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2015年4月21日

副作用モニター情報〈435〉 ハーフジゴキシンの高齢者への過量事例

 ジゴキシン(商品名・ハーフジゴキシン)は、強心剤です。ジゴキシンの高齢者への過量投与による副作用の事例を紹介します。
【事例1】70代女性 3年前からジゴキシン0.125mg/日服用(sCr2.0)。受診は数カ月に1回程度にとどまり、血中濃度測定もできていなかった。めまいで受診(sCr3.56)。食事もあまりとれていなかった。いったん帰宅。約30日後、めまい継続、食事もできておらず受診。脈拍63、sCr4.95、本人が持参したことでジゴキシン服用中であると発覚、血中濃度2.73ng/mL。ジギタリス中毒の可能性があると判断し中止。中止3日後、脈拍68、sCr4.38、血中濃度1.64ng/mL。中止5日後、食事もほぼ全量摂取、めまい、吐き気の症状もほぼ改善傾向、脈拍70-90台で推移。中止10日後、sCr4.31、血中濃度0.72ng/mL。
【事例2】80代女性 2年前より発作性上室性頻拍(脈拍113)で、ジゴキシン0.125mg/日開始。来院の1週間前から、ふらつき、息切れ、疲労感あり、食欲はあった。この時の脈拍56、sCr0.89。約1カ月後の受診で、倦怠感、食欲低下を訴えジゴキシン中止、sCr0.8、血中濃度2.29ng/mL。中止約30日後、脈拍85前後、倦怠感、ふらつき、下肢浮腫はつづいていたが、食欲は出てきており、息苦しさもなく経過。
【事例3】90代女性 内服開始時期不明だが、ジゴキシン0.125mg/日服用継続。食事摂取は不良、来院前から下痢があった。嘔吐し、血圧測定できなかったため救急来院、BP70/40、脈拍42、脱水、腎障害もあり。sCr2.07、ジギタリス中毒と推測し中止。血中濃度5.14ng/mL。中止4日後、脈拍60台、sCr1.0。中止約14日後、sCr0.74、血中濃度0.3ng/mL以下。

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 有効治療濃度域は0.8~2.0ng/mLとされています。一般的に治療域は高く設定されており、心不全治療時では0.5~0.8ng/mL、心房細動治療時では1.2ng/mL未満が推奨されています。血中濃度は死亡リスクに相関し、0.9ng/mLを超えると死亡率も増えるとの報告もあります。
 ジゴキシンは腎排泄型で半減期が36~48時間と長いため、特に高齢者への投与には注意が必要です。食事量や水分摂取の低下などによる脱水状態に注意を払うとともに、腎機能を低下させる薬剤との併用の有無も確認しましょう。
 介護施設入所者における心不全患者について、26%の患者に潜在的なジギタリス中毒の可能性があるという報告もあります。ジギタリス中毒の症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、めまい、不整脈等)と血中濃度の確認・投与量の調整、継続投与の是非など、添付文書に記載されている「ジギタリス中毒が現れやすいため、少量から投与を開始し、血中濃度を監視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること」を徹底しましょう。

(民医連新聞 第1594号 2015年4月20日)

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