健康・病気・薬

2014年4月7日

副作用モニター情報〈412〉 セレコックス錠による急性腎不全

 セレコキシブ(製品名:セレコックス錠)は2007年の発売以来、関節リウマチをはじめ、肩関節周囲炎、腰痛症、抜歯後の消炎鎮痛など適応症が拡 大されています。当副作用モニター情報でも、326回(2010年2月15日付)と333回(同年6月21日付)に、皮膚過敏症や長期使用による重篤な心 血管障害の発症リスクをすでに注意喚起していますが、このたび急性腎不全の報告がありました。

症例)70代女性 胸椎圧迫骨折にてセレコキシブ200mg/日開始(併用薬:オルメサルタン、アムロジピン、アルファカルシドールなど)。
 投与18日目BUN:51.9、Cr.:1.93、K:6、腎不全を疑い投与中止。中止4日目BUN:90.5、Cr.:3.32、K:7、アーガメイト開始。中止11日目で検査値正常化。もともとの疾患で腎不全はありませんでした。
 セレコキシブを含む、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による腎障害の発生機序は、プロスタグランジン(PG)合成抑制が原因のひとつとされてい ます(当モニター情報384回:2012年11月19日付参照)。PG合成抑制により、腎血流量減少、Na、水の貯留、尿量減少、むくみ、体重増加が見ら れます。
 セレコキシブはPG合成に関わる酵素COX-2の選択的阻害薬とされていますが、腎血流量調節にはCOX-1とともにCOX-2も関わっています。
 今回の症例ではオルメサルタンが併用されていますが、承認時臨床試験では、高血圧治療に使用されるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を併用し た方が、併用しなかった場合と比べ、有害事象の発現率が高くなりました(併用あり63.6%、併用なし41.8%)。定期的な腎機能のチェックと、初期症 状である尿量減少やむくみ、倦怠感に注意が必要です。

*         *

 なお、2013年の「医薬品副作用被害救済制度」(PMDA)での救済給付決定は23例(薬疹17、スティーブンス・ジョンソン症候群2、中毒性表皮壊死症1=死亡、肝機能障害2、間質性肺炎1)でした。

(民医連新聞 第1569号 2014年4月7日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ