副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2018年7月17日

副作用モニター情報〈499〉 フェソテロジンフマル酸塩徐放錠による排尿困難(尿閉)続報

 2015年10月5日付の民医連新聞「副作用モニター情報」446回で、フェソテロジンフマル酸塩徐放錠(商品名:トビエース®)による排尿困難(尿閉)について紹介しました。その後3年間で、さらに19件の副作用が報告されており、そのうち排尿困難(尿閉)が11件と半数以上を占めています。
症例1) 90代男性。数年前から頻尿あり、2年前からはベタニス50mg服用していたが、排尿回数が増えてきたため、トビエース8mgに処方変更。服用の翌朝からほとんど尿が出ず、ちょろちょろと少量のみとなり、泌尿器科を受診、トビエースを中止し、改善した。
症例2) 80代女性。エブランチル15mg服用していた。排尿時に違和感があるため、トビエース4mgに変更となる。服用3日目から尿が出ず、昼ごろからおかしいと感じ、夕食後の薬は自己判断で服用せず。泌尿器科を受診し導尿。トビエースは中止、エブランチル15mgに戻して症状は改善した。

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 フェソテロジンフマル酸塩徐放錠はデトルシトールの活性代謝物のプロドラッグであり、膀胱に対する選択性の高いムスカリン受容体拮抗薬として2013年3月に販売を開始しました。一概には比較できませんが、添付文書上での尿閉の副作用発現率は1.1%と、他のムスカリン受容体拮抗薬と比べても非常に高い発現率となっています(酒石酸トルテロジン0.2%、プロピベリン塩酸塩0.4%、イミダフェナシン0.03%、ソリフェナシン0.1-5%未満)。
 また、承認時の国内後期第2相試験や外国2/3相試験において、4mg/日群と比較して8mg/日群で有害事象の発現率が増加(そのうち排尿困難は国内後期第2相試験で4mg/日群0.6%に対し、8mg/日群4.2%)したことから、安全性を考慮して通常用量は4mg/日とし、効果不十分時に忍容性を考慮したうえで8mgに増量可となっています。ただし、重度の腎障害(CCr30mL/min未満)のある患者や中等度の肝障害(Child-Pugh分類B)の患者には最高4mgまでです。
 しかし、今回とりあげた3年間での排尿困難(尿閉)の副作用11件のうち8件は4mgの投与で発生しており、4mgでの投与でも排尿困難(尿閉)の副作用出現には注意が必要です。

(民医連新聞 第1672号 2018年7月16日)

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