医療・看護

2015年9月8日

私のお仕事 歯科技工士

 多彩な職種が働く民医連事業所。それぞれが専門性ややりがいを語る連載。21回目は歯科技工士です。

 歯科技工士は、歯科医師が作成した指示書を元に補綴物(ほてつぶつ)(差し歯・銀歯・義歯)などの製作・加工を行う医療系技術専門職です。技工労働を単に「ものづくり」にせず、歯科技工士がどのように働くことが患者の受療権とよりよい暮らしをささえる補綴づくりに役立つかを患者の身になって考え、日々研究しています。

患者のため、後継者育成のため、働き方を改善

 私は事業所の技工室責任者になって8年になりますが、以前は「職人」や「匠」といった言葉が似合う働き方をしていました。作り手の技量で補綴物の善し悪しが大きく変わってしまいますし、また、残業も個人任せでした。そのような働き方だったので、他職種からは何をしているのか見えない状態で、民主的集団医療とはほど遠い存在でした。
 そこで、「民医連の歯科技工士の役割は何か」を考えながら課題を改善しました。まず、歯科技工士のやっていることを見える化し、伝えるようにしました。技術面では、相互歯科の患者は圧倒的に高齢者が多いこと、将来コンピューターを使った補綴製作に変わることを意識し、保険でよい義歯をつくることにとりくみました。
 エビデンスに基づき製作工程を見直し、誰でも一定レベルの仕事を行えるようルールをつくり、チームで補綴物を作る事で技量の差が反映されることを最小限に抑え、均質化、標準化をすすめました。これにより後継者を育てる環境も整いました。また、工程見直しで無駄を無くすことにより作業時間と仕事量を知ることもでき、仕事量と必要な人員数も示すことができました。

歯科医療に携わる医療人として

 今後の課題として、私たちの作った補綴物がどのように使われているのかを調査することにしています。来院される患者さんだけならば上記の製作方法でその人に合う物が作れます。しかし、たとえば在宅で療養されている方の場合にはいろいろな課題や制約を抱えています。義歯を自力で使えるのか使えないのか、介助があれば使えるのかなど、一人ひとりの自立を助け、生活の質を向上させる目的で補綴物を使ってもらえるよう考えることが必要です。診療報酬では評価されていませんが、歯科以外の多職種連携も重視してとりくむことを考えています。(東京・相互歯科 中村隆之)

 書き手募集! 調理士や歯科技工士などを募集しています。メールでmin-shinbun@min-iren.gr.jpにご連絡ください。

(民医連新聞 第1603号 2015年9月7日)

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