MIN-IRENトピックス

2019年11月8日

くすりの話 
インフルエンザワクチン

執筆/北見 淳一(北海道・勤医協中央病院・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えします。
 今回はインフルエンザワクチンについてです。

 インフルエンザは例年11月下旬頃から流行しはじめ、1月下旬から2月初旬に流行のピークを迎えます。予防接種で毒性をなくした病原体(ワクチン)を体内に入れることによって、その病原体に対する免疫(抵抗力)をつけることができます。

ウイルスのタイプ

 インフルエンザのウイルスには、A型、B型、C型の3つのタイプがあります。WHO(世界保健機関)が各シーズンの流行を予測して、それに適したワクチン株を選定します。
 数年前までは、A型2種類とB型1種類を組み合わせた3価ワクチンが使用されていました。ところが近年、A型2種類の混合流行に加え、B型2種類の混合流行が続きました。WHOがA型2種類とB型2種類を組み合わせた4価ワクチンを推奨し、日本でも2015~16年シーズンから4価ワクチンが使用されています。このため、接種を受ける医療機関や市町村によっては、窓口で支払う金額が増えたところがありました。
 インフルエンザワクチンは、接種した型が流行した型と違う場合など、「接種をすれば絶対にかからない」というわけではありません。しかし、症状を重症化させない効果や、死亡の危険性を低下させる効果が多くの研究で示されています。
 インフルエンザワクチンは接種後2週間から効きはじめ、約5カ月間は有効性が持続するとされています。シーズンごとにワクチン株は変わっていますので、毎年の接種をお勧めします。

妊婦への影響は?

 免疫抑制剤や一部の抗がん剤を除き、インフルエンザワクチンとの併用に注意が必要な薬はほとんどないと言われています。とはいえ普段使用している薬がある場合は、念のため医師や薬剤師に確認しましょう。
 妊娠中は体内の免疫機能に変化が起こり、インフルエンザに感染しやすく、また重症化しやすい状態になっています。それを防ぐ上でもインフルエンザワクチンの接種は有効です。
 接種による自然流産、早産、胎児発育異常、奇形などの危険性に関しても、増加するという報告はありません。授乳中の接種は、母親自身のインフルエンザ発症や重症化を防ぐだけでなく、乳児にうつしてしまう心配を減らすことができます。
 健やかに冬本番を乗り切るためにも、インフルエンザワクチンを接種しましょう。不明な点や心配なことがあれば、医師または薬剤師へお尋ねください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2019.11 No.337

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