副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2002年9月11日

副作用モニター情報〈186〉 重症型薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症)

 「医薬品・医療用具等安全性情報No・177」(2002年5月)で、医薬品による致死的な重症型薬疹であるスティーブンス・ジョンソン症候群 (SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN/ライエル症候群)が報告されました。これらの重症型薬疹は発症すれば二割以上が死に至るきわめて重篤な副作用で す。また救命できたとしても角膜、視神経障害による失明、呼吸器、消化器の臓器障害など重篤な後遺症を残す事例も多くあります。SJSやTENは、発生頻 度は低いとはいえ、患者を問わず、また原因医薬品が一般用、医療用を問わず起こりえます。
 副作用を回避し、重症化させないためには、患者自身が早く初期症状に気づき、医療機関に連絡・受診するよう、服薬指導の際に知らせておくことが重要です。
 また医療機関では、薬の副作用として相談に来たり、受診した患者さんについて、1.高熱がある、2.眼や唇が荒れる、または眼、のどが痛い、3.発疹な どの皮膚症状、に注意すべきです。これらの症状が見られたら重症化する可能性があり、すぐに服用薬の中止と皮膚科専門医への紹介が必要です。
 しかし発症初期は軽症で、SJSやTENに進行するかどうかの判断は、専門医でも困難なケースがあります。病理組織検査で、紅斑部分と正常に見える組織 にも、表皮細胞の死滅と表皮内キラーT細胞の浸潤が認められるときは重症型と判断されます。皮膚生検による診断が重要です。
 いかに早く重症型薬疹の診断ができ、治療が開始できるかが、患者を救命し後遺症を回避する鍵になっています。
 4月より一部の医薬品を除き、処方日数に規制がなくなり長期投薬が増加してきています。このことが副作用発見の遅れや重症化につながらないよう、臨床現場で医療スタッフが慎重に対応することが特に重要です。

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ