民医連新聞

2019年11月5日

第14回全日本民医連 学術・運動交流集会 長野 社会を変える15%の法則思いを態度で示そう 伊藤千尋さんの記念講演から

 全体会では、国際ジャーナリストの伊藤千尋さん(元朝日新聞記者)が「憲法が生きる社会をめざして~これから私たちが輝けるために~」と題し、記念講演をしました。概要を紹介します。(丸山いぶき記者)

 日本には21の憲法9条の記念碑があります。またアフリカ沖の島(スペイン領カナリア諸島)にも、ヒロシマ・ナガサキ広場にスペイン語の日本国憲法9条の碑があります。「平和の第一歩は日本の9条」との思いから建てられました。
 9条を発案したのは、内閣総理大臣も務めた日本の政治家、幣(しで)原(はら)喜重郎です。幣原は連合国軍最高司令官のマッカーサーに「世界を平和にするには、全ての国が軍隊をなくす必要がある。そのためにまず、日本の軍隊をなくす。この動きを世界に広げることがアメリカを核戦争から救う唯一の道だ」と迫り、3時間の説得の末、彼をうなずかせました。“軍隊をなくす”発想は、軍人のマッカーサーは持ち得ないもの。幣原は「世界の平和のために、日本は世界史的任務を負っている」と迫りました。

■アジアとの付き合い方

 もはや経済大国ではない日本が、世界のリーダーとして力を発揮できるのは、9条を持ち続ける平和大国としての役割です。
 ある日本人青年がボランティアでフィリピンを訪れた際、村の若者に「殺してやる! 日本軍がここで何をしたか知っているのか!」と言われました。日本軍は兵に食糧すら持たせない異常な軍隊。日本兵は現地の村で食糧を奪い、逆らえばスパイと決めつけ村人を殺したのです。
 親の世代がしたことでも、自分ができることで償わなければ、と考えた青年は、フィリピンの小学校づくりに尽力しました。一所懸命働く青年の姿を見た村の若者は、次第に心を開き、「平和をつくる活動をいっしょにやろう」と青年の手を取りました。
 その青年は木村利人さん。フィリピンの子どもたちが歌っていたスペイン民謡に、日本語の歌詞を乗せた「幸せなら手をたたこう」の作者です。心で思っているだけでなく、態度で示したからこそ、若者は心を開きました。

■市民が輝ける社会を

 中米のコスタリカは憲法で軍隊をなくしました。「兵士の数だけ教師をつくろう」と決め、義務教育13年間すべてを無料にし、大学生の70%が返さなくていい奨学金で学んでいます。貧しい国にこんなことができるのは、軍隊がないからです。コスタリカでは小学生でも違憲訴訟を起こし、社会を憲法に近づけることができます。大統領を憲法違反で訴え勝訴した大学生は、「憲法が危機に陥ったとき、国民にはたたかう義務がある」と私に話しました。
 1989年、ベルリンの壁の崩壊は、東ドイツ・ライプチヒの平和的なデモから始まりました。参加者が7万人になった時、警官は手出しをやめ、12万人になった時には交通整理を始めました。9・11後のアメリカでは、道行く車すべてが愛国心を示す国旗を掲げているかに見えました。
 行動に参加した市民はいずれも十数%。15%が立ち上がれば、社会は変えられるのです。
 韓国で大統領を退陣させた100万人のロウソク集会の背景には、歌とスマホがありました。歌は呼吸、みんなで歌えば元気が出ます。そしてメディアをあてにせず、年配者もスマホで集会の様子を発信しています。沖縄・辺野古の座り込みでも歌が歌われます。あるおじいは「ハイジと呼ばれています」と自己紹介。右翼から「この徘徊じじい」と言われるから。このしたたかさと楽天性が、私たちには必要です。
 みなさん、社会を変える15%の最初の1%になりましょう。思っていることは態度で示し、世界史的な責任をもって、社会を変えていきましょう。

(民医連新聞 第1703号 2019年11月4日)

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