副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2002年2月11日

副作用モニター情報〈179〉 スチル病(膠原病)患者の薬疹

【症例】
 六〇歳女性。スチル病治療にて入院中、全身に発赤、掻痒感発現。スチル病の悪化を疑い、プレドニン増量するも症状改善せず。他院皮膚科にて全身の発赤は薬疹と診断。被疑薬中止後軽快。
 スチル病とは、皮疹、発熱、関節痛の症状を伴う膠原(こうげん)病の一種です。全身型の「若年性関節リウマチ」に似た病態を示す疾患です。
 スチル病などの膠原病は薬疹を起こし易い疾患です。一般に膠原病の皮疹は特徴的で局所に出現していて掻痒を伴いません。そのため、掻痒を伴う全身性の発 疹が出現した場合、第一に薬疹を疑う必要があります。薬疹の中には急速な経過をたどって重症化することがあり、早期発見、治療が重要になるからです。
 重症化が疑える皮膚症状には(1)全身に紅斑が拡大するとともに水疱になる場合、(2)皮膚だけでなく口唇、口腔粘膜に水疱やビランが多発する場合、(3)浮腫性紅斑などがあります。
 薬疹の発見を遅らせないためには、膠原病の皮疹の特徴や出現する場所を把握し、原疾患の増悪との区別がつくようにすることが大切です。
 また、掻痒等の患者の訴えに敏感に対応し、薬疹が疑われる場合には薬の変更、中止等の処置を行うことが大切です。
(関東甲信越副作用モニター交流会症例検討より)

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