くすりの話

2018年5月31日

くすりの話 
紫外線と日焼け止め

回答/上野亜紀(福岡保健企画・薬剤師)
監修/高田満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 日差しが強くなる季節。特に気になるのが紫外線ですね。

●紫外線の種類

 紫外線はエネルギーや波長の順にUVA、UVB、UVCの3種類があります。UVCは紫外線の中で一番有害ですが、オゾン層に吸収されるため地表に届くのはUVAとUVBです。
 UVAは皮膚の奥深く、真皮まで届きダメージを与えます。深いしわ、たるみの原因になります。窓ガラスや雲を通過するため、曇りの日や室内でも注意が必要です。
 UVBは肌表面が赤くなる炎症を起こします。UVAより有害で、肌のしみ、しわ、そばかす、皮膚がんや白内障の原因になると言われています。
 紫外線の影響は肌のタイプで異なります。日本人など有色人種は白色人種に比べて、紫外線の影響が少ないことが分かっています。

●紫外線とビタミンD

 日差しを浴びると紫外線の作用により体内でビタミンDを合成します。ビタミンDは骨や歯の形成に必要な栄養素です。1日15分程度の紫外線を浴びれば必要なビタミンDを得られるため、日焼けをするほどの日光浴は必要ないでしょう。
 紫外線対策は(1)長時間、日光に当たらない(2)帽子、日傘、手袋、UVカット機能のサングラスを活用する(3)日焼け止めを使うの3点です。

●日焼け止めの種類

 日焼け止めの成分は「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」に分類されます。
 紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し熱エネルギーに変えた後に外部へ放出させます。肌への負担が大きく、敏感肌や子どもにはあまり適しません。
 紫外線散乱剤は、紫外線が直接肌に当たらないように反射させ散乱させます。紫外線吸収剤より肌への負担が軽いとされています。ただし、日焼け止めのクリームが白く残ることがあります。

●SPF値、PA値の意味と選び方

 日焼け止めを選ぶ目安となるのがSPF値とPA値です。SPF値 はUVBの防止効果の指標です。1~50までの数値で表示され、数値が大きいほど効果が高くなります。
 PA値はUVAの防止効果の指標です。PA+~PA++++の4段階で表記されます。+が多いほど効果が高くなります
 肌のタイプは人それぞれ。日に当たるとすぐに赤くなる人は紫外線の影響を受けやすいので、UVB の防止効果の指標であるSPF値の高い日焼け止めを選ぶと良いでしょう。しかし、防止効果が高い日焼け止めほど肌への負担も大きいため、ご自身の肌に合うものを選んでください。まぶたや耳、首の後ろなど塗り忘れにも注意を。厚塗りしても効果は上がりません。できれば2~3時間を目安に塗り直してください。

●顔用・体用の使い分け

 体用の日焼け止めにはアルコールやメントールなど、清涼感を目的とした成分が入っている製品があります。体用を顔に使うと刺激が強く肌荒れの原因になります。製品の表示を確認して使いましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2018.6 No.320

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