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2019年11月8日

お金をかけない健康法

 認知症予防のために、ウオーキングや散歩など適度な運動が重要だと、近年強調されています。適度な運動は当然、認知症の改善にもつながりますので、私はもの忘れ外来の患者さんにも必ずお勧めしています。
 このことは、私が『元気』に連載した「認知症Q&A」(2016年12月号)にも書きました。同じ頃、国立長寿医療研究センター部長の島田裕之先生による『認知症予防運動プログラム コグニサイズ入門』や、“町医者”の長尾和宏先生が著した『認知症は歩くだけで良くなる』などの書籍が出版されています。
 適度な運動が認知症の予防と改善に有効な理由は、さまざまに指摘されています。(1)運動は血管の老化(動脈硬化)を防ぎ、糖尿病などの生活習慣病から認知症に至るリスクを減らす、(2)そもそも運動が認知機能向上の鍵を握っている、(3)運動すると記憶をつかさどる脳の海馬に良い影響が及ぶ、などです。
 どのような運動がお勧めでしょうか?
歩行運動など一日30分以上 認知機能向上に効果があるのは「息がほとんど弾まない程度の軽い運動」です。手軽でお勧めなのが、ウオーキングや散歩です。四季折々の景色や散歩仲間との出会いを楽しみながら歩きましょう。一日20分~30分以上を週3回以上、一日5千歩~8千歩以上がお勧めです。ウオーキング前にストレッチやラジオ体操などの準備体操もあわせて行うとさらに効果的です。
コグニサイズ=ながら運動 身体と頭脳の2つの運動を同時に行うコグニサイズ(私は「ながら運動」と名付けました)も有効です。脳の活動を活発にし、認知機能を活性化し、認知症予防効果を高めます。
 コグニサイズの具体的な方法は、(1)身体の運動として、室内では踏み台昇降やスクエアステップ、室外では歩行運動を行います。(2)頭脳の運動として、しりとり、声を出しながら数を数える、簡単な計算(足し算や引き算)、歌を歌いながら歌詞の「さ」で手のひらをたたくなどを、(1)に合わせて行うのです。水分補給をしながら、転倒しないように注意して、毎日少しずつでも継続することが大切です。


大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)

いつでも元気 2019.11 No.337

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