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2017年9月29日

まちづくりのススメ 助け合い活動

文・井口誠二(編集部)
写真・若橋一三

 『元気』で40回以上連載している「安心して住み続けられるまちづくり」。まちづくりを始めるポイントは?今号から、皆さんの疑問にお答えします。初回は「助け合い活動」です。

松宮さん

 福井県医療生協・嶺南ブロックの助け合い活動「手の輪会」は、2014年から敦賀市内で活動を始め、毎月50件以上のゴミ出しや家の掃除、買い物代行などの依頼に応えています。
 活動の仕組みとポイントを同医療生協理事で嶺南ブロック長の松宮学さんと、敦賀市地域包括支援センターケアマネジャーの戸嶋久美子さんに聞きました。

 手の輪会では、手助けを求める組合員(てつだってさん)が事務局に利用を申し込むと(図1)、地域のコーディネーターが訪問して依頼内容を確認(3)。ルールを説明してチケットを買ってもらいます。
 次に、コーディネーターは地域の手伝いができる組合員(たすけっとさん)に活動を依頼(4)。たすけっとさんがお手伝いを終えた後(5)、てつだってさんは活動時間に応じてチケット()で支払います。

※1 1時間800円。うち700円がたすけっとさんへ、100円は事務局運営費に

Point1 たすけっとさんはどう増やす?

 たすけっとさんは当初、生協の役員など2~3人から始めました。そこからは、依頼がある度にその地域の組合員さんに「手伝ってもらえないか」と、たすけっとさんの登録をお願いしています。
 当医療生協の機関紙に協力募集のチラシも折り込みましたが、これらはあまり効果がありませんでしたね。
 また登録の際は、「どんな手伝いならできるか」を25のチェック項目()で確認しておきます。

Point2 活動を周知する方法は?

 機関紙などで宣伝していますが、実際に依頼が舞い込むのは民医連内外のケアマネジャーからの紹介がほとんどです。
 介護保険制度では対処できない“制度の隙間”に悩むケアマネジャーにこの活動を知ってもらうことで、より良い関係を築けると思います。

Point3 気を付けていることは?

 第1に、手の輪会はあくまで組合員同士の助け合い活動。たすけっとさんも素人だということが大前提です。例えば、庭木の枝を切り落とす伐採はできても、美しく整える剪定はできません。
 第2に、安価な代行はしません。例えば、車のタイヤ交換などは、お金を払えばガソリンスタンドでもできます。ただ「体力が落ちて車にタイヤを積めない」という場合に、積み込みの手伝いはします。
 第3に草刈り機など特殊な道具が必要な場合は、その都度知人に借りるなどで対応し、レンタル料として実費分をチケットとは別に請求します。道具を自前で持つと、お金も掛かるし保管場所も必要になります。
 第4に、送迎サービスはしません。買い物や診察に付き添う場合は、タクシー移動が基本です。当医療生協の各診療所へは、各診療所が行う無料送迎サービスを利用してもらっています。
 第5に、現場で現金のやりとりはしません。現金のやりとりは、事務局やコーディネーターのみが行います。

Point4 手続きなど必要なことは?

 助け合い活動は、役所など公的機関への届出といった手続きは必要ありません。ただ事故への備えとして、ボランティア保険などの加入は必要です。
 スタッフは、事務局を担う人、事務所に常駐する人が1人(できれば2人)必要です。手の輪会では、松宮が事務局とコーディネーターを兼ねて担当しています。
 また、相談相手としてケアマネジャーなどの専門職と、密に連絡が取れるようにしています。定期的に運営委員会を開き、意見交換の場を持つことも大切にしています。

Point5 始める前にするべきことは?

 活動のイメージを掴むために、実際に活動を行っているところに見学に行くのが一番です。私たちも、富山医療生協の「たすけっとクラブ」を見学したことが大きな収穫になりました。
 最後に「頭で考えるより、まず始めること」です。私たちもそうですが、始めてみないと自分たちなりの地域の実情に合った形は見えてきません。まず一歩、踏み出してみてください。

いつでも元気 2017.10 No.312

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