副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

1999年8月11日

副作用モニター情報〈144〉 メトトレキサート製剤の保険適応拡大にともない、安全確保をあらためて考える

 メトトレキサート製剤の慢性関節リウマチへの保険適応が厚生省により承認された。従来も海外での有用性の報告から、保険適応外で抗ガン剤として承認され ていた同剤を臨床応用していた例が見られたが、99年8月より発売されるメトトレキサート二㎎カプセル使用により保険適応される。今回、適応拡大のための 臨床試験は用量設定試験として行った50例のみで承認された。
 メトトレキサートで有名な副作用は、間質性肺炎であるが、骨髄抑制も見逃せない副作用である。ほかにも中毒性皮膚壊死症や出血性腸炎、劇症肝炎が知られ ており民医連モニター報告でも75件(うち血液障害29件、間質性肺炎3件、肝機能異常8件)の報告がある。
 いずれにしても、重篤な副作用を高頻度に起こす危険性を持った薬剤である。メーカーからの用量設定試験の報告でも「海外で一般的に使われる用量の三分の 二が妥当と考える」といった結論で設定されており、根拠に乏しい。
 効果は一定認められているものの(六㎎/週で改善率60.4%)、安全性の点から非常に使いにくい薬剤だと言える。メーカーにも緊急対応できる施設で、 なおかつ専門医限定で使われるように働きかけをしているが、十分な経験のもとで慎重に使われることが絶対条件である。

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