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2017年7月31日

6年目の官邸前

 首都圏反原発連合(反原連)は2012年3月から、毎週金曜日に首相官邸前で原発再稼働反対の行動を続けてきた。
 日本にデモの文化を根付かせた定例の集会は、国民の意志に反する政府に抗議する場としてますます重要になっている。
 反原連のミサオ・レッドウルフさんが、行動に込めた思いを語る。

写真 ・ 五味明憲

 2012年6月、大飯原発再稼働に反対する20万の人波が、首相官邸前を覆い尽くした。自然発生的に連帯の輪が広がり、毎週金曜日の集会は全国各地に派生。福島原発事故を機に起きた脱原発デモが、社会現象になった。
 同年8月、反原連のメンバーが当時の野田首相と官邸で会見、脱原発を望む人々の想いを直接伝えた。翌月、民主党政権が「2030年代に原発ゼロ」の政策を打ち出す。人々の行動が政府を変える、歴史的な夏だった。
 ところが、12月の総選挙で民主党は大敗し安倍政権が誕生。政府は2014年の東京都知事選で脱原発候補が落選したことを受け、「世論は脱原発にない」と判断。原発を重要なベースロード電源とする「エネルギー基本計画」を閣議決定した。
 以後、日本のエネルギー政策は後退。川内、伊方と再稼働ラッシュが始まり、今年6月には高浜原発3号機も動き始めた。

公共の抗議の場として維持

 それでも私たちが活動を続けているのは、原発を廃止したいという固い意志があるからだ。同時に社会活動全般に対する貢献も意識してきた。
 国会周辺には「拡声機暴騒音規制条例」があり、抗議集会を開くにはグレーゾーンともいえる場所だ。私たちは毎回、警察と折衝。毎週“安全”に使い続けることで、なし崩し的に「公共の抗議の場」として維持してきた。もしこの継続性がなければ、次に誰かが“場”を使う時にとがめられる可能性もあったと思う。
 2015年にはSEALDsや総がかり行動実行委員会の大きな抗議が国会周辺で問題なく展開され、今日までさまざまな人があの“場”を当たり前に使っている。
 金曜官邸前抗議の参加者は以前に比べ減ってはいるが、今でも毎週約700人が参加している。参加者の多くは「官邸前抗議を維持する必要性」を強く意識し、私たち反原連のメンバーと同じ気持ちでやって来る。
 参加者の中には、お手伝いのスタッフになってくださった方もいる。官邸前抗議は反原連だけでなく、参加者の皆さんや全国各地で金曜抗議集会を開く人々と共に築いてきたと強く実感している。

力を合わせれば情勢を動かせる

 では、官邸前抗議をいつまで続けるのか。多くの人々と共に築き、続けてきた抗議だから、私たちだけで決めることはできない。安倍政権を倒し、エネルギー政策を転換するまでは続けるべきだ、と考える人は多い。
 一人ひとりは微力でも、力を合わせれば情勢を動かせるという2012年夏の経験は、多くの人々の自信の礎になった。反原連のメンバーも、大人の「責任範囲」として次世代に負の遺産である原発を残さないよう、原発のない未来に向けて尽力していきたい。


ドネーション・プロジェクト2017

反原連は初めてドネーション(カンパ)を呼びかけています。活動経費はこれまでも参加者のカンパなどでまかなってきましたが、長期化に伴い活動の継続が難しくなりました。人々が声を挙げる、その場を維持するためにもご協力を。
振込先
※口座名称はいずれも「シュトケンハンゲンパツレンゴウ」。可能であれば、通信欄に「ドネーション2017」と記入
◆ゆうちょ銀行
【店名】〇一九店【預金種目】当座
【口座番号】0291074
ゆうちょ口座から送金の場合
【記号番号】00170-1-291074
◆城南信用金庫
【店名】横浜支店【店番号】063
【預金種目】普通【口座番号】285654 
ホームページ
http://coalitionagainstnukes.jp/?p=9827

いつでも元気 2017.8 No.310

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