くすりの話

2006年2月1日

くすりの話 83 タミフルって大丈夫?

Q:タミフルの副作用が問題になっていますが。

A:昨年11月の2つの報 道が反響を呼んでいます。1つは日本小児感染症学会で、2人がタミフルの服用後に異常行動をとり、事故死していた例が報告されたこと。もう1つはアメリカ 食品医薬品局(FDA)が、タミフルを服用した日本の子どもが12人死亡したと発表したことです。FDAは健康を脅かす「証拠は不十分」としながらも、副 作用を2年間監視するよう指示しました。
 しかし日本の厚生労働省(厚労省)は、タミフルの服用と死亡について「関連は否定できないが、副作用だとしてもとくに多いとはいえない」として、新たな 対策はとりませんでした。厚労省は04年6月、「医薬品・医療用具等安全性情報」でタミフルによるせん妄や幻覚・異常行動などが14例あったと警告してい たものの、死亡者の数は今回FDAが指摘するまでつかんでいませんでした。
 日本では発売後5年間で約2400万人が使用。世界の使用量の75%です。小児の使用は約1200万人で、アメリカの13倍です。使用量が違うため、日 本以外では重篤な副作用の報告はわずかです。死亡原因が副作用でない可能性もありますが、慎重に使う必要があります。

Q:タミフルはどこまで効果があるのでしょう?

A:タミフルはインフルエ ンザウイルスの増殖を妨害する薬で、死滅させる薬ではありません。そのためインフルエンザ発症後、ウイルスの増殖がピークとなる48時間以内に服用しなけ れば効果は期待できません。熱を下げて症状を和らげますが、通常4日かかる治癒までの期間が1日ほど短くなるだけです。
 タミフルは、病気をもつ人がインフルエンザの感染によって重症化しないように使います。しかしぜん息を持つ子どもに対する臨床試験では、効果のない「偽 薬」を投与した患者たちとタミフルを投与した患者たちの間には、回復までの期間に差がでませんでした。
 またタミフルが効かない「耐性ウイルス」は、開発時5%でしたが、タミフルの使用量増大にともなって増えています。タミフルは、鳥インフルエンザが人に 感染するよう変化する「新型インフルエンザ」への数少ない武器の一つです。耐性ウイルスをつくらないよう乱用を避けることが大切です。

Q:インフルエンザへの備えはどうすれば?

A:インフルエンザは体力 さえあれば自然治癒する病気です。健康上リスクが高い(1)高齢者(65歳以上)、(2)慢性の呼吸器疾患・心疾患の患者、(3)代謝性疾患の患者(糖尿 病等)、(4)腎機能障害のある患者などを除けば、抗ウイルス剤は必要ありません。タミフルがなければインフルエンザが重くなるという科学的な証拠もあり ません。
 タミフルが不足するのではと報道されていますが、この冬は1500万人分が準備されています。使う対象を適切に選べば、足りる量です。
 インフルエンザには(1)うがい・手洗い、(2)室内の加湿、(3)マスクの着用、(4)過労をさけ体力を落とさないといった予防策が最も有効です。 たった1日早く回復するためにあせらず、かかったときは休養と考え、仕事を忘れてはいかがでしょう。

いつでも元気 2006.2 No.172

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