くすりの話

1998年7月1日

くすりの話 18 漢方薬~副作用はないの?

Q:漢方薬は副作用がなく安全だという人もいますが、本当ですか?

A:残念ながら、漢方薬にも副作用はあります。中国の最古の薬物書は薬物を上薬・中薬・下薬の3つにわけています。つまり、「上薬は人の体を丈夫にし、長期に 使っても毒がなく、不老延年を望むもの。中薬はときとして毒があるもの。下薬は病を治し、毒多く、久しく飲んではいけないもの」としています」
漢方薬は生薬(しょうやく)(天然の薬草や鉱物)が組み合わされています。漢方薬の副作用としてもっと多いのは、「甘草」(かんぞう)の取りすぎによるも のです。「甘草」はその名の通り甘い薬草で、いろいろな処方に含まれて、嗜好品にも使われています。しかし取りすぎると、血圧が上がる、体がむくむ、血液 中のカリウムが低くなるなどの「偽アルドステロン症」になる場合があります。
「甘草」を含む漢方薬どうしや西洋薬の飲み合わせ、「甘草」を含む嗜好品や食品との併用などに注意する必要があります。
そのほか、麻黄(まおう)、地黄(ぢおう)、当帰(とうき)、川弓(せんきゅう)には胃腸障害、麻黄には動悸・関節のしびれ、桂枝(けいし)や蘇葉(そよ う)などには過敏症などの副作用が出る場合があります。
また、漢方薬には独特の使い方があります。それを間違えると効果がないだけでなく、かえって病気を悪化させます。これは副作用というよりも、「証」(しょ う)の見立ての誤りで、漢方医学ではこれを「誤治」(ごぢ)といいます。

Q:漢方薬が向いているのは、どんな病気ですか?

A:漢方薬もひとつの体系をもった医学です。漢方医学は、病人のあらわす自・他覚症状を漢方独自の見方でとらえて診断し、処方を決めます。これを「『証』を見立てる」といい、「証」が決まると同時に処方が決定します。
たとえば、「葛根湯の証」(かっこんとう)は「かぜの初期で、脈にふれると力があり、汗がなく、発熱悪寒がし、首筋がこわばる」というものです。
同じかぜでも長引いているときは、小柴胡湯(しょうさいことう)などを使います。同じ人でも時期や症状によ「証」は違うのです。
漢方医学は、自・他覚症状を重視するので、心と体をひとつとみて診断し、体がもっている防御作用を高める優れた点があります。
検査では異常がないけれど体調がすぐれない、冷えや疲労をはじめとする不定愁訴、高齢者の外科診療、多臓器疾患をもつ人への総合的治療などに有効な場合が多くあります。
実際には、婦人科での月経困難症や更年期障害、また整形外科で鎮痛剤の長期投与を防ぐために、あるいは冷えによる痛みの治療などに漢方薬が使われます。
漢方薬をためしてみたい方は、漢方医学を勉強している医者や薬剤師に相談してみましょう。

いつでも元気 1998.7 No.81

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