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2019年11月19日

ここで終わらせない 現在と未来を結ぶ 第38回民医連全国青年ジャンボリーin岐阜

 10月27~29日、第38回民医連全国青年ジャンボリー(JB)in岐阜を開催しました。JBは青年職員が企画・運営し、全国の仲間とともに楽しく学び、成長する場です。今回は、韓国から5人の職員が参加。約600人もの青年が憲法や社会問題について学び、交流しました。(代田夏未記者)

 JB初日、会場に集まる青年職員の顔には不安の表情が見えました。職種も県連も違う職員たちが班ごとに集められ、緊張の面持ちで開会を待っていました。
 そんな中始まった開会式。全国実行委員長のバロン(医師・岐阜)は「医療・介護・福祉にはチームワークが必要。この仕事に携わるきっかけや共通点から話し合い、成長できる場になればと願っている」と呼びかけました。全日本民医連から伴香葉事務局次長、岐阜民医連から岩井雄司会長があいさつしました。韓国の緑色病院からの参加者は「JBで民医連と緑色病院の友好関係、連帯がもっと強くなるようにしたい」とあいさつしました。

■緊張ほぐす大交流会

 1日目の学習の目玉は「憲法のない世界」を表したムービー。憲法9条がなかったら? 憲法13条がなかったら? 憲法24条がなかったら? と3パターンのムービーを実行委員が出演から編集まで担当し作成しました。
 大交流会では56班に分かれて自己紹介やゲーム企画を行い、緊張の糸をほぐしました。後半には学習クイズで楽しく学びました。交流会の最後は班ごとにSGD(スモール・グループ・ディスカッション)。はじまる前の雰囲気とはガラッと変わり、楽しく、時には真剣に憲法について語り合う姿がありました。

■署名やデモに効果はある?

 2日目は八王子合同法律事務所の白神優理子弁護士が「日本国憲法は希望」と題して学習講演を行いました。講演の後は質疑応答と、白神さんと全国事務局長のでんでん(理学療法士・福岡)、学習班リーダーのJOKER(作業療法士・石川)の3人で対談しました。
 参加者から「署名やデモはどのくらい効果があるの?」と質問が出ました。「憲法を変えようと与党が動いているが、改憲されていないのは署名や国民の声があるから」「集団的自衛権行使容認の安保法制や特定秘密保護法などが強行採決されているけれど、自衛隊は戦争に行っていないし、特定秘密保護法に関する逮捕者もでていないのは署名や運動のおかげ」と白神さん。「たくさんの署名が集まったからこそ、悪法を使うことのできない状況をつくり出している」といいます。
 また白神さんは「1%のお金持ちがメディアをコントロールして、署名やデモは効果がないように見せている」といい、「みんなの声には効果がある。医療や介護、福祉の現場からいのちを守りたいと発信してほしい」と話しました。
 午後は8つに分かれてFW(フィールドワーク)と4つの分科会。それぞれ岐阜の社会問題を学び、体験しました。

学んでつながったジャンボリー

 「長良川河口堰」コースはこの研究に長年携わる、岐阜・華陽診療所所長の粕谷志郎医師が講師を務め、実際に河口堰を見ながら話を聞きました。「河口堰は利水、治水のためとつくられたのに新規の工業用水はゼロ。水害により脆弱(ぜいじゃく)な部分が決壊し利水は破綻。そのうえ、川の生態系や漁業に悪影響をおよぼしている」と粕谷さん。帰りのバスでは、韓国からの参加者が「韓国にも同じように4大河川事業で川がせき止められ、抹茶ラテのようになった川があった」と話し、「政権交代で開門したら生態系も取り戻せ川もきれいになった。長良川も本来の形に戻ってほしい」と話しました。

■「またね!」と涙の最終日

 3日目はJBで学んだこと、感じたことをSGDで語り合いました。閉会式では、岐阜でJBを開催するまでの葛藤をムービーで紹介し、小さな県連でも仲間の支援でJBを実現させることができた感謝の気持ちと、このJBが参加した仲間にとって“変わる”きっかけになってほしいと伝えました。現地事務局長のはるぱぱ(事務・岐阜)が「自分の思いを口に出してこれからも思いを共有しよう」とあいさつ。事務局長のでんでんは「JBでは学びやつながりを大切にしている。別々のものだと思っていた。けれど、この3日間で1つのものなんだと思えた。ともに学ぶことでつながっていくと感じた」と話しました。
 エンドロールでは写真で3日間を振り返りました。その後、司会者の「3、2、1」のかけ声のあと照明が落ち、キレイなバルーンアートが。ラストムービーの後、涙をこらえる司会者に会場から「がんばれー」とあたたかい声援が響きました。最後は実行委員がステージに立ち、喝采と大きな拍手に包まれ、全国JBを締めくくりました。


参加者の声

「9条で二度と戦争しないと約束されていることがすごいこと。他の国も学ぶべき」(ジョーカー・韓国)
「署名活動する中で不安もあったけど、自分たちの力はそんなに小さくないと感じた」(ミナ)
「憲法は国民のためのものであり、幸せの質を高めることこそ政府が行うべきだと感じた」(ジュリエット・韓国)
「いろんな角度から意見を聞けて、チームのすばらしさとともに、チーム医療の大切さも知れた」(ブルガリ)
「はじめは不安で前向きな気持ちじゃなかったけど、みんなあたたかくて楽しかった。今度はJBや憲法について伝える側になりたい」(あっちゃん)
「JBで学びたいことが見つかった。学んだことを職場でシェアしたい」(がちゃお)


〈フィールドワーク〉
1.粕谷Drによる「長良川河口堰」マスターコース
2.水の町 郡上へGO!! コース
3.水の都・大垣 堪能コース
4.各務原市「航空自衛隊基地」見学コース
5.各務原市「河川環境楽園」コース
6.国宝犬山城下町へようこそ! コース
7.美濃和紙体験、今井家のハートを探せコース
8.岐阜城下町散策コース
〈分科会〉
(1)精神科医療の現場から~孤独に抗い排除しない地域・社会づくり~
(2)日本での外国人労働者の実態
(3)高齢者お出かけサポート訓練
(4)学習支援 こもれび

(民医連新聞 第1704号 2019年11月18日)

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