MIN-IRENトピックス

2019年1月9日

けんこう教室 
認知症を予防するために

神奈川 汐田総合病院 宮澤 由美

神奈川 汐田総合病院
宮澤 由美

 今回は認知症を予防するためのポイントについて、みなさんにお伝えしたいと思います。
認知症はアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症など、原因によっていくつかの種類に分けられます(表1)。思考力や記憶力をつかさどる脳に障害が起こると、日常生活にさまざまな支障をきたします。
 物忘れやうつ傾向をきっかけに受診して診断される方が多く、高齢になるほど患者は増えていきます。75歳以上になると、10人に1人は認知症患者とも言われます。早期発見、早期治療が大変重要です。
 最近、認知症予防のための生活習慣が注目されています。アルツハイマー型認知症の場合、根治薬が開発されていない状況もあり、薬物療法より生活習慣の改善、発症した後の周囲の対応法、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりなどに関心が集まっています。認知症予防の生活習慣について学び、無理なく続けられることを自分の生活に取り入れていきましょう。
 日本認知症予防学会の浦上克哉理事長(鳥取大学医学部教授)は、認知症予防の3つの柱として「知的活動」「運動」「コミュニケーション」をあげています。これに今回は「食事」「睡眠」を加えて、「認知症予防の5つのキーワード」としてご紹介します。

5つのキーワード

 (1) 知的活動
 日記を書く、新聞を読むという身近なことでも十分な知的活動になります。過去の日記を読み返せば回想にもなりますし、新聞を読むだけでなく、コラムを書き写すなどの工夫もできます。
 クロスワードパズルやゲームなどもちょっとした時間でできる良さがあります。楽器を演奏したり、絵を描いたりという芸術活動や芸術鑑賞はもちろんのこと、農作業や料理も手先と頭を同時に使うので効果があります。
 仕事を続けるのもこれからの高齢者には良い方法ですが、現役時代とは違う仕事にチャレンジするほうが刺激になります。

 (2) 運動
 週に2~3回、少し息がきれるくらいの強度の運動が良いとされ、特に有酸素運動がお勧めです。
 ウオーキング、ジョギング、水泳などを普段より軽く弾む感じで、深いゆっくりした呼吸をしながら行います。
 しりとりや計算などで頭を使いながら運動する「コグニサイズ」も、認知症予防の代表的な体操法です。

 (3) コミュニケーション
 コミュニケーションは簡単なようで、難しいものです。ひとり暮らしだと1日中あるいは1週間、誰とも話さないことがあるかもしれません。人と話す機会を心掛けて作る必要がある時代になってきました。
 電話やインターネットを使った会話でも良いので、コミュニケーションをとる機会がほしいものです。共同組織の活動やボランティアなどに参加して知らない人と話すのも、気を遣ったり頭を使ったりするため刺激になります。

 (4) 食事
 野菜や果物、魚を中心に、豆類やオリーブオイルなどを取り入れるのが良いとされます。「日本式地中海料理」とでもいうべきメニューを工夫できるといいですね。
 抗酸化作用があるポリフェノールも認知症予防の定番です。ただし、ポリフェノールを多く含む赤ワインはアルコールも多く含むため、いちご、ぶどう、大豆、コーヒーや紅茶などで摂るようにしましょう。

 (5) 睡眠
 認知症予防との関連で最も注目されているのが睡眠です。最近の研究で、睡眠不足は脳に有害なたんぱく質が溜まるのを促すとの報告がありました。
 認知症予防のためには十分な睡眠をとり、日中に短時間の昼寝をすることが良いとされるようになってきています。心地よく眠りにつけるよう、好きな香りをアロマやお香で楽しんだり、音楽を聴いたりしてもいいですね。

自分の“居場所”づくりを

 これらの生活習慣はたまに行えば良いのではなく、継続して習慣にすることが重要です。
また、ひとりで過ごす時間も大事ですが、なんらかのコミュニティーに所属することでコミュニケーションがはかりやすくなり、役割を持ったり生活に張りが出たりすることがあります。
 自分の居場所が地域にあるということは、特に高齢者にとってはとても大事なことです。存在価値を認められてこそ、生きがいが得られます。
 町内会や老人会、共同組織、趣味のサークル、ボランティアなど、地域に一歩踏み出して、どうぞ自分の居場所を見つけてください。
認知症予防を明るく、楽しく行うことで、日々の生活がぱっと明るくなる、そんな日々を目指してくださいね。
 認知症の物忘れと加齢に伴う物忘れの違い(表2)と、自分でできる認知症の気づきチェックリスト(表3)も参考にしてください。


書籍紹介

『認知症実践ハンドブック』

今号執筆の宮澤由美医師など、全日本民医連の医師・看護師らが認知症の症状、診断、治療、予防などについて系統的に解説。「もの忘れ相談外来」「院内認知症サポートチーム」「認知症ケアを担う職員の育成」「認知症カフェ」「認知症見守り訓練」など、全国から民医連の先進的な取り組みを集めて紹介しています。

編集:全日本民主医療機関連合会
発行:株式会社 保健医療研究所
A4判/132頁/700円(税込)

【注文/問い合わせ】Tel03-5842-5656(保健医療研究所)
全日本民医連ホームページの「オンライン書店」からも注文できます

いつでも元気 2019.1 No.327

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