いつでも元気

2017年6月8日

認知症Q&A オレンジカフェの活用を

お答え 高杉春代さん

Q 76歳の夫は認知症で要介護2の認定を受けています。いつも私から離れようとせず、デイサービスにも行きたがりません。どうしたらよいのでしょうか?(68歳主婦)

 介護サービスの利用を嫌がる認知症の人は少なくありません。理由はさまざまですが、知らない場所、知らない人の中で過ごす不安が大きいと思います。認知症の人が利用しやすい居場所として、オレンジカフェ(認知症カフェ)を紹介しましょう。
 認知症患者が住み慣れた地域でその人らしく暮らしていくためには、①適切な医療②容態に応じた介護サービス③地域と家族、この3者が力を合わせる必要があります。地域と家族が患者を支援するためには居場所が必要で、オレンジカフェはその1つです。
 カフェは認知症の人や家族、地域住民が参加して世間話ができる交流の場です。お茶やお菓子を楽しみながら、懐かしい歌を合唱するなど歌声喫茶さながら。これならデイサービスに行きたがらない人でも、気軽に参加できるのではないでしょうか。
 こうした交流の中で、住民は認知症の人がごく普通の人であることを理解し、患者を支えることの大切さを実感します。認知症の人にとっては、住民とふれ合うことで安心して地域に出ていくきっかけになるでしょう。
 カフェの体験は、認知症の症状緩和や進行を遅らせることにつながります。また介護をする家族にとっても、「24時間、目を離せない」という緊張感から解放されます。
 私はこのコーナーを執筆している大場敏明医師が理事長を務める「医療法人財団アカシア会」の介護統括部長です。当会が運営するオレンジカフェを紹介します。
▼日時 毎月第1土曜日、午後1時半~3時半▼場所 ギャラリー喫茶「和顔施」(埼玉県三郷市)▼催し ゴスペル歌手と歌おう、クラシックギターを楽しむ、シナプサイズなど▼参加費 300円(当事者無料)▼問い合わせ 和顔施(048・950・7310)


オレンジカフェでゴスペルを

鴻巣文明(NPO法人「すぽっとらいと」事務局長)

 私たち「すぽっとらいと」は、社会人や若者アーティストに発表の場を提供するNPO法人です。2014年にアカシア会から「オレンジカフェでゴスペルを歌ったり、指導をしてくれませんか」と声をかけられました。
 ゴスペル歌手の大嶋真理子と、ギタリストの池田宏里がカフェに出かけ、一緒に歌ったり指導をしています。認知症の人でも、特別な指導法があるわけではありません。根気よく繰り返すことです。
 最初は発声練習をしても、思うように声が出ませんでした。それでも時間を掛けて練習をすることで、大きな張りのある声を出すことができるようになりました。一昨年12月には「関東地区グループホーム研修会」でゴスペルを発表。研修会の参加者から盛大な拍手をいただくことができました。
 いつも決まって合唱する曲に「大きな愛」があります。この曲を歌ったり聞いたりすると涙を流す人がいます。きっと心に訴えるものがあるのでしょう。
 カフェでは現在も毎月、ゴスペルを練習しています。始めたころの皆さんからは想像もできないエネルギーを感じます。豊かな表情と大きな声で歌うことができ、いつもご一緒に楽しませていただいています。
■すぽっとらいとへのお問い合わせは電話(03-6331-2572)へ

いつでも元気 2017.6 No.308

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ