副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2019年1月22日

副作用モニター情報〈509〉 NSAIDs不耐症患者へのハップスターID投与で喘息発作

 NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)不耐症既往のある患者に外用剤のハップスターID®(主成分:インドメタシン)を使用し、NSAIDs過敏喘息(アスピリン喘息)を引き起こした症例が報告されたので紹介します。
症例) 70代女性。既往:ステロイド依存性気管支喘息、NSAIDs不耐症、好酸球性胃腸症など。併用薬:アドエアディスカス、スピリーバレスピマット、ランソプラゾールOD錠、ジャヌビア錠など。
 肩甲骨の痛みに対しハップスターIDを1枚貼付。貼付1時間45分後に喘鳴出現。ハップスターIDははがさずにメプチンエアーを吸入し、呼吸苦は改善。翌日も呼吸苦出現したがメプチンエアーで対応している。その後ハップスターをはがしたところ、皮膚損傷がみられた。
 患者の希望で再度ハップスターIDを貼付。病棟薬剤師から「NSAIDs使用で喘息症状出現の既往があるため注意が必要」と看護師に報告。貼付3時間後に喘鳴が出現したためハップスターIDをはがし、メプチンエアーを吸入し症状は改善した。その後ハップスターIDは使用せずサリチル酸メチル製剤で対応。退院まで喘息発作なし。

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 内服薬に比べ外用薬は安易に処方・使用されるケースが多く、各種チェックも抜けがちです。今回の症例もNSAIDs不耐症の既往が把握されていましたが、病棟配置薬のハップスターIDが使用されました。NSAIDs不耐症既往歴の患者に、内服・外用にかかわらずNSAIDsが投与されない仕組みづくりが必要です。
 また、内服薬では、NSAIDs不耐症患者に使用される機会の多いCOX2選択的阻害薬であるコキシブ系NSAIDs(セレコキシブやメロキシカムなど)や1回500mgを超える高用量アセトアミノフェンも、弱いながらCOX1阻害作用を有しているため注意が必要です。
 一方、安全性が高い薬剤としては塩基性消炎薬(チアラミドなど)がありますが、こちらは鎮痛効果が弱いため症状に合わせた薬剤選択が大切です。アセトアミノフェン1回300mgまでは、比較的安全とされています(いずれも投与量は成人)。

(民医連新聞 第1684号 2019年1月21日)

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