MIN-IRENトピックス

2018年3月20日

3日目 理事会総括報告 岸本啓介 事務局長 右手に運動方針 左手に9条署名で奮闘しよう

 三日間の討議を受け、理事会として総会全体の総括報告を、岸本啓介事務局長が行いました。

 代議員の皆さん、長時間の討論ありがとうございました。三日間でのべ九七一人が発言、約八時間の討論でした。本当にタフで民主主義の組織です。第四三回方針案は、代議員の皆さんの積極的で熱心な討議で練り上げられました。
 最初にスローガンに関し、一点修正します。二つ目のスローガンの「社会保障の営利化」の表現がわかりにくいという意見がありました。一方、社会保障にはさまざまな制度があり、一つひとつ書き込むと長くなります。そこで、趣旨を端的にするため、「営利」の後に「市場化」を入れて修正し、二番目のスローガンとします。

「2つの柱」の実践から好循環へ

 今総会は医療・介護の実践が豊かに語られ、方針が深められたと思います。第四二回総会では、今日の格差や貧困、超高齢化の時代のなかで、私たちが人権として医療や介護の安全、医療のあり方を追求するスローガンとして、わかりやすくしようと、「2つの柱」を提起しました。討論を通じて、この二年間、現場でとりくみがすすんできたことを共有しました。第四三期は、いっそうの実践を強め、経営や育成、運動のよりよい循環をつくり上げていくことを、最初に確認したいと思います。

ともに歩んだ憲法を守る

 全日本民医連は今年六月七日、一九五三年に結成されてから六五年を迎えます。私たちの六五年の歩みは、あの戦争の反省から平和、人権、民主主義の三つの普遍的な価値を確立してきた日本社会の流れと一体です。方針の一番に掲げた憲法を守り抜くことを、二つ目に確認したいと思います。
 全国で工夫したとりくみが始まっています。福島の郡山医療生協では、三〇〇〇万人の声を届けようと皆がバッジをつける運動がすすんでいます。私は、福島が原発被害のなかで、核兵器をなくす、絶対使わせない、戦争させない、そのために憲法を守り抜こうと運動していることに心から連帯し、共感しました。全国で大きな運動をつくっていきましょう。

困難は全国の仲間と乗り越える

 厳しい経営環境について、改善を図った経験も発言されました。「助けてと言えない人びとは地域にいる。私たちはその人たちの灯台になろう。患者さんがいないのではなく、患者さんになれない病人がたくさんいる」と。この認識にどういう方針を出していくかが第四三回総会方針のなかの重要な点です。「『2つの柱』を引き続き現場に根づかせる」「私たちの宝である無料低額診療事業を地域にも広げよう」「専門家として地域に出て、アウトリーチを大きくすすめよう」と、多くのキーワードが分散会で語り合われました。経営も含め、「2つの柱」の実践のなかで、好循環をつくり出していきたいと思います。
 関連して、郡山医療生協から経営改善へ向けた、大きな決意表明がありました。民医連はこの六五年、経営危機や医療事故など多くの危機に直面してきました。組織の存続に関わる困難にも、何度も直面してきました。
 しかし、私たちはその都度、徹底して自らを振り返り、職員や共同組織をはじめ、地域やささえてくれる人びとと真正面から向き合い、我々のすすむべき道はどこかを模索し、無差別・平等でがんばり続ける民医連への応援にこたえ前進してきました。困難は全国の仲間の知恵と連帯と団結の力で乗り越えてきました。あらためて全日本民医連の理事会は、郡山の問題ではなく私たち自身の問題として、必ず郡山医療生協を再生することを決意表明して、福島の発言に応えたいと思います。

戦争する国にさせない

 昨年一二月、沖縄の普天間基地の横にある小学校に、米軍のヘリコプターから窓が落ちてきました。「二度と子どもたちの上を飛ぶな」。これは当たり前の声であり、お母さん、お父さんたちの「普通に暮らしたい」という声だと思います。昨日、この小学校の上を同型のヘリコプターがまた飛びました。戦争をする国の目には、その下にあるかけがえのない一つひとつのいのちはまったく見えないのだと、あらためて思いました。
 この二年間で日本をこういう国にしては絶対になりません。民医連が大事にしている「いのち、憲法、綱領」の三つの視点を、時代を見つめる目として研ぎ澄まし、第四三期の民医連運動の前進を図りましょう。
 まちづくりの強化、共同組織とともにすすめよう。このことも方針の重要な点です。九月に横浜で第一四回共同組織活動交流集会を開きます。全国から集いましょう。
 平和と人権は理想ではありません。故・肥田舜太郎医師がおっしゃったように、私たちは守り通す。そんな二年にして、力を合わせ運動方針を実践していこうと思います。

 代議員の皆さん、共同組織連絡会の皆さん、運動方針を全ての事業所、共同組織の仲間一人ひとりに届け、右手に運動方針、左手に三〇〇〇万人署名という二月、三月、四月の大奮闘をしようではありませんか。
 二年後の総会は熊本で開催します。私たちが掲げたまちづくりは、被災地にとって大事な課題です。各県連で運動を前進させ、人間的な復興をがんばっている熊本に集まり、大いに運動を交流しようではありませんか。

(民医連新聞 第1664号 2018年3月19日)

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