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2017年9月29日

安心して住み続けられるまちづくり・栃木 宿題を持って集まろう

文・宮武真希(編集部)  写真・野田雅也

 栃木保健医療生協は「地域の子どもたちに目を向けよう」と、2年前に「子ども企画実行委員会」を発足。
 宇都宮協立診療所近くの宇都宮市立西が岡小学校と関係を築き、「宿題を持って集まろう」という企画を継続的に開催しています。 

 夏休み最初の土曜日、宇都宮協立診療所の向かいにある宝木団地集会所に、地元の児童が20人以上集まりました。「宿題を持って集まろう」は春・夏・冬の長期休暇中に開催し、今回で7回目。時間は午前11時から午後3時まで、昼食も提供しています。
 「では、始めます。よろしくお願いします」と薄久保春菜さん(宇都宮協立診療所・事務、子ども企画実行委員)が声をかけると、それぞれのテーブルには一斉に宿題が並びました。
 同法人の1日医師・看護師体験でつながった医学生や看護学生、医療生協組合員家族の大学生、職員や組合員が付き添い、「わからないところがあったら言ってね」と声をかけ、見守ります。
 参加者は西が岡小の児童が中心で、毎回同校の教員も見学に。この日は副校長の吉住寛子さんが訪れました。「本校の児童数は約360人。子どもの家庭状況はさまざまです」と吉住さん。
 「困難を抱える家庭を学校でもサポートしますが、学校だけでは解決できないケースもある。地域のなかでこのような居場所をつくってもらえることは本当にありがたい」と言います。
 子どもたちが宿題に励むころ、実行委員会のサポーターは昼食づくりに奮闘。元職員で組合員の浅野まささんや高田珠美さんらが「少しでもお手伝いしたい」とカレーを作り、トマトやキュウリもたくさん準備して参加者に振る舞いました。

地域に足を踏み出そう

 企画のきっかけは、全国各地の無料塾やこども食堂の活動を知った法人医学生委員会で「地域の子どもたちに、もっと踏み込んで目を向けてみよう」という意見が出たことでした。
 早速子ども企画実行委員会を立ち上げ、この企画の案内チラシを持って西が岡小に出向いたのは宮本進さん(同生協常務理事・地域活動部部長)。「どうなるかはわかりませんでしたが、とりあえず行ってみました」。すると小学校側は大歓迎。企画内容が学校が案内できる条件((1)無料、(2)学区内での実施、(3)信頼できる団体が実施している)と合致していたことから、全児童にチラシを配布してくれることに。「学校からの案内ということで、児童も親も安心できると好評です」と宮本さん。
 その後、栃木保健医療生協は同校と情報交換できる関係を築き、市が全小中学校に設置する「魅力ある学校づくり地域協議会」にも加わって活動しています。今年2月には、「職業について」の授業に宇都宮協立診療所の武井大医師が招かれました。

もっとも困難な人に寄り添うとは

 「もっと地域の現状がわかるようになりたい」と話すのは、武井医師です。宇都宮協立診療所には小児科もありますが、宇都宮市は中学3年生までの医療費が無料。たとえ家庭が生活に困窮していても、子どもをめぐる状況をつかみづらいのが現実です。無料低額診療事業の開始でつながりは広がりましたが「『もっと大変な思いをしている人がいるのでは』という認識を持ち、自分たちの足で地域に飛び込んでいかないと本当の地域の姿を知ることはできない。民医連は『もっとも困難な人に寄り添うこと』がポリシーですから」と武井医師。
 「この企画にも、本当に来てほしい困難を抱える子どもにどう参加してもらうか。そこが、これからの課題だと思っています」と話します。
 企画の翌週には、西が岡小が同校内で学習支援教室を4日間開催。法人から、後期研修医や職員、組合員が毎日地域ボランティアとして参加し、児童の学習をサポートしました。
 「地域の子どものことを思ってくれる医療機関がある」──。地域や小学校に生まれた安心感は、「もっとも困難な人に寄り添う」という民医連の使命を果たす大きな可能性となっています。

いつでも元気 2017.10 No.312

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