くすりの話

2001年9月1日

くすりの話 50 古くからの薬(2) 正露丸の安全性

Q:わが家には常備薬として正露丸を置いています。下痢にすぐ効くように感じていますが、安全性が疑問という声も聞いたりします。大丈夫ですか。

A:正露丸の主成分は、木材を乾燥させてできたクレオソートというもので、そのほかに漢方薬が加えられています。クレオソートとは、防腐剤や消毒薬として古くから使われてきたクレゾールと同類(フェノール類といいます)の成分です。
フェノール類は組織に吸収されやすく、局所刺激や神経麻痺、細胞の壊死などをおこします。
正露丸を飲んで腹痛や下痢が止まるのは、腸管の神経を麻痺させて、細胞を壊死させることによると考えられますが、効果については、正露丸を使用しないグ ループとの比較試験がされておらず、有効性を真に証明する論文が出されていません。
薬を監視する市民組織「薬害オンブズパースン会議」が、正露丸を危険性のある医薬品として調査し始めたのは、正露丸を通常の4倍量を飲んだ人が腸管壊死をおこして手術した例があったためです。
クレオソート製剤は、消毒薬としても、現在はその刺激障害作用のために人体には使われていません。ある製薬企業の正露丸の添付文書には「本剤が誤って皮膚 に付着した場合は、石鹸および湯を使ってよく洗ってください」と書いてありますが、そのようなものを内服する危険性は国民には知らされていません。
動物実験では、人のクレオソート製剤の中毒量は、通常の2~4倍量だと推定されています。

Q:そのような薬がなぜ販売されているのですか。

A:現在市販されている正露丸は、薬効群別の承認基準にもとづいて製造されています。正露丸などのクレオソート製剤は「胃腸薬の製造(輸入)承認基準」にもとづいています。
この承認基準は1980年に制定されたものですが、それまで明確な基準もなく販売されていた市販薬を厳密な評価もなく基準化してしまったのです。以後、販 売されなくなった成分の削除はされましたが、効果や安全性による再評価が行なわれておらず、問題点が指摘されても見直しされていないのが現状です。

Q:では下痢になったときは、どんな薬を飲めばいいのですか?

A:通常の下痢の症状は、腸の有毒物質を体外に出そうとする体の防御反応ですから、薬で無理に止めることをせず、原因物質が排除され、自然に治るのを待つことが基本です。
薬を使うなら、乳酸菌類の整腸剤(ビオフェルミンなど)があります。
細菌性の急性下痢の場合は、下痢止め薬で排泄を抑えるのは、むしろ危険です。急におこるひどい下痢の場合は、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。

 いつでも元気 2001.9 No.119

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