副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2019年2月19日

副作用モニター情報〈511〉 グアンファシン塩酸塩(インチュニブ錠)の副作用

 グアンファシン塩酸塩(製品名:インチュニブ錠)は2017年5月に発売された、小児期における注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬です。メチルフェニデート徐放錠(製品名:コンサータ)、アトモキセチン(製品名:ストラテラ)に次ぐ薬剤となります。
 これまで当モニターに、7~12歳の小児で5例6件の副作用報告がありました。眠気3件、頭痛1件、下痢1件、血圧低下1件で、いずれも投与量は1mgでした。市販直後調査においても傾眠767件、血圧低下174件、頭痛103件とこれらの副作用が多く報告されています。
 本剤のADHDに対する作用機序は明らかではありませんが、シナプス後アドレナリンαA2受容体に作用し、ノルアドレナリンの調節不全を改善すると考えられています。中枢刺激作用はなく、既存薬でみられた食欲不振や体重減少、血圧上昇の発現は低いと言えますが、本剤はもともと本態性高血圧治療薬(グアナベンズ類似)として販売されていた経緯があり、血圧低下や徐脈には特に注意が必要です。
 当モニターに報告があった血圧低下症例では、投与開始11日目で収縮期血圧が80mmHgまで低下していました。頭痛で報告されている症例も12日目で86mmHgに低下しており、報告者は頭痛との関連を考察しています。
 用量については、欧州、米国では、重大な副作用である失神、低血圧、徐脈、傾眠、鎮静のリスクが、曝露量依存的に認められたことから、開始用量は体重によらず1mgに統一されています。
 しかし国内では、短期間で維持用量まで到達させるために、体重50kg以上の小児では開始用量を2mgとしています。投与開始初期のバイタル変動には十分注意が必要ですし、中止の場合も血圧上昇、頻脈に注意しながら減薬することが必要です。また本剤は徐放製剤であることから、噛んだり、割ったりせずに服用するよう指導も必要です。

(民医連新聞 第1686号 2019年2月18日)

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