医療・看護

2019年3月19日

診察室から 性教育は深面白い

 性教育というと「性感染症の症状、治療、予防」「妊娠の仕組みと避妊法」とイメージする人も多いと思います。産婦人科医として診療していると、性教育の重要性を痛感するのですが、日本は元来、性を“秘めたもの”として扱っていたからか、諸外国に比べ教育が遅れている印象を受けます。
 欧米では包括的性教育がスタンダードで、生殖の知識にとどまらず、人間の発達(思春期、体の変化)、人間関係(家族、友情、愛と恋愛関係)、人権や価値観、暴力から逃れる方法、交渉スキルなど、子どもや若者が性的・社会的関係において責任ある選択ができる知識や価値観・スキルを身に付けることを目的としています。
 私は“人間と性”教育研究協議会のサークルでも包括的性教育について学んでいます。20~70代までの幅広い年齢層で、教育や医療、保健、福祉、行政などさまざまな職業の従事者が集まり、活発に学び議論しています。私が講師を務めることもあれば、障害を持つ子どもの性教育にかかわっている先生や、地域で活動する助産師の話など、日常診療ではかかわらない領域の話を聞くことができます。私の疑問や悩みなどを相談する場にもなっています。
 先日は、幼児期の性がテーマのワークショップに参加しました。グループワークのテーマは「家のリビングで自分の性器をさわり、気持ち良さそうな顔をしている我が子を目にしました。保護者としてどんな声をかけますか?」でした。一番やってはいけないのは「子どもを怒ること、否定すること」なのですが、出た意見は「どうしたの? とか、どんな気持ちなの? と聞く」「ひとりになれる場所でやってほしいと伝える」「悪い大人が見かけたら、性被害にあうかもしれないと教えたい」「気持ちいい時には、声をかけない方がいいかもしれない」などさまざま。大変盛り上がりました。
 子どもたちに接する機会のある人なら、遭遇するかもしれないこの状況。さて、みなさんだったらどう声をかけますか?

(嘉陽真美、沖縄協同病院)

(民医連新聞 第1688号 2019年3月18日)

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