くすりの話
1997年1月1日
くすりの話 身近にある薬草
Q:薬草に興味があります。身近にあるものを教えてください。
A:薬草は民間薬、民間療法として人びとの経験の積み重ねから築き上げられた「生活の知恵・薬版」というところでしょうか。診断と治療が確立されている漢方薬とはまったく異なります。
ドクダミ
「毒痛み」に効くことから名前をつきました。生の葉をもんで、あるいは蒸して、虫さされなどの腫れ物にはると毒を吸い出す効果があります。風呂に入れれば 腰痛に効き、煎じて飲めば利尿薬として尿道炎に効きます。
高血圧の予防には1日10~15gを煎じて飲みます。それには5~9月の開花時に根元から刈りとって陰干ししておきます。
オオバコ(漢方薬でも車前子として使用)
道路など踏み固められたところに好んではえ、学名プランタゴは「足の裏が運ぶ」という意味で、「道を迷ったらオオバコのある道をたどれ」という教えもあるほどです。
腫れ物には、生の葉を火であぶり柔らかくしてはります。利尿剤として使うには、7~8月に採取し日干しした草を1日5~10gを煎じて食後に服用します。 咳をしずめるには、秋に採取した完熟の種子をふるいにかけて軽いものは風で飛ばし、1日5~10gを煎じて服用します。
ゲンノショウコ
下痢によく効き、服用してたちまち効果があらわれることから、「現の証拠」と名付けられました。「土用の丑に採取したものがいい」といわれるのは、白色や 赤色の花の咲くこの時期に、成分のタンニンが一番多いためです。
7~8月の開花期またはその直前に全草を刈り取り陰干しして、1日5~15gを煎じて服用します。
Q:薬草を採るときに注意することや保存の仕方、煎じ方などを教えてください。
A:一番注意してほしいのは、薬草に似ているものに有毒なものがあることです。また、薬草には採取に適する時期もさまざまです。よく調べてから採りましょう。
採取してきた薬草は、カビがはえないように乾燥させて保存し、ほぼ1年間で使い切るようにしましょう。ビニール袋は蒸れるので、保存には茶笥や厚手の紙袋 を使い、湿気や虫のつかないところに置きます。保存中、カビや虫がついたら捨てましょう。
煎じるときは、陶製の土瓶、ホウロウ製、アルマイト製の容器を使い、鉄や銅製のものはさけます。指定の量を容器に入れ、約400mlの水を加えて、ふたを して煮出します。湯がこぼれないように調節しながら半量まで煮つめ、別の容器にこしとって1日3回分にわけ、使うときは温めて飲みます。
飲用は空腹時でも食後でもよく、とくに指示がなければあまりこだわらなくてもかまいません。1回にたくさん飲んだりせず、毎日つづけましょう。
民間薬は誰にでも効くとは限りません。2~3カ月飲んで効果がないときは中止しましょう。くわしい使い方は薬草の解説を参考にしてください。
この記事を見た人はこんな記事も見ています。