くすりの話

2006年5月1日

くすりの話 86 アガリクスが がんに効く?

Q:アガリクスが注目されるようになったわけは

A:昨年10月、「即効性アガリクスで末期がん消滅!」と題する本を出していた史輝出版の役員が、薬事法違反で逮捕されました。「がんが治った」という69人の体験談はすべて作り話でした。
 「タイアップ出版」と称してアガリクスの販売会社の費用で本を作り、新聞にも大きな広告を出していました。逮捕される前年には、虚偽・誇大広告を禁じた 健康増進法にもとづき改善指導をうけていました。
 アガリクスはブラジル原産のキノコです。日本には1960年代に紹介されましたが、近年になって「免疫力を高め」がんの予防や治療に効果があるとされて 使用が増えました。販売額は1999年には60億円以上、最近では約350億円とされています。
 2005年10月に発表された厚生労働省研究班の調査では、健康食品や民間療法などに患者1人あたり20万8000円も使っています。私たちのまわりで も多くの患者さんが健康食品を使っており、その中でもアガリクスはもっとも有名な品目です。
 アガリクスの抗がん作用については、動物実験はあっても、人に対しての信頼できる実験データはありません。医薬品として開発しようとしているメーカーもありません。

Q:販売中止になった製品もあるようですが

A:2006年2月13 日、厚生労働省はキリンウェルフーズ社の製品について「発がんを促進する作用」があるとして、販売の中止と回収を指導しました。これはアガリクスによる肝 障害の報告をうけた国立医薬品食品衛生研究所が、販売量の多い3種類の製品について動物実験をおこなった結果にもとづくものです。
 アガリクスにはアガリチンという毒性物質があります。今回の結果がこの製品だけの問題なのか、それとも成分が濃縮された製品に共通する危険性なのか、ま だ情報が不足しています。動物実験はネズミに大量に服用させたもので、人間にはあてはまらないといっている業者も多いのですが、この毒性は人間でも起こり うる危険性があることを考慮しなければなりません。

Q:私たちが注意する点は

A:医薬品は販売の前に動 物実験・臨床試験をおこない、有効性と安全性を評価したうえで市販されます。健康食品は食品にすぎないため、効能はうたえないかわりに、安全性を確かめる 試験は義務づけられていません。長い間食べ続けてきた食品は大丈夫でも、今回のアガリクスのように食べる習慣がなかったものを大量に摂取する場合の安全性 は、誰も保証してくれません。
 がんの患者さんが、わらにもすがる思いで健康食品を服用されている実態から、医療従事者は健康食品の評価を伝えにくいものです。しかし、今回の商品のよ うにあやしいだけでなく無用なものが高額で販売されていることに対しては、注意を呼びかけたいと思います。

いつでも元気 2006.5 No.175

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