くすりの話

2015年2月28日

くすりの話 176 くすりと食べ物

イラストQ:薬局でグレープフルーツを食べているか聞かれましたが、どうしてですか?

A:グレープフルーツと相性の悪い薬が処方されているからだと思います。
 薬の多くは小腸から吸収され、肝臓で分解されます。この薬を分解する代謝酵素の働きを弱めてしまうのが、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分です。ダイダイやぶんたんなどにも含まれています。この成分によって薬がなかなか分解されず体内に長く残ってしまうことがあり、薬が効きすぎたり、副作用が起こりやすくなります。
 フラノクマリン類の影響を受ける代表的な薬は、血圧を下げる薬の一種で、カルシウム拮抗剤と呼ばれるものです。ただし、すべてのカルシウム拮抗剤が影響を受けるわけではありません。「カルシウム拮抗剤が出たらグレープフルーツは食べたらダメなんだ」と誤解されている方も多いようですので、飲み合わせが気になる方は薬剤師にご確認ください。

Q:「納豆を食べないように」とも言われたのですが…。

A:ワルファリンという血液を固まりにくくする薬を飲んでいるときは、納豆を食べてはいけません。「納豆は栄養があり、血液をサラサラにし、血圧も下げるなど体に良い効果がある食品なのになぜダメなのか」と思う方もいるのではないでしょうか。
 納豆は、大豆を納豆菌で発酵させた食品です。納豆菌のおかげで大豆の栄養を損なうことなく消化・吸収できるのですが、同時に、腸内のビタミンKを増やしてしまいます。このビタミンKが、ワルファリンの効果を弱めてしまうのです。
 ワルファリンは脳梗塞などの治療に使用する、とても大事な薬です。薬の効果をじゅうぶんに発揮するためにもワルファリンを飲んでいる間は、納豆を食べないでください。血液を固まりにくくする薬でも、ワルファリン以外は納豆を食べても平気ですので、安心してください。

Q:他に飲み合わせに気をつける食品は?

A:紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーヒーなどに含まれるカフェインは、ぜん息の治療で使うテオフィリンの作用を強めてしまい、動悸や吐き気などの副作用が起きやすくなります。また、食べ物ではありませんが、タバコはテオフィリンの作用を弱めてしまいます。テオフィリンを飲んでいる方が禁煙を始めるときは、薬の処方量が変わることもあるので、必ず医師に相談しましょう。
 お酒はさまざまな薬の効果を強めてしまいます。睡眠導入剤や精神安定剤とお酒をいっしょに飲むと、意識がもうろうとなり、ふらついたり、呼吸困難をおこす場合もあります。晩酌を楽しみたいという方も、医師や薬剤師に相談してください。

いつでも元気 2015.03 No.281

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