副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2000年10月11日

副作用モニター情報〈165〉 ベイスンによる消化器症状について

 ベイスンの投与開始直後、下痢などの消化器症状が出現し投与中止となっている症例が数例報告されています。いずれも0.6mgより投与が開始され、翌日から下痢症状が出現、減量または中止で改善しています。
 αグルコシダーゼ阻害薬は糖質の吸収と消化を遅延させ、食後の過血糖を改善する糖尿病治療薬です。その効果と副作用は用量依存性に発現します。αグルコ シダーゼ阻害薬による消化器症状は、酵素阻害作用が強く出る事で、未吸収の糖質が消化吸収領域を越えて大腸まで達してしまうために起こります。
 対策は、低用量から投与を開始し漸増していく事で、小腸絨毛消化酵素が腸管内糖質により誘導され、小腸下部まで消化吸収領域が拡大することで消化器症状 の軽減につながります。本剤を有効にかつ消化器症状の副作用を極力抑えるためには、一日0.2mgの少量から開始して、耐薬性を判断しながら漸増していく 事が望まれます。
 ベイスンRの用法・用量には「一日0.6mgから開始」との記載のみとなっていますが、同類薬のグルコバイRでは「初回投与量は50mgから開始し、忍容性を確認した上で100mgへ増量」との記載があります。
 消化器症状は投与開始早期に出現するため、コンプライアンスの低下につながります。特に消化管機能の低下傾向にある高齢者などは注意が必要です。

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