くすりの話

2016年12月29日

くすりの話 197 糖尿病の新薬

Q.糖尿病の新しい薬が次々と発売されていると聞きます。これまでの薬と、どう違うのですか。

A.これまで糖尿病の飲み薬には「低血糖(薬が効きすぎて血糖値が下がりすぎること)を起こしやすい」という副作用がありましたが、近年、低血糖を起こしにくい薬が発売されました。
 糖尿病の飲み薬は(1)糖質の消化・吸収を遅らせる薬、(2)インスリンの働きを良くする薬、(3)インスリンの分泌を促す薬、(4)尿と一緒に糖を排出させる薬の4種類に分類できます。今回は、新しく発売された薬のなかから(3)と(4)についてお話しします。

○インスリンの分泌を促す薬 DPP-4阻害薬

 食事を摂取すると、消化管からインクレチンというホルモンが分泌されます。これは、インスリンの分泌を促す働きをして、血糖値を正常にコントロールするホルモンです。ただ、インクレチンは分泌されるとDPP-4(酵素)によって速やかに分解されてしまいます。そこで、DPP-4の働きを邪魔することで血液中のインクレチン濃度を高め、インスリン分泌を促すのがDPP-4阻害薬です。
 服用は食前食後のどちらでもよく、服用回数が比較的少ない薬です。週1回だけ飲めばよい薬もあり、飲む手間や飲み忘れを減らせます。ただ、腎機能の状態によっては、用量の調節が必要な場合があります。
 よくみられる副作用は、便秘や腹部膨満感などです。他の糖尿病薬と併用している場合は、低血糖の危険性が増加するので注意しましょう。

○尿と一緒に糖を排出させる薬 SGLT2阻害薬

 この薬は腎臓に作用します。腎臓は血液をろ過した後、糖などの栄養分を再吸収し、不要な老廃物は排泄します。このとき、糖の再吸収を担っているのがSGLT2(蛋白質)です。そこでSGLT2の働きを抑えて、糖を再吸収せず排泄させて血糖値を下げるのが、SGLT2阻害薬です。
 この薬は血糖値が高い場合にのみ作用するという特徴があり、この薬だけを使用する場合は、低血糖の起こる頻度は低いといえます。
 よくみられる副作用は、多尿・頻尿・口渇・多飲などです。暑さ・高齢・飲酒などの条件が重なると、脱水症状や尿に糖分が混じることによる尿路感染、性器感染が起こることもあります。重篤な事態になる症例も報告されており、注意が必要です。またDPP-4阻害薬同様、他の糖尿病薬と併用すると低血糖の危険性が増加します。

 今回紹介した薬を含めて、糖尿病の薬はさまざまな新薬が発売されています。新薬は今までの糖尿病薬に比べ大変高い薬価が設定されているため、窓口での負担金も高くなります。病気の状態によっては、新しい薬に変更する必要がない場合もあります。新しい薬が処方される場合は、医師や薬剤師に経済的な事情も含め、不安があれば相談してください。

いつでも元気 2017.1 No.303

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