバタバタさせたり起き上がったり、 暴れたり外に出ていこうとする、という一連の中枢症状が起きます。間もなく下痢を起こし、2日目以降から低体温になる、という経過をたどる傾向がありま す。(1)(2)(3)は異常行動に関連する状態として、ひとくくりの副作用としてとらえる必要がありそうです。
 また、タミフル・リレンザについて、当副作用モニターとは別の副作用調査を2009年12月7~19日に行い、寄せられた301例のデータを解析し、医 療薬学会で発表しました。結論は、タミフルによる頭痛、吐き気の症状には、薬剤の骨格が関与している可能性があるというものです。副作用の機序は、同薬の セロトニン類似骨格が、消化管では5-HT 3、5-HT 4受容体を刺激して吐き気、嘔吐、下痢を引き起こし、中枢では5-HT 2A/2C、5-HT 1A受容体を刺激して幻覚、異常行動、低体温を引き起こすと推察できます。
 セロトニン類似構造があり同様の作用を起こす化学物質として、マジックマッシュルームなどの毒キノコに含まれるシロシビンやLSDが知られています。薬 剤ではブロモクリプチンやテトラミド、マイスリーが、幻覚、就寝後の夢遊病(摂食行動)の副作用を生じます。
 タミフルやリレンザ、おそらくイナビルも、セロトニン類似構造による副作用の可能性が高いと推定できます。

(民医連新聞 第1497号 2011年4月4日)

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