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2017年11月30日

まちづくりのススメ 送迎サービス(福祉有償運送)

文・井口誠二(編集部)

 買い物や通院が困難な高齢者から、送迎サービス(福祉有償運送)への期待が高まっています。2006年から活動する岐阜市のNPO法人「生活サポート・助け足ネット」の事業責任者、種村治郎さん(岐阜健康友の会)と代表理事の河村彰英さん(岐阜民医連職員)に聞きました。

Point1 最初に何が必要ですか?

 まずはスタッフと場所です。スタッフは、運転手と電話対応などを担う事務員。場所は事務所と駐車場です。
 その上で事業を始めるには、自治体ごとにある「運営協議会(※1)」に事業登録の申請が必要です。申請内容は、事務所の場所や運送を行う区域、車の種類と台数、利用者の範囲などです。
 車は、スタッフの自家用車を利用しても構いません。ただし運営協議会によっては、一般車両での運用は福祉車両と同じ台数までしか認めない場合もあります。助け足ネットでは、車いすのままでも乗れる福祉自動車を含めたリース車両7台で運営しています。
 自家用車以外の車を使う場合、駐車場はスタッフの車+事業用車のスペースを確保してください。
 また人を雇い、事務所や駐車場を借りる資金も当然必要になります。特に事務所と駐車場をいかに安く確保できるかが、その後の事業継続に大きく響きます。

Point2 どんな資格が必要ですか?

【運転手】介護福祉士などの資格か、「ケア輸送サービス従事者研修」などの修了者であることが求められます。詳しくは、国土交通省のホームページ(※2)を確認してください。
 タクシー運転手などに必要な二種免許は必要ありません。
 また休暇の取得や安全運転のためには、車1台につき運転手2人は必要でしょう。
【事務員】資格は必要ありません。ただし、車5台以上で事業を行う場合には、「運行管理責任者」基礎講習修了証を持つ人がいなければなりません。これは3日間の講習と試験を受ければ取得できます。

Point3 運賃はどのように設定しますか?

 法律で「タクシー運賃の概ね半額」とされています。ただし、あくまで目安です。これより高くも低くも設定できますが、運営協議会の審査を受けて、合意を得なければなりません。
 助け足ネットの運賃は表の通りです。チケット制で、あらかじめ20枚綴りのチケットを購入してもらいます。その他に入会金と年会費があります。

Point4 事業で気を付けることは?

 なんと言っても事故対策です。「事故は必ず起こる」という前提で対策を準備しましょう。
 助け足ネットでは、「自動車任意保険」とスタッフのボランティア保険として「NPO総合保険」に加入しています。自家用車を事業利用する場合は、あらかじめ任意保険の登録を変更しておきましょう。
 運転手の健康管理も重要です。助け足ネットでは、75歳を定年として採用し、勤務を週3日に制限、年1回の健康診断(健診料は法人負担)も義務付けています。
 また収入が小さく費用がかかる事業なので、事業責任者には年間の費用をシビアに見通した現実的な予算を作れることと、費用管理をできることが求められます。目安としては、車2台に対して登録利用者100人程度が採算ラインでしょう。

Point5 利用者やスタッフの確保は?

 助け足ネットは、事業を始める前に友の会の無料送迎を3年間やってきました。そのおかげで、事業継続の下地ができました。
 福祉有償運送を始めようとすると、運営協議会の審査を受けねばならず、事業の申請などの手続きや法律上の制約も多くて大変です。「送迎をやりたい」と思ったら、まず資格などの必要ない無償の送迎サービスから始めてはどうでしょうか?
 そこで足掛かりを作ってから、福祉有償運送に切り替えるのも有効だと思います。どんな運営なら無償と認められるかは、国土交通省のホームページ(※3)などを参考にしてください。
 地域には確実に必要としている人が多くいます。ぜひ前向きに考えてください。

表

※1 市町村や都道府県が主宰する、運送の必要性や条件などを判断するための組織。構成員は主宰者や運輸局、関係交通機関の代表、地域住民の代表など

※2 一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて http://www.mlit.go.jp/common/000111478.pdf

※3 自家用有償旅客運送に関係する通達について
   http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000044.html


福祉有償運送とは

 公共交通機関を1人で利用することが困難な方を対象に、NPO法人などが行う運送事業。
 病院などの無料送迎とは違い、通院だけでなく、買い物など自由な目的で利用できます。ただし、有料で利用するために一定の条件があり、事前登録も必要です。

利用できる人
(1)介護保険の要支援者、要介護者
(2)身体障害者
(3)肢体不自由者、内部障害者(人工透析を受けている人など)、精神障害者、知的障害者
(4)難病患者など

いつでも元気 2017.12 No.314

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