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2017年11月30日

守りたい9条 内閣支持率を下げ改憲発議を止めよう

中野晃一さん

中野晃一さん

聞き手・新井健治(編集部)※10月26日取材

 10月22日投開票の総選挙。立憲民主党が躍進した一方で自民・公明は313議席と改憲発議()に必要な3分の2議席を確保しました。
 総選挙の結果と改憲を阻止する市民運動について、上智大学教授(政治学)の中野晃一さんに聞きました。
 中野さんは「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の呼びかけ人です。

鮮明になった護憲勢力

―自民・公明の与党に、希望、維新の議席数を合わせると改憲勢力が衆院で8割を占めました。今回の総選挙の結果をどう見ますか?
 改憲派が8割ということで強い危機感を抱く市民もいますが、実は国会の状況は5年前の2012年から変わっていません。この年の12月に行われた総選挙で、民主党が57議席と後退する一方(共産は8)、自民・公明が325、維新が54、みんなが18と、改憲勢力はこの時点で既に85%に達していました。
 国会の護憲、改憲の勢力図に変化はありませんが、今回、大きく変わったことがあります。民進党の中には改憲派の議員もいましたが、立憲民主党はその名の通り立憲主義の政党で、違憲の安保法制に基づく改憲にはくみしません。ぼやけていたことが鮮明になり、より運動をつくりやすくなったと思います。
―小池百合子代表の「排除」発言で失速したものの、希望の党がブームになりかけました。
 「何かやってくれそうだ」という雰囲気をマスコミが作り、それに多くの国民が踊らされる光景は、ここ数十年、ずっと続いています。希望の党が掲げた「しがらみ政治からの脱却」など聞こえの良い言葉を信じるのではなく、有権者は議員の実態を見なければいけない。小池代表は核武装論者で、安保法制に自民党議員として賛成している。
 その点は安倍政権もトランプ政権も同じ。嘘やごまかしで選挙を乗り切り、終わった後で憲法違反の政策を実行することを繰り返しています。

若者は保守的か?

―衆院選では初めて18歳と19歳が投票しましたが、若者の自民党支持率の高さが気になります。中野さんは上智大学で学生と話す機会も多いと思います。
 若者が政治に興味を持ち始めるのは中、高校生時代で、今の学生はその頃から安倍政権しか知りません。民主党は失敗したとだけ聞いており、学ばなければ自民しか知らないような状況です。
 「昔は若者といえば反権力だった」と言う人もいます。経済が右肩上がりの時代はともかく、今の学生には経済的余裕もない。若者が現状維持という意味で保守的になるのも仕方ありません。
 ただ、投票率は戦後2番目に低い。若者にいたっては6割近くが投票していないわけで、棄権した人の中には安倍政権に反感を持つ人も大勢いるでしょう。そうした人に声が届くような政策をどのように打ち出すか、それが今後の課題です。
―今後、政局はどのように変わるでしょうか。
 今回の選挙で、リベラルと左派の共闘の重要性がより鮮明になりました。立憲民主党の求心力が強まり、希望の党や元民進党の無所属議員の中から立憲民主に合流する議員も出てくるでしょう。私たち市民連合は、原理原則を踏まえ、護憲勢力の接着剤として活動します。

「王様は裸だ」

―1月の通常国会に、与党が改憲案を提出することも予想されます。改憲発議を止めるには、どうすればいいでしょうか。
 安倍内閣の支持率を下げるのが最も有効です。選挙結果こそ自民の大勝ですが、内閣支持率と不支持率は40%前後で拮抗している。森友・加計学園問題をはじめ、内閣の傲慢なふるまいに多くの人が気づき始めている。この世論をもっと広げることです。
 国民の支持は薄いにもかかわらず、強権政治が続いてるのが日本の現状です。まだ、多くの国民は口ごもっていますが、「王様は裸だ」と言い続けることが必要です。
―マスコミは改憲を騒ぎますが、冷静に考えると、なぜ今改憲なのか、少し奇妙な感じもします。
 民医連は医療団体ですが、改憲は国の身体にメスを入れるようなもので、手術に似ている。通常なら身体のどこかに異常があるから手術をするわけです。ところが、安倍首相は「とにかく、一度手術をしたいから、手術をさせてくれ」と言っているようなもの。こんな医師を信頼できますか?
 安倍政権は「教育無償化」など聞こえの良い言葉を並べ、なんとか改憲への道筋を作ろうとするでしょう。私たちはそんな言葉に騙されず、「政治とは、そもそも誰のためにあるのか」という原点に立ち返ることです。

改憲発議 憲法改正案の原案を衆参両院の憲法審査会で審議。その後、両院それぞれの本会議で3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正を発議し国民投票を行う。衆議院定数(465議席)の3分の2は310議席

表


中野晃一(なかの・こういち)
1970年、東京生まれ。東京大学、英国オックスフォード大学卒。米国プリンストン大学で博士号(政治学)を取得。専門は比較政治学、日本政治、政治思想。『右傾化する日本政治』(岩波新書)、『つながり、変える 私たちの立憲政治』(大月書店)など著書多数

いつでも元気 2017.12 No.314

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