民医連新聞

2019年7月2日

フォーカス 私たちの実践 独居のALS患者の支援 東京・北千住訪問看護ステーション

 東京・北千住訪問看護ステーションでは、独居のALS患者を24時間ささえる支援について、他職種とも連携しながらとりくんでいます。その中での看護師の役割について、第14回看護介護活動研究交流集会で看護師・鈴木栄子さんが報告しました。

 私たちの訪問看護ステーションは、誰もがその人らしく暮らしていけるゆたかな地域づくりのために、24時間365日、夜間帯は、ヘルパーと2人対応で巡回型訪問看護を提供しています。
 今回、ALSで独居のAさんの、「住み慣れた町の自宅に帰りたい」という強い思いに寄り添い、病状の進行とADLの低下の中で、看護師やヘルパーが在宅生活をささえてきました。
 Aさんは誤嚥性肺炎をくり返し、気管切開をして呼吸器装着となり、在宅生活が終了しましたが、関係機関など28人でこの事例のふりかえりを行いました。
 24時間をささえるために必要な看護の役割と他職種連携について学んだことを報告します。

■口から食事したい

Aさん、70代、男性。主病名‥ALS、X―1年3月に診断。要介護5、認知機能低下なし。
生活保護を利用、アパートの2階で独居。キーパーソンはめい。
既往‥X―20年、高血圧、COPD、X―10年、胃潰瘍で1/3切除、脳梗塞で左下肢軽度麻痺、X―7年、右肺良性腫瘍で部分切除、肺結核、X―6年、胆嚢炎で切除。
 Aさんは、退院前のカンファレンスで、「家に帰りたい」と泣きながら訴え、周囲の反対を押し切り、退院しました。退院直後は室内歩行ができたため、訪問介護1日2回、訪問看護1日2回で支援しました。支援費を含む在宅サービス調整のため、いったん、地域包括ケア病棟へ入院。胸痛発作の症状のため、入院期間が延長、その間にADL低下で移動と食事は介助が必要になりました。
 C病院に誤嚥性肺炎で再入院になりました。気管切開、胃ろうを決める病状説明がありましたが、迷っていた本人は主治医から「いっしょに考えていこう」と言われ、安堵(あんど)した表情でした。水分補給目的で右足にポート挿入し、吸引は適宜に行いました。退院当日、よく行った公園に寄って自宅にもどりました。
 今回は最後の退院で「経口で食事をとりたい」と強い意思で在宅生活再開となりました。ヘルパーは1日3回(9時、17時、21時)、看護師は2回(6時30分、12時)、巡回入浴は週1回、往診は週1回としました。
 その後、Aさんは、C病院に誤嚥性肺炎で再入院しました。右足で緊急ボタンが押せる状態とし、ポートからの24時間持続の点滴、在宅酸素、バルンの留置。1日、ヘルパー3回(9時、17時、21時)、看護師は2回(6時30分、12時)。巡回入浴は週1回、往診は週1回。退院5日後発熱、呼吸苦にてC病院入院後、気管切開となり在宅は終了となりました。

■病状の進行を理解し共有

 11月中旬、訪問看護師16人、ケアマネ1人、ヘルパー6人、セラピスト2人など合計28人が参加し、夜間訪問を行っている利用者のことを話し合う会でAさんをふりかえり、グループに分かれ他職種との意見交換を行いました。
 ALSをもう少しどのように進行するかを理解してかかわればよかった、食事や移乗介助に関して看護師が移乗していた状況とヘルパーが介護していた状況に差があった、食事摂取の方法など悩んでいることもあり、もう少し早く相談すればよかったなどの意見が出され、それぞれの思いでケアしていたことがわかりました。
 進行して行く病気のため、ALSの経過やどのくらいの時期に何が起こり、その際、何を整えることが必要かの予測を、関連機関で共有しておくことが必要です。予測の共有が、一時的なその場の対応だけではなく、方向性を視野に入れた対応につながります。
 担当者会議やFAXなどでのやり取りだけでは情報共有が不十分な部分があり、ちょっとした工夫や疑問など、細かい点を共有できる手段や方法を検討することが必要であると思いました。
 この事例はいったん終了になりましたが、2018年5月から在宅療養を再開しました。
 同じ地域に転居し、呼吸器装着、栄養はポートからの24時間持続点滴、在宅酸素、吸引できる介護事業所7者が入り、24時間在宅療養をささえています。

(民医連新聞 第1695号 2019年7月1日)

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